私の日常

林原なぎさ

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*参加しまして(前編)

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この春、小学校2年生になった長男の遼哉から'授業参観日'と書かれた紙を渡された。

今週の土曜日に行われるらしい。


「お母さん、今年は来れる?」


この言葉を遼哉から言われて、去年の授業参観日は欠席したことを思い出した。

次女である縁の出産予定日が間もなくということで、去年小学校に進学したばかりの遼哉には、少し寂しい思いをさせてしまったのかも。

嬉しそうに、だけど何処か不安そうに聞いてくる遼哉に、もちろん行くよ、と伝えると喜んでくれた。

それにしても今週とは急だと思い、プリントを改めて読むと、お知らせは新学期になって早々に子どもの手に渡っていたようだ。

遼哉のこの感じたと私に遠慮して、渡しづらかったのだろう。

でも…と思う。

小学校4年生になった長女の碧も同じ学校に通っており、あれ?と疑問に。

母である私よりしっかり者に育った碧が、学校で渡されているであろうプリントを持って来ないのは珍しい。

まだ小さい縁のことを世話する私に、碧も気を遣ってくれたのだろうか?

それなら、申し訳ないなぁ…。



その日の夜、秀一さんは泊りがけの出張で居ないので早めの夕食中に。


「土曜日の授業参観日、お母さんも参加するね。」


行くことを碧にも伝えると。


「…え?お母さん来るの?」


しかめっ面で顔を上げる碧を見て、秀一さんにそっくりだと思った。

いや、それよりも。


「お母さん、行かない方がいい、の?」


「…ううん。でも、お父さんには…伝えた方が、いいと思う。」


もちろん、秀一さんにも伝えるが。

変な間があり、碧はかなり微妙な反応だ。


なぜ?…もしかして反抗期?


疑問には思うが、とりあえずはっきり拒否されないので、行くことは許されるようだ。


そして秀一さんにはSNSを通じて、授業参観日に参加することを伝える。

送ってすぐ既読がついたと思ったら、電話が掛かってきた。



「はい。」


「ひとりで参加はダメだ。」


…開口一番に否定の言葉だ。


「…ひとりだけじゃなくて、咲子さきこさんや祈莉いのりちゃんと一緒ですよ。」


碧とお友だちのママさんで、私とも仲良くして下さる、ママ友さんでもある。

咲子さんとは幼稚園からの付き合いで、初めてのママ友さんだ。

祈莉ちゃんとは小学校に上がってからのお付き合いである。


慌ててふたりに連絡を取り、都合が合うので3人で行こうね、と約束したのだ。

久しぶりに会えるといことで、かなり楽しみにしていたのに…。


私の不満が伝わったのか秀一さんはため息混じりに、仕方がないと言わんばかりの反応で。


「…わかった。だけどひとりになるな。いいな?」


「はいっ。」


今回は秀一さんが折れてくれた様で、参加することを許された。


「土曜日に帰るから、どんな事があったか聞かせてもらうからな。」


秀一さんの出張は土曜日の夜までの予定らしく、きっと参加出来ないことが残念なのだろう。

そして念押しで、ひとりになるな、と言われたのでその約束は守ろうと思う。







学校の近くにあるコンビニで、咲子さんと祈莉ちゃんと待ち合わせをして一緒に向かう。

向かう途中で咲子さんから。


「縁ちゃんは?」


「母にお願いしました。子ども好きで本当に助かります。」


母の都合が合ったので、今日は預けたのだ。



「そうなんだ。さすがに縁ちゃんを連れて参加は難しいもんね。」


祈莉ちゃんも納得したようだ。


「まずは睦月むつきと遼哉くんのクラスから見に行ってもいい?祈莉ちゃん。」


「もちろん。」


咲子さんの長男の睦月くんとうちの遼哉は、同い年でクラスも同じなのだ。

祈莉ちゃんは快く受け入れてくれて、まずは弟達したのコの様子を見に行くべく2年生の教室へ向かう。



こちらに気づいた遼哉が嬉しそうな表情を見せてくれたので、やっぱり今日来て良かったと思った。


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