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ワンモアチャンスプリーズ
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エリーはぐっすり寝た。
憂いから解き放たれて心機一転人生リセットしたつもりだった。
とりあえず今日は一日ゆっくり休んで明日から新しい自分として生きていくかと思うと清々しい気分だった。
そうして何時間か熟睡して気持ちよくレム睡眠を漂っている時、夢現に人の喋り声が聴こえてきた。
段々と覚醒していく意識の中で、その声の主がクソ兄ニールセンともう一人若い男・・・夫になりそこねたコレまたクソ男アベルのものだと気がついた。
どうやら二人は隣のニールセンの部屋のバルコニーで話しをしているようで、そのバルコニーはエリーの部屋とも繋がっているので二人の話し声が開けた窓から流れ込んできているのだった。
『さっそく私に難癖つけて慰謝料の請求でもするつもりかしら?
そうはさせないわよ!』
エリーはそっとベッドを抜け出して二人の会話が良く聞こえるように窓際ににじり寄った。
兄とクソ男の会話がハッキリと聞えてくる。
「お義父上がまだ正式に婚姻の届け出がなされてないと仰られたけど本当なのか?」
「そうらしいな」
「い、今からエリーと二人で提出して来る!」
「・・・・無理だろう」
「なんでだよ?」
「エリーはオマエのことクソ男・・・いやクズ男だったかな?いや、やっぱりクソ男、うん、クソ男って言ってたもん」
「なんでだよ?!」
「なんでだよって、こっちが聞きたいよ。
何やらかしたんだオマエは」
そこでクソ男の声が聞こえなくなった。
兄に耳打ちしているのか、時々兄の、えっ?とかマジか、という声だけが聞こえてくる。
それから兄の遠慮会釈ない笑い声が響いて、
「馬鹿かオマエは!・・・しかし、これは笑い事じゃねぇぞ」
「思い切り笑ってんじゃねぇかよ」
という声が聞こえてきた。
「だって・・・・」
クソの呟くような声が聞こえてきた。
「・・シタは?」
「は?」
「クツシタ・・・・靴下は、・
・・いつ脱げばいいんだ?」
「は?」
「靴下だよ!上着とかシャツとかズボンとか順番に脱いでいったら靴下が残るじゃないか。
・・・・全裸に靴下だけ履いてるなんて、すっごく・・・すっごくマヌケじゃないかっ!」
暫く沈黙が続いた。
兄のポカーンとした顔がエリーの目に浮かぶようだった。
そしてエリーも呆れ果てていた。
「・・・なんで今から寝ようって時に靴下履いてんだ?
それに、履いてたって脱ぎゃいいだろう?」
「だ、か、ら、いつ脱ぐのか?とか彼女を脱がす前に自分が脱いだ方がいいのか、どこまで脱ぐのがいいのか?とか、彼女には自分で脱いでもらった方が良いのか?とか、色々考えてたらパニックになっちゃうんだよ!!」
「・・・・・・」
「黙るなよ。相談してんのに」
「・・・オマエって、ホントに宝の持ち腐れな」
「どういう意味だよ?」
「俺がオマエのルックスだったら間違いなく街中の女を落とす自信あるぞ」
「下品なこと言うな。
俺はデリケートなんだぞ!
彼女に裸を見られるかと思うと急に怖気づいてしまったんだ。
自分じゃ見慣れてるけど、女性が初めて見たらキモいって思われるんじゃないか?とか。
キモい、とか言われたら二度と立ち直れないよ・・・」
「へ~。俺なんか彼女にパンツ履かせてもらってるぜ。彼女がこうやってパンツ広げて待ってくれてさ、片足ずつ入れて、彼女がシューッとパンツを引き上げて、『ハイ!履けました!』って。
童心に戻れて楽しいぜ」
「真面目に考えてくれよ。俺はどうすれば良いんだ?」
「まあ、安心しろ。オマエがエリーに裸を披露する日は永久に来ないから」
「そこをなんとか執り成してくれるのが友達だろ?」
「いや~、アイツかなり怒ってるからな~。俺も変なヤツ紹介したって恨まれてるし。
ってか俺に相談すんなよ。
家族の性事情聞かされるとかマジ萎えるわ」
「そこを何とか頼むよ。
ワンモアチャンスプリーズ!!」
窓際でエリーは毒づいた。
『オマエは一生パンツを脱ぐな!』
憂いから解き放たれて心機一転人生リセットしたつもりだった。
とりあえず今日は一日ゆっくり休んで明日から新しい自分として生きていくかと思うと清々しい気分だった。
そうして何時間か熟睡して気持ちよくレム睡眠を漂っている時、夢現に人の喋り声が聴こえてきた。
段々と覚醒していく意識の中で、その声の主がクソ兄ニールセンともう一人若い男・・・夫になりそこねたコレまたクソ男アベルのものだと気がついた。
どうやら二人は隣のニールセンの部屋のバルコニーで話しをしているようで、そのバルコニーはエリーの部屋とも繋がっているので二人の話し声が開けた窓から流れ込んできているのだった。
『さっそく私に難癖つけて慰謝料の請求でもするつもりかしら?
