11 / 50
*参加しまして(中編)
しおりを挟む問題は碧なのだ。
どうしてあんな反応を見せるのか不思議だ。
そんな私の様子を見て、咲子さんと祈莉ちゃんが声を掛けてくれる。
「あぁ…そうね。歩ちゃんはひとりにならない方がいいわ。特に4年生の教室では。」
「大丈夫。碧ちゃんは反抗期じゃなくて、歩ちゃんのことが心配なの。」
おふたりに先日のやり取りを聞いてもらうと、この反応だ。
よくわからないが、気にする必要がないようで安心した。
咲子さん、祈莉ちゃんと順にクラスを覗いて碧のクラスまでやって来た。
碧も私に気付き、両隣にいるママ友のふたりを確認した様で、どこか安心した顔をする。
一体どういう意味だ。
お母さんは方向オンチだが、校内で迷子にならないぞ!
授業が終わったこの後、各クラスの保護者懇談会があるらしい。
せっかくなので参加しようかな?と思っていると。
「さぁ歩ちゃん、子ども達の様子も伺えたし帰りましょう。」
「そうそう。この後お茶でもしよ?」
おふたりは、さっさとこの場を去りたい様で、私は急かされるが。
「藤本さん、私たちは1階の教室でやるみたいよ。」
「桑原さんも教室は逆方向よ。」
「え、あの!ちょっと、待って下さいぃ~!」
パワフルなお母様方に引きづられる様にして、咲子さんも祈莉ちゃんも連れて行かれてしまった。
「歩ちゃん!真っ直ぐお家に帰るんだよ!!」
引きづられながらも顔が見えなくなる前に、私に帰るよう促して…おふたりは完全に見えなくなってしまった。
はて?私は小さな子どもと思われているのか…。
秀一さんとの約束もあるし、不本意だがこのまま帰ろう。
正面玄関を目指し歩いていると、肩を軽くトントン叩かれ振り向く。
人がいるとは思っていなかったので、ちょっとびっくりした。
「こんにちは、西園寺さん。」
「…こんにちは。村田先生。」
碧の担任である、村田先生だった。
「わぁ…嬉しいな。名前覚えてくれたんですか?」
それはそうだ。
村田先生は2回目の碧の担任で、若くてイケメンとお母様方からかなり人気がある、と咲子さんに教えて頂いた。
そしてこの先生は何故か距離感が近いので毎回距離を取る為、一歩下がる。
「そうだ。西園寺さん、娘さんのことでちょっと…。」
言いにくそうに小声で…音楽室まで、と。
碧が何かやらかしたのだろうか?
それならば真っ直ぐ帰る訳にはいかず、村田先生の後を素直について行く。
扉を閉めたことで、誰にも聞かれる恐れはない。
聞くのはちょっとドキドキするが覚悟は決めたので、どんと来るのだ。
「僕…どうしても、我慢できなくて。」
なぜか距離が物凄く近い。
「ずっと…西園寺さんのことが…。」
言うなり所謂、壁ドンというものをされ、逃げられないようにされている。
あれ?碧のことについてではないのだろうか?
「西園寺さんのことが、……好きなんです!」
…すき…好き…。
「…えっと。私、結婚してますよ?」
「知っています!だけど、好きなんです!!」
えぇー……。
「初めて見た、2年前から、ずっと好きで。」
村田先生と出会ったのは確かに…2年前の碧が2年生になったクラスでだ。
いや、私、既婚者ですけど。
村田先生くらいの方ならもっと、若くて可愛い女性が選べるだろうに。
なぜ私?何かのどっきりでは?
辺りを見回すが、それらしきカメラも他の人がいる気配も無い。
「ずっと忘れられなくて!あの、だから。」
とても信じられないが、村田先生は真剣そのもので。
「お願いです!キスだけでいいんで、させて下さい!!」
とんでもないコトを言い出した。
0
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる
九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。
※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる