異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:10歳】

第411話 冗談だったのだけれど

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戦闘の音が始まったので、カムイがズミヤーと遭遇したのだろう。

音がする方向に急ぎ、戦闘場所にたどり着くと、すでにカムイがズミヤーの片目を潰していた。

「カムイ、もう片方の目は俺たちに任せろ。カムイはタイミングをみはからいながら、雷魔法をズミヤーの口めがけて放て」

ジェラ兄様の言葉に、カムイは雷魔法をバチバチさせながら、いったん後退する。


ジェラ兄様や魔法師たちが一斉にズミヤーの目をめがけて魔法を放つ。

ジェラ兄様のファイヤーアローと魔法師のウィンドカッターがズミヤーの目に当たり、もう片方の目を潰した。

暴れ回るズミヤーが大きな口を開けて、長い舌を我々の方に出してきたので、マイヤーたち風魔法が使える人たちが一斉にウィンドカッターを放ち、舌を切断する。

さらに体をくねらせて怒り狂い暴れるズミヤーが、もう一度我々の方に大きな口を開けて向かってくると、カムイが我々の前に出て、特大雷魔法をズミヤーの口の中へ放つ。

ズミヤーはのたうち回っていたが、徐々に動かなくなった。


「カムイ、よくやった。さすがお祖父様と互角に戦うだけあって、ズミヤー一撃だったな」

ジェラ兄様がカムイの頭をなでて褒めていた。

レビンは父親のカムイの周りをクルクルと回っている。

おそらく興奮しているのだろう。

父さんかっこいいとでも言っているのだろうか?



その後も順調に討伐を繰り返す。ただ徐々に普通の魔獣と違って、手当たり次第に攻撃してくる魔獣が増えだした。

「徐々に狂暴化している魔獣が増えだした。ハルト、浄化水そろそろ使うか」

「ジェラ兄様、まだ気持ち悪いとか、ゾクゾクする感覚はないです。でももう少し進んだら使わないといけなくなりそうです」

「わかった。使う時には声をかけてくれ」

さらに進むとゾクゾク感が出てきた。

この辺りから使わないといけなさそうだ。


「ジェラ兄様、浄化水を使いましょう」

カイル隊長たちは周辺を警戒しながら、魔法師が私たちの周辺に防御壁を作る。

私はマジックバックから寸胴を1つ取り出し、ソフトボールぐらいを大きさの水球を作り、水球に水魔法で水を注入して大きくしていくと、乳白色から透明に戻った。

あとは風魔法が使える人たちに水球を渡して、スプリンクラーのように空から浄化水を撒いていってもらう。


「リーンハルト様、前回の水球よりも倍以上の大きさではないですか?」

「マイヤー、濃縮20倍だよ。2倍の大きさになるのは当たり前。前回より長く広範囲に撒けて楽でしょ」

私は風魔法が使える人たちに水球を渡し終えると、寸胴をマジックバックにしまった。

風魔法が使える人たちは、重ならないように防御壁ギリギリのところへ均等間隔に散らばって浄化水を撒いている。

浄化水をまき終わると、防御壁を解除して進んで行く。

また気持ち悪くなったり、ゾクゾク感が出ると立ち止まって浄化水を撒くを繰り返した。



夕方近くなったので、今いる周辺の木々を伐採してここで野営をするようだ。

木々の伐採を始めたら「トレントだー」と何人かの騎士の声がした。

まじかー。トレントは夜行性だぞ。

防御壁を張っていても囲まれたら嫌だよ。

「はぁ、もうひと仕事だな。リプカ行くぞ」

「ジェラお義兄様、わたくしも火魔法が使えますから、お手伝いしますわ」

「私も行く」

声を上げたのは、フローリアとチェリーだった。

「フローリア、チェリー、討伐経験ないだろう」

ジェラ兄様は驚きながらも大丈夫かと確認していた。

日が暮れる前に討伐を終わらせたいから、火魔法が使える人が1人でも多い方がいいけれど・・・・。


「日が暮れる前にトレントは討伐しなければなりません。討伐できる人数は多い方がいいです」

「トレントぐらいなら、私でも討伐できる」

フローリアもチエリーも非常にやる気になっていて、チェリーはジェラ兄様の周りを飛んでアピールしている。

「わかった、ミニョン、フローリアのフォロー頼むな。チェリー頼りにしているぞ」

トレントは火魔法が有効だけれど、フローリアの助けなら、氷魔法のミニョンでも大丈夫だろう。

ジェラ兄様の言葉にミニョンが頷き、チェリーはとてもうれしそうだった。



ジェラ兄様、フローリア、リプカ、チェリー、ミニョンたちは、トレント討伐に向かった。

そしてカムイ、シエルは周辺の見回りをしてきてくれるらしい。

魔獣を討伐するかもしれないからと、マジックバックを首にかけてくれとアトレ経由で催促された。

私がそれぞれの首に収縮機能がついたマジックバックをかけると、シエルとカムイは出かけて行く。


「ルーカス、君は回復魔法が得意なドラゴンなのだよね。全然手伝ってくれないのだけれど、まだ魔法が使えないの?」

私のそばにはいるが、何もしないルーカスに聞いてみた。

「使えないことはないが、使うとハルトから魔力を貰うことになるぞ」

『ルーカスはまだ赤ちゃんだから、樹海から魔素を吸収できないんだよ』

「アトレ、赤ちゃんとは失礼だぞ。転生して間もないからと言え」

『同じことでしょ』

「ちがうー」

ルーカスがアトレにムキになって言い返していた。


「いつもの転生の時は、どうしていたのさ」

「今回は特別なのだ。自分の魔力を使い果たしていたからな」

ルーカスは顔を横にそむける。

あぁ、そうだった、転生できる力がないから手伝えと最初に言われたね。

「今は魔力を蓄えている時期なのかな」

「そうだ、使うとそれだけ成長が遅くなる」

言いたくなかったのだろう、ルーカスが視線を落とした。


「ごめん、でも教えてくれてありがとう、納得したよ。ルーカスはルーカスのペースで魔力調節すればいい」

「ハルト、すまんな」

「いいよ、でも偶には過去の蓄積からの知恵を教えて欲しいね」

「我は今まで地上に住まうものと交流したことはないから、教えるも何もないと思うぞ」


「ルーカス、まったくないの。例えば人型に変身して交流とか」

「ない。まぁ変わり者のドラゴンで人型になって地上に住んでいるものはいるがな」

「えっ、いるの?」

ドラゴンって人型になれるんだ。

「いるぞ、今どこにいるかはわからんが」

冗談で言ったのだけど・・・・。
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