【誰も知らない拳で、世界をひっくり返す――最底辺高校生、無双ランクアップ物語】

あめかわしげる

文字の大きさ

大中小

58 / 68

第7章「最終試練」

第1話「最強の刺客」

しおりを挟む

蓮はリングの外で立ち尽くし、
次の試合を迎える準備をしていた。
これまでの闘技場での戦いはすべて、
次なる試練へと繋がるものだった。

「ついに、ここまで来た」

蓮はその言葉を静かに呟き、
自分の中で高鳴る鼓動を感じながら、
試合の開始を待った。

これまで戦った数々の強者たちは、
蓮を成長させ、
そしてその先に待つ最強の敵との戦いに向けて
蓮を磨いてきた。

⸻

その時、
アナウンスが会場に響き渡る。

「次の試合、
　神崎蓮と対戦するのは、『黒崎誠（くろさきまこと）』！」

その言葉が響いた瞬間、
会場は一瞬で静まり、その後、
歓声が一気に沸き起こった。

黒崎誠――その名は、
蓮の中で何度も聞いたことがある名前だった。
闇の闘技場では、その名が伝説的な存在として知られており、
その実力は、蓮の知る限り、最強クラスだった。

「黒崎誠か…」

蓮はその名前を心の中で繰り返し、
その戦いがどれほどのものになるのかを感じ取っていた。
次に戦う相手は、これまでの相手とは全く別次元の存在だと、
蓮は直感的に感じていた。

「でも、俺は負けない」

蓮は静かに言い、
リングに向かって歩き出した。
その背中には、
これまでの試練を乗り越えてきた強い意志が宿っていた。

⸻

「試合開始！」

その合図と共に、
蓮と黒崎はリングに上がった。
その瞬間、
蓮は黒崎の目を見つめ、
その目の奥にある冷徹な決意を感じ取った。

「お前が蓮か」

黒崎の声は低く、冷徹だった。
その目には、何の躊躇もなく、
ただ蓮を倒すための冷静な計算が見て取れた。

「その通りだ。
　俺は、負けるつもりはない」

蓮は静かに答え、
その目に決して揺るがぬ意志を宿していた。

⸻

試合が始まると、
黒崎は蓮に向かって一気に突進してきた。
その動きはまさに圧倒的で、
蓮は一瞬でそのスピードに圧倒され、
反応が遅れてしまった。

「くっ！」

その瞬間、黒崎の拳が蓮の顔をかすめ、
その衝撃で蓮は思わず後退した。

「――早い」

蓮はその攻撃をかわすことなく受け、
その痛みが全身に響いたが、すぐに冷静さを取り戻す。

（黒崎誠、こんなにも速いのか。
　だが、俺はただ反応するだけじゃダメだ）

その瞬間、蓮は自分の戦い方を変える決意をした。
これまでの戦いでは反射的に反応していたが、
今度は黒崎の動きを読み、
一歩先を行く戦術を取る必要があると感じた。

⸻

「――来い！」

蓮はその言葉とともに、
黒崎に向かって突進した。
その時、蓮は黒崎の動きの中に、
わずかな隙間を見つけた。

「――っ！」

その瞬間、蓮は黒崎の体に一撃を放ち、
その拳が黒崎の腹部を捉えた。

「――っ！」

黒崎はその衝撃で後退したが、
すぐに立ち上がり、
再度蓮に向かって突進してきた。

「お前、なかなかやるじゃないか」

その言葉に蓮は冷静に答えた。

「まだ終わらない」

その瞬間、
蓮はさらに強い一撃を放とうとしたが、
黒崎はそれを完全に見切っていた。

⸻

「甘い」

黒崎はその一撃をかわし、
一気に蓮に接近してきた。
その動きの速さに、
蓮は一瞬反応が遅れてしまうが、
次の瞬間、蓮はその隙間を見逃さずに反撃を放った。

「――っ！」

その反撃が黒崎の肩に当たり、
黒崎は一瞬よろめいたが、すぐに体勢を立て直し、
蓮に向かってさらに強烈な攻撃を仕掛けてきた。

「くっ！」

その一撃が蓮を捉え、
蓮は再び後退せざるを得なかった。

「――これで終わりだ」

黒崎はその言葉とともに、
最後の攻撃を仕掛けようとしていたが、
その瞬間、蓮は反応が遅れずに動いた。

（もう一度、俺の反撃だ）

その瞬間、蓮は全力で踏み込んで、
黒崎に向かって全力のパンチを放つ。

「――っ！」

その一撃が黒崎の顎を直撃し、
黒崎はついにその場に倒れた。

「――勝った」

その言葉を蓮は静かに呟き、
倒れた黒崎を見下ろした。

⸻

「すごい、蓮」

黒岩の声が響く。

「次は本当に最後だ。
　お前の戦いは、ついに終わりを迎える」

その言葉に、
蓮は静かに頷いた。

「分かっている。
　次も、必ず勝つ」

その決意が、
蓮の目に宿っていた。

しおりを挟む