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日曜日。呼出音を鳴らすと香水店のドアが開いた。
「どうぞ。お待ちしておりました」
従業員のユアンが、目を伏せて述べた。まるで視線を合わせないようにしているように見える。
――俺とミカエルが肉体関係だと気付いたらしい。
恥ずかし過ぎて悶絶しそうだった。先週訪ねた日、寝室にこもっていたから気付いて当然だ。もしかしたらよがり声だって聞こえていたかもしれない。俺の第二性についてはどう考えているのか――。
応接室で待たされていると、ミカエルがやってきた。「お待たせ~」と明るい笑顔だ。
寝室に招くと、奴はさっそくベッドに押し倒してきた。そして服の中に手を入れてくる。
「ベータ風の香水、役に立ったみたいだね。まだ香水の香りが残ってる。もっと作っておくね」
それは助かる。しかしこの能天気さは許しがたかった。
そもそも不能になったのは、十中八九ミカエルの影響じゃねえのか。
女のベッドに入ろうとすると、「抱くな」と言ったミカエルの顔がチラつくのだ。
俺は物理的に勃起不全になったのではなく、精神的に縛られてるに違いなかった。しかしそれはそれで屈辱的だった。その屈辱も、乳首をくすぐられると抗えずにふやけていった。乳首で感じてしまうこともなおさら屈辱だった。
「っお前、そこ、やめろ…………!」
「感じてるくせに」
微笑まれて、ぐ、と喉が詰まる。
せめて湧きおこる快感をこらえようとするが、ミカエルは余計に乳首をつついてくる。
引っ張って伸ばされると、形が戻らなくなるんじゃないかと怖くなった。
「い…………!」
「痛い? でも勃起してるよ?」
視線をおろせば、カーゴパンツが確かに盛り上がっている。
水曜日にはどれだけ刺激しても勃起しなかったのにだ。
パンツをずり下ろすと、ミカエルは男根を玩弄してきた。
すぐに完全に立ちあがり、先走りを漏らし出す。
「はっ…………」
「オメガの割には立派だよね。ベータの陰茎と遜色ないんじゃない?」
爪先でくじられて、腰が震える。さらに乳首も一緒に責められ、俺は呆気なくミカエルの手を濡らした。不能が、治った――。
精液はいつも通りほぼ透明に近い。女との行為ではコンドームの中に隠しているもの。
ミカエルはその精液を舐めとって、「匂いと味は普通の精液と変わらないね」と微笑した。種なし、と揶揄しているのと一緒だ。俺は眼の奥が熱くなった。
「お前、俺で遊んでんじゃねえよ…………」
ミカエルはふふ、と微笑む。
「やめてよ。余計に興奮しちゃうって」
コイツはゲスだ。
おざなりに俺の後孔を鳴らすと、いきり立った男根を突き入れてくる。
そんなふうに乱暴にされても、俺は快楽でのけぞった。
「は…………くっ…………!」
濡れた音が響き、熱い吐息が室内に広がる。
前立腺をゴリゴリと潰すように動かれたとき、また吐精して腹を濡らした。
「これでもイクんだ」
ミカエルは笑みを浮かべる。
睨みつける間もなく、ぐぽっと最奥の子宮口にミカエルの亀頭がはまった。途端に視界は白に染まった。
「あ…………!」
「逃げないで、捕まって」
ミカエルの首筋に誘導されて、かき抱いていた。
さらに深くはまりこむ。
「は…………ん…………!」
脳内に奇妙な多幸感が広がり、直腸がミカエルの陰茎をぎゅうと絞りこんでいく。
「きっつ」
ミカエルは苦しそうに目を細めて、激しく抽挿を始めた。
俺は絶頂が止まらなくなっていた。
やがて尿道口から何かが迸った。射精とは違う感覚だ。ビュッビュッと断続的に噴き出していく。
「潮噴きしてるよ」
ミカエルが耳元で笑う。
まさか、と頭のすみで思ったが、強烈な快感に流されていった。
目が覚めると、ミカエルが頬にキスしてきて「可愛かったよ」と囁いた。
俺は衝動的にその顔面をなぐったが、力が入っていなくてあっさりと避けられた。
