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『缶の気持ち』
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お題 肉 テレビ 缶
題『缶の気持ち』
「うんま~い//」
只今絶賛美味しそうな肉のCMが流れています。
私達はそれをおかずに白飯を食べています。
……もうお分かりだろうと思いますが、私たち家族は貧乏です。
かろうじて白飯を買うお金があるだけの貧乏です。
CMを見ているだけで空腹を紛らわすことが出来るくらいに、私たちは飢えていた。
━━そんなある日。いつものようにテレビCMを見て、空腹を紛らわしていたときのことだった。突然テレビ画面に砂嵐が起きたのだ。私は訳が分からず、テレビが復帰するのをぼんやりと眺めながら待っていた。
数分後無事テレビは砂嵐から元に戻り、先ほどまでの番組が映る……と思っていた。先ほどまでの期待はなくなり、今度は黒い画面になった。砂嵐のような不快音は無く、さらに言えば色彩もない。ただ黒い、暗い、ブラックホールのようにすぐにでも吸い込まれていきそうだ。
『━━君もこうなるんだよ』
突然どこからともなく声が聞こえた。その声が聞こえた場所に目をやると、まるでトラックにでも踏み潰されたかのような空き缶が地面を転がっていた。
少し大きい1円玉と言われても疑いもしないだろう。そのぐらい薄く潰されていた。
「……へ?」
突然視界が歪んだ。上下の範囲が狭くなり、逆に左右の視覚範囲が広くなったのを感じた。
私は全く意味が分からなかった。ただ“痛い”と言うことは感覚で伝わった。何故なら顔の長さが10センチ程しかなかったからだ……
題『缶の気持ち』
「うんま~い//」
只今絶賛美味しそうな肉のCMが流れています。
私達はそれをおかずに白飯を食べています。
……もうお分かりだろうと思いますが、私たち家族は貧乏です。
かろうじて白飯を買うお金があるだけの貧乏です。
CMを見ているだけで空腹を紛らわすことが出来るくらいに、私たちは飢えていた。
━━そんなある日。いつものようにテレビCMを見て、空腹を紛らわしていたときのことだった。突然テレビ画面に砂嵐が起きたのだ。私は訳が分からず、テレビが復帰するのをぼんやりと眺めながら待っていた。
数分後無事テレビは砂嵐から元に戻り、先ほどまでの番組が映る……と思っていた。先ほどまでの期待はなくなり、今度は黒い画面になった。砂嵐のような不快音は無く、さらに言えば色彩もない。ただ黒い、暗い、ブラックホールのようにすぐにでも吸い込まれていきそうだ。
『━━君もこうなるんだよ』
突然どこからともなく声が聞こえた。その声が聞こえた場所に目をやると、まるでトラックにでも踏み潰されたかのような空き缶が地面を転がっていた。
少し大きい1円玉と言われても疑いもしないだろう。そのぐらい薄く潰されていた。
「……へ?」
突然視界が歪んだ。上下の範囲が狭くなり、逆に左右の視覚範囲が広くなったのを感じた。
私は全く意味が分からなかった。ただ“痛い”と言うことは感覚で伝わった。何故なら顔の長さが10センチ程しかなかったからだ……
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