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過去のお話 -夫婦編-
実家
しおりを挟む「…っはぁ~。やっと寝てくれたぁ。」
「よかったわねぇ。だいぶお母さんらしくなってきたんじゃない?」
さっきまで笑ったりぐずったり、活発に動くようになってきた碧。
その碧を何とか寝かし付けることに成功し、心の中でガッツポーズを取る私の頭上から母のくすりと笑う声が落ちた。
出産した私は実家へ帰り母の協力の元、初めての育児に奮闘中だ。
最近、首がしっかりしてきて授乳間隔も整いつつある。
私を母だと認識してくれているのか、あやすと声を出して笑ってくれるようになったり甘えたような泣き声を出したりなど、コミュニケーションが取りやすくなってきたと思う。
秀一さんもお仕事が立て込んでさえなければ必ず週末に会いに来てくださるようになって、碧を抱っこする。
秀一さんが来ると父は何故か対抗心を出して、あやすのは自分の方が上手い!と威張っている。
その度に母にあっちへ行って、とおつかいを頼まれる。
「ふふ。」
私が思い出していると、隣に座った母が急に笑い出す。
どうしたのだろうか?
「あの小さかった歩が結婚して、碧ちゃんのお母さんよ。私も'お祖母ちゃん'だって。」
ふふ。と母は再び笑った。
「歩から彼氏を連れて来るって聞いた時は驚いたのよ?まさか結婚報告とは思ってなかったし。ましてや妊娠してるともね。」
「あはは…うん。」
「あの日のことはよく覚えてるわ。」
例の事件から秀一さんを彼氏だと思い込んでいる家族に挨拶しに行く事になった時、正式に彼氏を紹介してくれるんだな、と姉や母は思っていたようだ。
父は嫌だ!聞きたくない!交際なんか認めんぞ!!と吠えていたらしいが母に怒られ、同席した。
しかし全員の予想とは大きく外れ。
「歩さんと結婚したいと思っています。」
その言葉に衝撃を受けた私の家族の反応はそれぞれだった。
「もちろん!娘を宜しくお願いします!」
「歩が結婚したいと思うなら…姉さんは反対しないわ。」
「…いや、気のせいだ。結婚なんて聞こえたのは俺の耳が疲れているからだ!」
即答する母に、渋い顔をしながら'反対しない'と答えた姉に現実逃避中の父。
「順番が逆になってしまったのですが…彼女のお腹の中には、自分との子どもが宿っています。」
「ええー!私'お祖母ちゃん'だわ。どうしよう、初孫ね!」
「歩、暖房強めようか?寒い?体冷やしちゃダメだかね!」
「いーやーだー!聞きたくない!!」
大喜びする母に、私の体に気を遣って甲斐甲斐しく世話をやいてくれる姉に現実逃避したい父。
三者三様の反応に秀一さんは面白かったと話していたことを思い出す。
その後、秀一さんのご実家が有名な資産家だと知り姉以外の私と両親は驚愕した。
両親に知らなかったのかと呆れられ、姉と秀一さんにはやっぱり気付いてなかったのか、と呆れられた。
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あっけらかんと言われたが、愛歌の神城先輩愛を語られ全く耳に入っていなかったことを思い出した。
「母親はね、子どもの幸せが幸せなの。」
幸せだったと言える人生を送るのよ。
当時のことを話しながら、母は最後にそう締めくくった。
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