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【リーンハルト:10歳】
第408話 間違いないか
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1週間たったが、部屋の窓際に置いた鉢はまったく発芽しない。
土から種を取り出してみても、芽はまったく出ていなかった。
庭師のトムさんから貰った肥料を使っているが、他の肥料に変更して様子をみてみようか。
そうなるとどこに相談するべきかな。
知り合いとなるとショーンさんのところの植木屋さん一択になる。
でも店主さん植物に詳しそうだったし、参考になることを教えてくれるかもしれない。
「店主さん、お久しぶり。急に来てごめんね。相談したいことがあってね」
「ピーリの件ですか?」
「そっちは上手くいったと連絡がきたよ。改めてありがとう」
「それはよかったです。こちらこそ珍しいお菓子をいただき、ありがとうございました」
家族みんな大喜びで、孫からも、じいじすごいと言われましたと嬉しそうに教えてくれた。
「喜んでもらえてよかったよ。ところで相談なのだけれど・・・・」
私は樹海で拾った木の実を育てているけれど、まったく発芽しないことを話す。
「樹海の木の実は浅瀬ですか、中腹ですか?」
「中腹あたりかな」
本当のことは言えないから誤魔化しておこう。
「中腹なら、土の中の魔素量が多く含まれていると思いますから、同じ環境の土でないと育たないのではないでしょうか?」
あとは肥料も拾った木の実周辺の葉などを、たい肥にして使った方がいいと思うとアドバイスをくれた。
盲点だった。そりゃそうだ。
樹海の奥にある世界樹だ、人間が住んでいるところの土が合うわけがないか。
私たちの土地だって住むところによって、土の成分が違って、作物が育つ、育たないがあるのだから。
「店主、参考になったよ。ありがとう」
「いいえ、たいしたことは言っていません。庭師の方でも同じアドバイスになったと思います」
この店主さん、我が家の従業員のフォローまでするなんてできた人だ。
絵描きであるショーンさんを雇っているぐらいだから、いい人なのは当たり前か。
「いつも突然来るのに、何も買わなくてごめんね」
「とんでもないです。たいした話もしていませんから」
「新作ではないけれど、どら焼きを持ってきたから家族で食べてよ」
「よろしいのですか?今の時期、どら焼きは食べられませんし、私たちも2回しか食べていないので、家族が喜びます」
「朝、並んだの?」
「はい、整理券を貰えば、あとは指定時間に行けばいいと聞いたので、朝並んで整理券を貰いました」
ずっと待っていなくていいので、いい制度ですねと店主さんは言ってくれた。
整理券、評判いいようでよかったよ。
3日後、私、ジェラ兄様、フローリアは、カイル隊長たちと一緒に世界樹目指して樹海を移動中だ。
今回は、リプカとビアンカの家族の護衛はないが、アトレ、ルーカス、リプカ以外の従魔たちも全員参加している。
中腹以降でたまーに、ミノタウロスやアイススパイダーに出会っても、アトレたちが倒してしまうのでいつもと変わらない安全さで世界樹に着いた。
「ねぇ、魔獣をほとんど討伐しないで、樹海に来るのが普通ってことないわよね?」
今回は世界樹以外の場所にも行く可能性があるからと言ったのに、フローリアは行くと言ってついてきたのだ。
もちろんミニョンも参加だ。
今日のミニョンの服は、袖なしミニワンピースで比較的歩きやすい格好だ。
樹海だから服を着なくてもいいのではと思ったのでミニョンに聞くが、全裸は恥ずかしいから嫌らしいと、アトレが呆れた声で私に通訳してくれた。
ミニョン、全身は毛でおおわれているから全裸でもないだろうに・・・・。
「世界樹に行くときはいつもこんな感じだよ。他の場所はそれなりに戦闘があるから注意して」
「わかっているわ」
「ハルト、世界樹以外も行くことになると、やっぱり思っているのか」
「ジェラ兄様、アルラウネの妹たちが、以前住んでいた場所にたぶん行くことになります」
「そうなると、2か所か」
「えぇ、まずはアルラウネに聞いてからですね」
「アルラウネー」
私は声をかけると、いつもはフラフラと来るのに、今日は3人そろって飛んできて、神妙な顔をしている。
私は、はーとため息をつく。
