マジメにやってよ!王子様

猫枕

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おまけ その後の話

  エリック殿下がオーディション開催の告知を出した。

 王都の女の子を集めてアイドルグループを作るという。

「また兄上が妙なことを始めましたね」

ジェイムズ殿下は呆れ顔だ。

 
3000人以上の応募から書類選考とインタビューをへて最終選考に残った30名で行われた最終オーディションは一般公開され、チケットは争奪戦になる人気だった。
 
  歌唱審査と自己アピールのあと、全員での椅子取りゲームもあった。

 女の子達が髪を振り乱して必死の形相で椅子を取り合う姿に、会場の男どもは興奮の渦に巻き込まれた。

そうして6名の女の子が選ばれて「ハーティ キャッツ」か結成されることとなった。


 バックステージで成り行きを見守っていた面々は、

「・・・兄上、なんであの6人なんですか?」

 と不満よりは疑問を呈していたし、


「ボクがいいなって思ったコは落ちちゃったよ」

 というアレクの嘆きに、女性陣は震撼した。


 一堂の困惑を前にエリックは得意気に、

「わかってないなー。男ってのは文句なく美女ってのに惹かれるわけじゃないのよ。

 一見可愛いけど、良く見るとちょっとブス、とか、ちょっと足太いな、くらいがツボなのよ」

  「そんなもんですかねぇ~?」


「そうなの。全然勝ち目無しの高嶺の花じゃなくて、頑張ればなんとかなるかも~くらいが丁度いいのよ。
 学園で言えば、
  
  カメリアじゃなくてローズ

 みたいな」

 
ローズは反射的にエリックに腹パンを撃ち込み、悶えるエリックを置き去りにしてプンプンしながら帰ってしまった。


「・・・今のは兄上が悪いですよ」






  エリックの読みは見事に当たって、作詞 エリック第一王子   作曲 ジェイムズ第二王子による「ハーティ キャッツ」のデビュー曲「夜更けのシュークリーム」は大ヒットした。

 そして当初イマイチに見えていた女の子達は、みるみるうちに魅力的に花が咲いていったのである。
  
 王都のあちこちで、
 
Ah~分かってる~のに、やめられな~いのぉ~♪

 と口ずさむ人々の歌声が聞こえてきた。

エリックは「夜更けのシュークリーム」とネーミングした普通のシュークリームを期間限定で販売し、「ハーティ キャッツ」のメンバーを売り子に立たせた。
 連日大盛況で押すな押すなの大騒ぎだった。
 

 まったく、小銭を稼ぐことにかけては天才的なエリックである。

 
一連の活動には当然「ツチノコ部隊」が駆り出される。




~ 王城の文官休憩室。~

 ツチノコ部隊がまったりしていると、ジェイムズ殿下の手下どもが入ってきた。

「あ~大変だわ~「ハーティキャッツ」の握手会の準備~」

「ツアーのチケット販売も始まるしねー」

わざとらしく大きな声を出す。

 ジェイムズ殿下の手下がチラチラこっちを見ている。

今度はツチノコが頭を寄せ合ってコソコソしだして、

「え~!!うっそ、ミュウミュウ(センター)が?!」

とかやっていると、ジェイムズ殿下の手下がこっちに来て、

「あのーパレスホールでのチケット、抽選に漏れたんだけど、なんとかならない?」


「ならんなー」


「いいじゃないかよ。オレたちの仲じゃないか」


「無理だなー」

「ケチくさいこと言うなよ。
 じゃ、ミュウミュウのサイン貰えないかな」


「そういうの断ってんだよねー。
 どうしよっかなー」

 日頃の鬱憤を晴らすツチノコ部隊だった。


 


 その後エリック殿下は男性アイドルユニットでも成功し、大型のライブ会場を建設し、国の内外のアーティストの興行を取り仕切った。

 外タレは事実上エリック殿下の事務所を通さないと興行できなくなり、エリック殿下は他人のふんどしで金儲けをするシステムを作り上げた。

 グッズ展開も成功を収めているが、それは当初エリック殿下が自分でデザインすると言い張ったのを全力で止めたツチノコ部隊の功績と言えよう。


エリック殿下は おかん達を雇い、「おかん食堂」も展開した。

 おかんの作る家庭の味に独り者の男たちは涙した。
 
 エリック殿下はそこで自作の おかんアートを販売しているが、それはさっぱり売れないようだ。



 エリック殿下は学園を卒業後にターナー家に婿入りする方向で話がついた。
 この話に最後まで難色を示していたのはジェイムズ殿下だった。

 「兄上には王室に残って外交で力を貸して欲しかった」

 おい!外交問題になっても知らんぞ、周囲は思わずツッコミたくなったが、エリック殿下は

「お前が困ったらいつでも駆けつけるから任せとけ!」

とカッコいいことを言った。

 ジェイムズ殿下は迷子の子供のような表情をエリック殿下に向けたが、そんな顔をするジェイムズ殿下を見たのは側近も初めてだった。 

 

 エリック殿下は 猫爵ニャーシャクにはなれなかったが、今もローズと仲良くやっている。


(おしまい)

 
毎度 馬鹿馬鹿しいお話にお付き合いいただき誠にありがとうございました









 

 

 
感想 31

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みんなの感想(31件)

みい
2025.07.12 みい

あっちのエリックは辛そうでしたが、こっちのエリックおばかさんですが、不器用でもローズと漫才?出来て幸せそうで良かったです。

2025.07.15 猫枕

みい様
 
 感想ありがとうございます。
 こっちのセコくて小狡いエリックが可愛いな、と思っています。
 読んでくださってありがとうございます。

解除
ジャッキー
2025.04.29 ジャッキー

こんなおもろいのに イイネ が少ないということは、多くの方に知られていないに違いない!
世に広めるにはどうしたらいいんか?

2025.04.29 猫枕

 感想ありがとうございます。

 面白いと言っていただけてとても嬉しいです。
 いつも読んでくださる方が何人かいらっしゃるようで、その方たちは私がどんなのを書いても受け入れてくださるんですよね。
 本当に有り難いことです。
 これからも、こそ〜っと隠れながら静かに好きなものを書いていきたいので、よろしくお願いします。

解除
さばこ
2023.05.24 さばこ

こっちのエリック大好きかも ちなみにわたしも小学生の頃夏の終わりの誕生日に、弟が一夏かけて集めたセミの抜け殻が一箱みっちりつまった箱を誕生日にもらって、おそらく彼の宝物であろうものをくれたのだろうから、どう傷つけないよう捨てるか苦慮した記憶が蘇りました

2023.05.24 猫枕

感想ありがとうございます

箱いっぱいのセミの脱け殻。

パンチのあるビジュアルですね。

叫んでバラ撒きそうです。

なんかこう、困る物くれる人に限って、しつこく感想を聞いてきたり、使っているか確認したりする傾向にあるので注意が必要です。

セミの脱け殻どうした?と聞かれたら、
美味しくいただきました。とでも答えておきましょうか。

読んでくださってありがとうございました

解除

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