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過去のお話 -夫婦編-
旦那さま
しおりを挟む年末、同僚で友人のかほりから結婚する事を聞かされた。
「結局、お見合いした人と結婚する事にしたの?」
「まぁ…成り行きで?」
夏に強制的にお見合いをさせられたかほりは、何でもそのお相手に気に入られたらしくそのまま結婚する事になったそうだ。
なんでもお相手はとても仕事の忙しい方らしく、籍を入れてまだ20日程だが、あまり家に居ないそうだ。
一体どんな人なのだろう?と思うと同時に、その旦那さんにちょっとした不信感を抱き、かほりの事を心配していた。
あの日から暫くして。
旦那さんに会ってみないか?とかほりから連絡が来た。
断る理由は無いが、若干人見知りである私は秀一さんと一緒に会う事で落ち着いた。
しかし朝、かほりの新居にお邪魔するという、約束だ。
どうして朝かというと、旦那さんのお仕事の都合らしい。
そしてお邪魔した私達を待っていたのは…。
「はじめまして。綾坂隼人です。本名は綾坂晴之です。」
旦那さまは、なんと!
私の大好きな刑事ドラマに出演している、セクシーでかっこいいと世の女性を虜にしている俳優の綾坂隼人だ。
わぁぁぁ!
すごい!顔小っちゃい!
本物の青田(役名)さんだ!
「歩が前に(役柄が)好きだって言ってたのを伝えたら、是非会ってみたいって。」
「感動…!ありがとう、かほり!」
私が(刑事ドラマと役柄を)好きだと知り、かほりの友人ならば、と会って下さる気になったようだ。
なんて良い人なんだろう。
この想いを伝えたいが(役柄が)大好きだと言っても初対面の人にぐいぐい行ける訳ない。
しかし感動する私に、青田さん…綾坂さんはありがとう、と爽やかに笑い、握手までして下さった。
更に感動する私は、見えていなかったのだ。
後ろで不機嫌そうに見つめる秀一さんに。
旦那さんである綾坂さんはとっても良い人だった。
かほりの心配もなくなり気分はすっきりだ。
自宅へ帰り。
「歩。」
秀一さんの方に振り向くと、腰を引かれてそのままキスされる。
苦しくて息継ぎをしたくて、口を開くも、すかさず秀一さんの舌が割り込んでくる。
苦しいだけじゃなくて、気持ちいい。
身体の力が抜けてしまう私は秀一さんに支えられ、何とか立てている。
そして満足したのか秀一さんは唇を離してくれた…が。
ソファに押し倒された。
「え…?」
押し倒された状況に戸惑う私とは違い、秀一さんの瞳は欲情の色を含んでいて、その視線は色っぽい。
え?…まさか。
まさか、通り。
秀一さんは私の上着をたくし上げ、ブラジャーまで外す。
「あ、のっ…。」
今はまだ日中で、外も明るく慌てる。
しかし秀一さんには関係ない。
「抱きたい。」
耳元で囁かれ、私の身体は震えた。
ぞくっとする程、艶かしい秀一さんの声だけで、私も秀一さんに抱いて欲しい。
そのまま素直に秀一さんを受け入れた。
「歩はああいう奴が好みなのか?」
突然の発言に何の事かわからない。
「そんなにあの男が好きなのか。」
どうやら綾坂さんの事を言っているようだと理解した。
「面白くは無い。」
秀一さんはご不満な様で、不貞腐れたような口ぶりだ。
こんな姿を可愛いと感じてしまう私は、意地が悪いだろうか。
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