異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

文字の大きさ
339 / 463
【リーンハルト:10歳】

第408話 間違いないか

しおりを挟む
1週間たったが、部屋の窓際に置いた鉢はまったく発芽しない。

土から種を取り出してみても、芽はまったく出ていなかった。

庭師のトムさんから貰った肥料を使っているが、他の肥料に変更して様子をみてみようか。

そうなるとどこに相談するべきかな。

知り合いとなるとショーンさんのところの植木屋さん一択になる。

でも店主さん植物に詳しそうだったし、参考になることを教えてくれるかもしれない。


「店主さん、お久しぶり。急に来てごめんね。相談したいことがあってね」

「ピーリの件ですか?」

「そっちは上手くいったと連絡がきたよ。改めてありがとう」

「それはよかったです。こちらこそ珍しいお菓子をいただき、ありがとうございました」

家族みんな大喜びで、孫からも、じいじすごいと言われましたと嬉しそうに教えてくれた。

「喜んでもらえてよかったよ。ところで相談なのだけれど・・・・」


私は樹海で拾った木の実を育てているけれど、まったく発芽しないことを話す。

「樹海の木の実は浅瀬ですか、中腹ですか?」

「中腹あたりかな」

本当のことは言えないから誤魔化しておこう。

「中腹なら、土の中の魔素量が多く含まれていると思いますから、同じ環境の土でないと育たないのではないでしょうか?」

あとは肥料も拾った木の実周辺の葉などを、たい肥にして使った方がいいと思うとアドバイスをくれた。


盲点だった。そりゃそうだ。

樹海の奥にある世界樹だ、人間が住んでいるところの土が合うわけがないか。

私たちの土地だって住むところによって、土の成分が違って、作物が育つ、育たないがあるのだから。

「店主、参考になったよ。ありがとう」

「いいえ、たいしたことは言っていません。庭師の方でも同じアドバイスになったと思います」

この店主さん、我が家の従業員のフォローまでするなんてできた人だ。

絵描きであるショーンさんを雇っているぐらいだから、いい人なのは当たり前か。


「いつも突然来るのに、何も買わなくてごめんね」

「とんでもないです。たいした話もしていませんから」

「新作ではないけれど、どら焼きを持ってきたから家族で食べてよ」

「よろしいのですか?今の時期、どら焼きは食べられませんし、私たちも2回しか食べていないので、家族が喜びます」


「朝、並んだの?」

「はい、整理券を貰えば、あとは指定時間に行けばいいと聞いたので、朝並んで整理券を貰いました」

ずっと待っていなくていいので、いい制度ですねと店主さんは言ってくれた。

整理券、評判いいようでよかったよ。




3日後、私、ジェラ兄様、フローリアは、カイル隊長たちと一緒に世界樹目指して樹海を移動中だ。

今回は、リプカとビアンカの家族の護衛はないが、アトレ、ルーカス、リプカ以外の従魔たちも全員参加している。

中腹以降でたまーに、ミノタウロスやアイススパイダーに出会っても、アトレたちが倒してしまうのでいつもと変わらない安全さで世界樹に着いた。


「ねぇ、魔獣をほとんど討伐しないで、樹海に来るのが普通ってことないわよね?」

今回は世界樹以外の場所にも行く可能性があるからと言ったのに、フローリアは行くと言ってついてきたのだ。

もちろんミニョンも参加だ。

今日のミニョンの服は、袖なしミニワンピースで比較的歩きやすい格好だ。

樹海だから服を着なくてもいいのではと思ったのでミニョンに聞くが、全裸は恥ずかしいから嫌らしいと、アトレが呆れた声で私に通訳してくれた。

ミニョン、全身は毛でおおわれているから全裸でもないだろうに・・・・。


「世界樹に行くときはいつもこんな感じだよ。他の場所はそれなりに戦闘があるから注意して」

「わかっているわ」

「ハルト、世界樹以外も行くことになると、やっぱり思っているのか」

「ジェラ兄様、アルラウネの妹たちが、以前住んでいた場所にたぶん行くことになります」

「そうなると、2か所か」

「えぇ、まずはアルラウネに聞いてからですね」


「アルラウネー」

私は声をかけると、いつもはフラフラと来るのに、今日は3人そろって飛んできて、神妙な顔をしている。

私は、はーとため息をつく。

「2つ貰った種は世界樹候補の木で、アルラウネの妹たちが住むための木で間違いないか」

私が断定して言うと、アルラウネは3人が同時に頷いた。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

『外見しか見なかったあなたへ。私はもう、選ぶ側です』

鷹 綾
恋愛
「お前のようなガキは嫌いだ」 幼く見える容姿を理由に、婚約者ライオネルから一方的に婚約を破棄された 公爵令嬢シルフィーネ・エルフィンベルク。 その夜、嫉妬に狂った伯爵令嬢に突き落とされ、 彼女は一年もの間、意識不明の重体に陥る――。 目を覚ました彼女は、大人びた美貌を手に入れていた。 だが、中身は何ひとつ変わっていない。 にもかかわらず、 かつて彼女を「幼すぎる」と切り捨てた元婚約者は態度を一変させ、 「やり直したい」とすり寄ってくる。 「見かけが変わっても、中身は同じです。 それでもあなたは、私の外見しか見ていなかったのですね?」 静かにそう告げ、シルフィーネは過去を見限る。 やがて彼女に興味を示したのは、 隣国ノルディアの王太子エドワルド。 彼が見ていたのは、美貌ではなく―― 対話し、考え、異論を述べる彼女の“在り方”だった。 これは、 外見で価値を決められた令嬢が、 「選ばれる人生」をやめ、 自分の意思で未来を選び直す物語。 静かなざまぁと、 対等な関係から始まる大人の恋。 そして―― 自分の人生を、自分の言葉で生きるための物語。 ---

余命半年の僕は、君を英雄にするために「裏切り者」の汚名を着る

深渡 ケイ
ファンタジー
魔力を持たない少年アルトは、ある日、残酷な未来を知ってしまう。 最愛の幼馴染であり「勇者」であるレナが、半年後に味方の裏切りによって惨殺される未来を。 未来を変える代償として、半年で全身が石化して死ぬ呪いを受けたアルトは、残された命をかけた孤独な決断を下す。 「僕が最悪の裏切り者となって、彼女を救う礎になろう」 卓越した頭脳で、冷徹な「悪の参謀」を演じるアルト。彼の真意を知らないレナは、彼を軽蔑し、やがて憎悪の刃を向ける。 石化していく体に走る激痛と、愛する人に憎まれる絶望。それでも彼は、仮面の下で血の涙を流しながら、彼女を英雄にするための完璧なシナリオを紡ぎ続ける。 これは、誰よりも彼女の幸せを願った少年が、世界一の嫌われ者として死んでいく、至高の献身の物語。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。