私の日常

林原なぎさ

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*卒園式にて(中編)

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「私、彼を幸せにする自信があります!だから別れて下さい!!」


「…はぁ。」


「何ですか!その反応!!」



捲し立ててくる彼女、基、安藤先生には悪いがそれが事実だとしても正直どうでもいいのだ。


元々女性関係が悪いと専らの噂だった西園寺秀一というお人の中で、私は大勢のお遊び相手の1人にすぎない。

入籍してから彼の浮気を特に疑ったことは無いが、それは上手く隠しているからかもしれないし、本当に遊んでいないのかもしれない。



彼との関係はその他大勢の内の1人だったので、私には初めから嫉妬や怒りで彼を束縛する権利も対等に意見を言い合える仲でもなかったのだ。

結婚したとは言え、私が彼の女性関係を聞いても、まぁ西園寺秀一そんなひとだし…の一言で終わってしまうのだ。




「聞いてるんですか!?」


捲し立てる彼女には悪いが、まずは当人同士わたしたちの問題であるのだから一方的な彼女の意見だけを聞くのは良くないことだ。

よって彼に直接聞いて話し合いをした方が素早く解決出来ると思っている。


「直接、秀一さんに聞いてみます。わざわざご親切にありがとうございます。」


そのまま去ろうとすると腕をがっつり掴まれて。


「私は夫婦関に亀裂を生じさせるつもりは無いんです!だから奥さまが'離婚する'と秀一さんに仰ればいいんです!!」


「えーっと…。とりあえず直接聞いてみます。」


「だから!それは困るんです!!」


何がどう困る理由は、なんとなくわかる。


秀一さんと偶然会ったという所までは本当の話だと思われるが、身体の関係を持ったという話から、おそらく嘘である。



何度も言うが、秀一さんはのだ。


女性関係の悪い彼が、面倒なひととそうではない、ということが一目瞭然な様で。

私みたいな…と言ったら変だが。

自分にとって都合の良い相手を見極める能力が半端ではなく、彼に張り付いて縋るような女性をお遊び相手として選ぶわけがないのだ。

一時の過ちでも彼は徹底して女性を見極めている。

初めて出会った頃から、誰もが彼の本命になれないことも、お遊び相手がその他大勢いても我関せず、というスタイルだ。

その為、出会って約10年だが私と秀一さんとの関係性について、物申して来た女性は過去にたった1人のみ。




その経験上から、明らかに面倒そうな目の前にいる女性ひとを彼がわざわざ選ぶわけがないのだ。


「とにかく困るんです!!奥さまは心苦しいでしょうが、秀一さんと別れた方が奥さまの為にもなります!」


安藤先生のその言葉で、大きな音を立てて扉が開いた。

扉を開けたのは。


「秀一さん…。」


「歩、トイレに行ってくるんじゃなかったのか?遅い。」


かなり怒っている様子の彼に。


「すみません。すぐ戻るつもりだったんですけど…。」


この言葉を返すだけで精一杯だ。

こんな静かなのに怒気を隠そうともしない秀一さんは人生で3度目で、かなり怖いのだ。

物凄く怒っていらっしゃる。

私が内心ガクブルなのに対して。


「あ、あのっ……。」


安藤先生も顔を真っ青にしている。



「もう用は無いんだろう。帰るぞ。」


秀一さんに手を引っ張られ、お互い無言で歩く。


これまた、人気のない一室に連れられて。

何故か壁ドンされ。


「で、俺と別れた方が歩の為になる?違うよな。歩と別れさせたい、というあの女の勝手な妄想だ。」


違うか?

目で聞いてくる秀一さんに。


…いいえ、仰る通りです。

と返事した。



どうして私が怒られなければならないのだー!

安藤先生め!!どうしてくれよう、この状況!!



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