【誰も知らない拳で、世界をひっくり返す――最底辺高校生、無双ランクアップ物語】

第3章「新たな闘志」

第8話「黒田裕一との戦い」

「よし、やるか」

　

蓮は、静かにその言葉を口にして、
黒田裕一を見据えた。

　

黒田は、
蓮の目をじっと見返し、
その表情にわずかな興味を示した。

　

「お前、
　俺と戦いたいのか？」

　

「当たり前だ。
　お前がどんな奴か、
　俺の力で証明してやる」

　

その言葉に、
黒田は軽く肩をすくめて、
笑みを浮かべた。

　

「面白いな。
　だが、俺を倒すにはお前が想像するより遥かに難しいぞ」

　

「そうか？」

　

蓮は冷静に答え、
戦いの準備を整えた。

　

「勝負だ」

　

その瞬間、
黒田が素早く動き出す。
蓮は、その動きに反応し、
瞬時にその攻撃をかわす。

　

黒田の拳が、
蓮の顔面をかすめ、
空を切った。

　

「――！」

　

蓮はそのスピードに驚きつつも、
すぐに間合いを取って立ち位置を変えた。

　

黒田はその反応に、
さらに冷静に次の攻撃を繰り出す。

　

「速いな――！」

　

蓮は思わず声を漏らし、
そのスピードに対応しながら、
自分の力を信じて攻撃を仕掛けようとした。

　

だが、
黒田はそれをあっさりとかわし、
逆に蓮の足元をすくうように、
蹴りを放ってきた。

　

「――！」

　

蓮はギリギリでその蹴りをかわし、
再び間合いを取る。

　

「お前、ただ強いだけじゃないな」

　

黒田は、
蓮の動きを見ながら、
冷徹な目で言った。

　

「強さだけでは、勝てないことを教えてやろう」

　

その言葉に、
蓮はさらに集中を高め、
自分の動きを研ぎ澄ます。

⸻

再び黒田が近づき、
そのスピードで蓮に攻撃を繰り出す。

　

その一瞬の隙を突いて、
蓮は自分の足をしっかりと踏み込み、
黒田の攻撃をかわしながら反撃に出る。

　

「――！」

　

蓮の拳が、黒田の側頭部を狙って放たれる。

　

だが、
黒田はその拳を完璧に捉え、
わずかに体をよじって避け、
さらに自分の拳を蓮の胸に打ち込んだ。

　

「――っ！」

　

その衝撃で、蓮は少し後ろに倒れ込む。

　

「くっ……」

　

蓮はその痛みを感じながらも、
すぐに体勢を立て直し、再び戦いに集中する。

⸻

「まだまだやな。
　お前の力、ほんまにすごいけど、
　それじゃ俺には勝てん」

　

黒田が冷静に言うと、
蓮は黙ってその言葉を受け入れた。

　

「じゃあ、どうすれば――」

　

その時、
黒田はさらに一歩踏み込み、
蓮に向かって急接近した。

　

「――！」

　

その瞬間、
蓮は直感的に避けることを選ぶが、
黒田の速度がそれを許さなかった。

　

黒田の拳が、
蓮の腹に深く食い込んだ。

　

「――っ！！」

　

蓮の体が一気に弾け、
その衝撃でグラウンドに膝をついた。

　

観客席からは、
驚きと歓声が入り混じった声が上がる。

　

「これで、終わりか？」

　

黒田が静かに言う。

　

だが、蓮は息を整えながら、
すぐに立ち上がった。

　

「――終わりじゃない」

　

その言葉に、
黒田はわずかに驚いた表情を浮かべた。

　

「お前、ほんまにしぶといな」

　

「だから、次はお前が終わる番だ」

　

その言葉と共に、
蓮は全力で黒田に向かっていった。