「2つ貰った種は世界樹候補の木で、アルラウネの妹たちが住むための木で間違いないか」
私が断定して言うと、アルラウネは3人が同時に頷いた。
土から種を取り出してみても、芽はまったく出ていなかった。
庭師のトムさんから貰った肥料を使っているが、他の肥料に変更して様子をみてみようか。
そうなるとどこに相談するべきかな。
知り合いとなるとショーンさんのところの植木屋さん一択になる。
でも店主さん植物に詳しそうだったし、参考になることを教えてくれるかもしれない。
「店主さん、お久しぶり。急に来てごめんね。相談したいことがあってね」
「ピーリの件ですか?」
「そっちは上手くいったと連絡がきたよ。改めてありがとう」
「それはよかったです。こちらこそ珍しいお菓子をいただき、ありがとうございました」
家族みんな大喜びで、孫からも、じいじすごいと言われましたと嬉しそうに教えてくれた。
「喜んでもらえてよかったよ。ところで相談なのだけれど・・・・」
私は樹海で拾った木の実を育てているけれど、まったく発芽しないことを話す。
「樹海の木の実は浅瀬ですか、中腹ですか?」
「中腹あたりかな」
本当のことは言えないから誤魔化しておこう。
「中腹なら、土の中の魔素量が多く含まれていると思いますから、同じ環境の土でないと育たないのではないでしょうか?」
あとは肥料も拾った木の実周辺の葉などを、たい肥にして使った方がいいと思うとアドバイスをくれた。
盲点だった。そりゃそうだ。
樹海の奥にある世界樹だ、人間が住んでいるところの土が合うわけがないか。
私たちの土地だって住むところによって、土の成分が違って、作物が育つ、育たないがあるのだから。
「店主、参考になったよ。ありがとう」
「いいえ、たいしたことは言っていません。庭師の方でも同じアドバイスになったと思います」
この店主さん、我が家の従業員のフォローまでするなんてできた人だ。
絵描きであるショーンさんを雇っているぐらいだから、いい人なのは当たり前か。
「いつも突然来るのに、何も買わなくてごめんね」
「とんでもないです。たいした話もしていませんから」
「新作ではないけれど、どら焼きを持ってきたから家族で食べてよ」
「よろしいのですか?今の時期、どら焼きは食べられませんし、私たちも2回しか食べていないので、家族が喜びます」
「朝、並んだの?」
「はい、整理券を貰えば、あとは指定時間に行けばいいと聞いたので、朝並んで整理券を貰いました」
ずっと待っていなくていいので、いい制度ですねと店主さんは言ってくれた。
整理券、評判いいようでよかったよ。
3日後、私、ジェラ兄様、フローリアは、カイル隊長たちと一緒に世界樹目指して樹海を移動中だ。
今回は、リプカとビアンカの家族の護衛はないが、アトレ、ルーカス、リプカ以外の従魔たちも全員参加している。
中腹以降でたまーに、ミノタウロスやアイススパイダーに出会っても、アトレたちが倒してしまうのでいつもと変わらない安全さで世界樹に着いた。
「ねぇ、魔獣をほとんど討伐しないで、樹海に来るのが普通ってことないわよね?」
今回は世界樹以外の場所にも行く可能性があるからと言ったのに、フローリアは行くと言ってついてきたのだ。
もちろんミニョンも参加だ。
今日のミニョンの服は、袖なしミニワンピースで比較的歩きやすい格好だ。
樹海だから服を着なくてもいいのではと思ったのでミニョンに聞くが、全裸は恥ずかしいから嫌らしいと、アトレが呆れた声で私に通訳してくれた。
ミニョン、全身は毛でおおわれているから全裸でもないだろうに・・・・。
「世界樹に行くときはいつもこんな感じだよ。他の場所はそれなりに戦闘があるから注意して」
「わかっているわ」
「ハルト、世界樹以外も行くことになると、やっぱり思っているのか」
「ジェラ兄様、アルラウネの妹たちが、以前住んでいた場所にたぶん行くことになります」
「そうなると、2か所か」
「えぇ、まずはアルラウネに聞いてからですね」
「アルラウネー」
私は声をかけると、いつもはフラフラと来るのに、今日は3人そろって飛んできて、神妙な顔をしている。
私は、はーとため息をつく。
「2つ貰った種は世界樹候補の木で、アルラウネの妹たちが住むための木で間違いないか」
私が断定して言うと、アルラウネは3人が同時に頷いた。
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