「どうぞ。お待ちしておりました」
従業員のユアンが、目を伏せて述べた。まるで視線を合わせないようにしているように見える。
――俺とミカエルが肉体関係だと気付いたらしい。
恥ずかし過ぎて悶絶しそうだった。先週訪ねた日、寝室にこもっていたから気付いて当然だ。もしかしたらよがり声だって聞こえていたかもしれない。俺の第二性についてはどう考えているのか――。
応接室で待たされていると、ミカエルがやってきた。「お待たせ~」と明るい笑顔だ。
寝室に招くと、奴はさっそくベッドに押し倒してきた。そして服の中に手を入れてくる。
「ベータ風の香水、役に立ったみたいだね。まだ香水の香りが残ってる。もっと作っておくね」
それは助かる。しかしこの能天気さは許しがたかった。
そもそも不能になったのは、十中八九ミカエルの影響じゃねえのか。
女のベッドに入ろうとすると、「抱くな」と言ったミカエルの顔がチラつくのだ。
俺は物理的に勃起不全になったのではなく、精神的に縛られてるに違いなかった。しかしそれはそれで屈辱的だった。その屈辱も、乳首をくすぐられると抗えずにふやけていった。乳首で感じてしまうこともなおさら屈辱だった。
「っお前、そこ、やめろ…………!」
「感じてるくせに」
微笑まれて、ぐ、と喉が詰まる。
せめて湧きおこる快感をこらえようとするが、ミカエルは余計に乳首をつついてくる。
引っ張って伸ばされると、形が戻らなくなるんじゃないかと怖くなった。
「い…………!」
「痛い? でも勃起してるよ?」
視線をおろせば、カーゴパンツが確かに盛り上がっている。
水曜日にはどれだけ刺激しても勃起しなかったのにだ。
パンツをずり下ろすと、ミカエルは男根を玩弄してきた。
すぐに完全に立ちあがり、先走りを漏らし出す。
「はっ…………」
「オメガの割には立派だよね。ベータの陰茎と遜色ないんじゃない?」
爪先でくじられて、腰が震える。さらに乳首も一緒に責められ、俺は呆気なくミカエルの手を濡らした。不能が、治った――。
精液はいつも通りほぼ透明に近い。女との行為ではコンドームの中に隠しているもの。
ミカエルはその精液を舐めとって、「匂いと味は普通の精液と変わらないね」と微笑した。種なし、と揶揄しているのと一緒だ。俺は眼の奥が熱くなった。
「お前、俺で遊んでんじゃねえよ…………」
ミカエルはふふ、と微笑む。
「やめてよ。余計に興奮しちゃうって」
コイツはゲスだ。
おざなりに俺の後孔を鳴らすと、いきり立った男根を突き入れてくる。
そんなふうに乱暴にされても、俺は快楽でのけぞった。
「は…………くっ…………!」
濡れた音が響き、熱い吐息が室内に広がる。
前立腺をゴリゴリと潰すように動かれたとき、また吐精して腹を濡らした。
「これでもイクんだ」
ミカエルは笑みを浮かべる。
睨みつける間もなく、ぐぽっと最奥の子宮口にミカエルの亀頭がはまった。途端に視界は白に染まった。
「あ…………!」
「逃げないで、捕まって」
ミカエルの首筋に誘導されて、かき抱いていた。
さらに深くはまりこむ。
「は…………ん…………!」
脳内に奇妙な多幸感が広がり、直腸がミカエルの陰茎をぎゅうと絞りこんでいく。
「きっつ」
ミカエルは苦しそうに目を細めて、激しく抽挿を始めた。
俺は絶頂が止まらなくなっていた。
やがて尿道口から何かが迸った。射精とは違う感覚だ。ビュッビュッと断続的に噴き出していく。
「潮噴きしてるよ」
ミカエルが耳元で笑う。
まさか、と頭のすみで思ったが、強烈な快感に流されていった。
目が覚めると、ミカエルが頬にキスしてきて「可愛かったよ」と囁いた。
俺は衝動的にその顔面をなぐったが、力が入っていなくてあっさりと避けられた。
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