そうはさせないわよ!』
エリーはそっとベッドを抜け出して二人の会話が良く聞こえるように窓際ににじり寄った。
兄とクソ男の会話がハッキリと聞えてくる。
「お義父上がまだ正式に婚姻の届け出がなされてないと仰られたけど本当なのか?」
「そうらしいな」
「い、今からエリーと二人で提出して来る!」
「・・・・無理だろう」
「なんでだよ?」
「エリーはオマエのことクソ男・・・いやクズ男だったかな?いや、やっぱりクソ男、うん、クソ男って言ってたもん」
「なんでだよ?!」
「なんでだよって、こっちが聞きたいよ。
何やらかしたんだオマエは」
そこでクソ男の声が聞こえなくなった。
兄に耳打ちしているのか、時々兄の、えっ?とかマジか、という声だけが聞こえてくる。
それから兄の遠慮会釈ない笑い声が響いて、
「馬鹿かオマエは!・・・しかし、これは笑い事じゃねぇぞ」
「思い切り笑ってんじゃねぇかよ」
という声が聞こえてきた。
「だって・・・・」
クソの呟くような声が聞こえてきた。
「・・シタは?」
「は?」
「クツシタ・・・・靴下は、・
・・いつ脱げばいいんだ?」
「は?」
「靴下だよ!上着とかシャツとかズボンとか順番に脱いでいったら靴下が残るじゃないか。
・・・・全裸に靴下だけ履いてるなんて、すっごく・・・すっごくマヌケじゃないかっ!」
暫く沈黙が続いた。
兄のポカーンとした顔がエリーの目に浮かぶようだった。
そしてエリーも呆れ果てていた。
「・・・なんで今から寝ようって時に靴下履いてんだ?
それに、履いてたって脱ぎゃいいだろう?」
「だ、か、ら、いつ脱ぐのか?とか彼女を脱がす前に自分が脱いだ方がいいのか、どこまで脱ぐのがいいのか?とか、彼女には自分で脱いでもらった方が良いのか?とか、色々考えてたらパニックになっちゃうんだよ!!」
「・・・・・・」
「黙るなよ。相談してんのに」
「・・・オマエって、ホントに宝の持ち腐れな」
「どういう意味だよ?」
「俺がオマエのルックスだったら間違いなく街中の女を落とす自信あるぞ」
「下品なこと言うな。
俺はデリケートなんだぞ!
彼女に裸を見られるかと思うと急に怖気づいてしまったんだ。
自分じゃ見慣れてるけど、女性が初めて見たらキモいって思われるんじゃないか?とか。
キモい、とか言われたら二度と立ち直れないよ・・・」
「へ~。俺なんか彼女にパンツ履かせてもらってるぜ。彼女がこうやってパンツ広げて待ってくれてさ、片足ずつ入れて、彼女がシューッとパンツを引き上げて、『ハイ!履けました!』って。
童心に戻れて楽しいぜ」
「真面目に考えてくれよ。俺はどうすれば良いんだ?」
「まあ、安心しろ。オマエがエリーに裸を披露する日は永久に来ないから」
「そこをなんとか執り成してくれるのが友達だろ?」
「いや~、アイツかなり怒ってるからな~。俺も変なヤツ紹介したって恨まれてるし。
ってか俺に相談すんなよ。
家族の性事情聞かされるとかマジ萎えるわ」
「そこを何とか頼むよ。
ワンモアチャンスプリーズ!!」
窓際でエリーは毒づいた。
『オマエは一生パンツを脱ぐな!』
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