触らせないの

猫枕

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 寮生活になって家族と顔を合わせずに済むこと、学園以外の人間関係ができたこと、少額ながらも自分でお金を稼いでいること、そういった諸々がシーリアの心を軽くしていた。


そんなシーリアの心の変化は彼女の表情を明るくしていたし、そこに最近始めたオシャレも加味して元々美人なシーリアは本人が気づかないうちに男子学生からの注目を集めていた。

 サイモンが時々何か言いたげにシーリアに視線を送っていることにルネは気づいてニヤニヤしていたけれど、もはやサイモンなど眼中に無いシーリアはその事に全く気づきもしなかった。


 「ところでルネ。アンタ時々寮を抜け出してるでしょう?どこ行ってんのよ」


「まあね。ボクもちょっと小遣い稼ぎ?」

「アンタ、寮長にバレて退学とかなったら困るよ」

「別に困んないよ」

 ルネは他人事みたいにヘラヘラしている。

「・・・そういえばルネは卒業後どうするの?」

「さあ?」

「・・・さあ、ってアンタ・・・」

「卒業したらいよいよ困るのは姉さんなんじゃないの?花嫁さん」


ルネが少し意地悪っぽく笑った。


 シーリアは溜め息を吐いた。


「・・・愛の無い生活には慣れてる。

 だから今更それを求めようとも思わない。

 ・・・自分はいいの。とっくに諦めてるから。
 だけど自分の子供が私と同じ思いをするのは耐えられないの。

 たまらなく嫌だわ。

 私だって、好きでもない相手の子供を愛せる自信がないもの。

 ・・・・そんなの私達だけでいいじゃない。

 絶対に子供だけは作るわけにいかないの」


 ルネは愛ね~とか呟いておどけている。


「ルネはご両親が離婚した時、どうしてお父様について行かなかったの?
 名前だってあちらのを名乗っているのに」

ルネはシーリアを真っ直ぐ見つめた。

 儚いほどに白い肌。尖った鼻に吊り気味の透き通った水色の目。
 射し込んだ西日に色素の薄い髪がキラキラ輝いている。

 目が離せなくなるほど魅力的な顔をしている。


 ルネはフィっと視線を逸らしてフフンと笑った。


「父が離婚を受け入れる条件は母にボクを引き取らせることだったんだよ」  





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