【誰も知らない拳で、世界をひっくり返す――最底辺高校生、無双ランクアップ物語】

第6章「日本一の試練」

第2話「予測不能の試練」

試合後、蓮はリングを後にして控室に戻る途中、
周りの喧騒を背に感じていた。
安藤浩介との戦いを乗り越えたことは確かに大きな成果だが、
次に待つ試練がどれほど大きなものであるかを、蓮は強く感じていた。

「次の試合も、簡単にはいかないだろうな」

蓮は静かに呟きながら、
体の疲れを感じつつも、次の戦いに向けて心を落ち着けていた。
闇の闘技場で過ごした日々、
その中で得たものがどれほど大きかったのか、
蓮自身が実感している。

「でも、これで終わりじゃない」

その言葉を心に刻みながら、
次の試合に向けて準備を始める。

⸻

数日後、
蓮に届いた新しい試合の通知は、
予想以上に過酷なものであった。
次の試合は、全国ランキング上位者たちが集まる一大イベントとなり、
その舞台はこれまでの闇の闘技場とは比べ物にならないほど広大で、
まるでスポーツの大会のような規模に膨れ上がっていた。

「次の試合は、ただの試練じゃない」

黒岩の言葉が蓮の耳に響いた。
その目には、いつも以上の緊張感が宿っていた。

「お前はもう、闇の闘技場での戦いを超えた。
　だが、これから戦う相手たちは、それ以上に強力だ」

その言葉に蓮は頷き、
これから待つ戦いがどれほど過酷なものであるかを感じ取った。

「俺が次に戦う相手は、
　日本一の称号をかけた戦いだ」

その言葉を胸に、
蓮は次の試合に挑む覚悟を決めた。

⸻

その試合当日、
蓮は日本一の称号をかけた試合が待っている会場に足を踏み入れた。
会場は、数千人以上の観客で埋め尽くされ、
その喧騒が一層蓮の緊張感を高めていた。

「これが、日本一をかけた試合か」

その言葉を心の中で呟きながら、
蓮はリングに向かって歩みを進める。
その先に待っているのは、
今まで以上に強力な相手たちだと確信していた。

⸻

リングに上がると、
蓮はまずその場に立ち、
静かに周囲の空気を感じ取った。

その瞬間、
蓮の目の前に現れたのは、
『杉本雅樹（すぎもとまさき）』という男だった。

「お前が、蓮か」

その声は低く、力強く、
まるで蓮を見透かすかのように冷徹だった。

「杉本雅樹か…」

蓮はその名前を心の中で繰り返し、
その戦いがどれほど難しいものになるかを感じた。

「お前、実力者だと聞いているが、
　どれほどのものか、見せてもらおうか」

杉本は冷徹に言い放ち、
その表情には少しの笑みすら浮かべていなかった。

「もちろん。
　俺がその力を証明する」

蓮は静かに答え、
その目には迷いがなかった。

⸻

アナウンスが響き渡り、
試合開始の合図が鳴り響く。

その瞬間、
杉本は一気に蓮に向かって突進してきた。

「――っ！」

その攻撃は、
蓮が今まで戦ってきたどんなものよりも強力で、
杉本の拳が風を切る音を立てながら迫ってきた。

「くっ！」

蓮はその攻撃を必死にかわすが、
そのスピードと力に、一瞬反応が遅れてしまった。

その瞬間、
杉本の拳が蓮の脇腹に直撃し、
その衝撃で蓮は数歩後退した。

「――っ！」

蓮はその痛みに耐えながらも、
すぐに立ち直り、再び杉本に向かって反撃を試みる。

だが、杉本はそれを予測していたかのように、
次の攻撃を次々に繰り出してきた。

「お前、全く隙がないな」

蓮はその言葉を呟きながら、
杉本の動きに対して冷静に対応しようとするが、
その速度と力に追いつくことができなかった。

⸻

その時、
蓮はあることに気づいた。
杉本の攻撃の中に、
わずかな隙間があることに。

（こいつ、
　すべての攻撃に意味がある。
　だが、それを見逃すことなく反撃しなければ）

その瞬間、
蓮は冷静に杉本の攻撃を受け流し、
その隙間を突いて強烈な一撃を放つ。

「――っ！」

その一撃が、
杉本の顎を捉え、
杉本はその衝撃で後ろに倒れた。

⸻

「――勝った」

蓮はその言葉を呟き、
倒れた杉本を見下ろした。

その瞬間、
観客席からの歓声が響き渡り、
蓮の勝利を祝う声が響いた。

⸻

「すごいな、蓮」

黒岩の言葉が響く。

「だが、次の試合もまだまだ厳しいぞ」

その言葉に、
蓮は静かに頷いた。

「分かっている。
　次も、絶対に勝ってみせる」