脅されて香水屋αのおもむくままに愛される不良Ωくん

市川

文字の大きさ
7 / 9

しおりを挟む
 日曜日。呼出音を鳴らすと香水店のドアが開いた。

「どうぞ。お待ちしておりました」

 従業員のユアンが、目を伏せて述べた。まるで視線を合わせないようにしているように見える。
 ――俺とミカエルが肉体関係だと気付いたらしい。
 恥ずかし過ぎて悶絶しそうだった。先週訪ねた日、寝室にこもっていたから気付いて当然だ。もしかしたらよがり声だって聞こえていたかもしれない。俺の第二性についてはどう考えているのか――。

 応接室で待たされていると、ミカエルがやってきた。「お待たせ~」と明るい笑顔だ。
 寝室に招くと、奴はさっそくベッドに押し倒してきた。そして服の中に手を入れてくる。

「ベータ風の香水、役に立ったみたいだね。まだ香水の香りが残ってる。もっと作っておくね」

 それは助かる。しかしこの能天気さは許しがたかった。
 そもそも不能になったのは、十中八九ミカエルの影響じゃねえのか。
 女のベッドに入ろうとすると、「抱くな」と言ったミカエルの顔がチラつくのだ。
 俺は物理的に勃起不全になったのではなく、精神的に縛られてるに違いなかった。しかしそれはそれで屈辱的だった。その屈辱も、乳首をくすぐられると抗えずにふやけていった。乳首で感じてしまうこともなおさら屈辱だった。

「っお前、そこ、やめろ…………!」
「感じてるくせに」

 微笑まれて、ぐ、と喉が詰まる。
 せめて湧きおこる快感をこらえようとするが、ミカエルは余計に乳首をつついてくる。
 引っ張って伸ばされると、形が戻らなくなるんじゃないかと怖くなった。

「い…………!」
「痛い? でも勃起してるよ?」

 視線をおろせば、カーゴパンツが確かに盛り上がっている。
 水曜日にはどれだけ刺激しても勃起しなかったのにだ。
 パンツをずり下ろすと、ミカエルは男根を玩弄してきた。
 すぐに完全に立ちあがり、先走りを漏らし出す。

「はっ…………」
「オメガの割には立派だよね。ベータの陰茎と遜色ないんじゃない?」

 爪先でくじられて、腰が震える。さらに乳首も一緒に責められ、俺は呆気なくミカエルの手を濡らした。不能が、治った――。
 精液はいつも通りほぼ透明に近い。女との行為ではコンドームの中に隠しているもの。
 ミカエルはその精液を舐めとって、「匂いと味は普通の精液と変わらないね」と微笑した。種なし、と揶揄しているのと一緒だ。俺は眼の奥が熱くなった。

「お前、俺で遊んでんじゃねえよ…………」

 ミカエルはふふ、と微笑む。

「やめてよ。余計に興奮しちゃうって」

 コイツはゲスだ。
 おざなりに俺の後孔を鳴らすと、いきり立った男根を突き入れてくる。
 そんなふうに乱暴にされても、俺は快楽でのけぞった。

「は…………くっ…………!」

 濡れた音が響き、熱い吐息が室内に広がる。
 前立腺をゴリゴリと潰すように動かれたとき、また吐精して腹を濡らした。

「これでもイクんだ」

 ミカエルは笑みを浮かべる。
 睨みつける間もなく、ぐぽっと最奥の子宮口にミカエルの亀頭がはまった。途端に視界は白に染まった。

「あ…………!」
「逃げないで、捕まって」

 ミカエルの首筋に誘導されて、かき抱いていた。
 さらに深くはまりこむ。

「は…………ん…………!」

 脳内に奇妙な多幸感が広がり、直腸がミカエルの陰茎をぎゅうと絞りこんでいく。

「きっつ」

 ミカエルは苦しそうに目を細めて、激しく抽挿を始めた。
 俺は絶頂が止まらなくなっていた。
 やがて尿道口から何かが迸った。射精とは違う感覚だ。ビュッビュッと断続的に噴き出していく。

「潮噴きしてるよ」

 ミカエルが耳元で笑う。
 まさか、と頭のすみで思ったが、強烈な快感に流されていった。

 目が覚めると、ミカエルが頬にキスしてきて「可愛かったよ」と囁いた。
 俺は衝動的にその顔面をなぐったが、力が入っていなくてあっさりと避けられた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果

SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。  そこで雪政がひらめいたのは 「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」  アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈  ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ! ※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

幼馴染みのハイスペックαから離れようとしたら、Ωに転化するほどの愛を示されたβの話。

叶崎みお
BL
平凡なβに生まれた千秋には、顔も頭も運動神経もいいハイスペックなαの幼馴染みがいる。 幼馴染みというだけでその隣にいるのがいたたまれなくなり、距離をとろうとするのだが、完璧なαとして周りから期待を集める幼馴染みαは「失敗できないから練習に付き合って」と千秋を頼ってきた。 大事な幼馴染みの願いならと了承すれば、「まずキスの練習がしたい」と言い出して──。 幼馴染みαの執着により、βから転化し後天性Ωになる話です。両片想いのハピエンです。 他サイト様にも投稿しております。

世界一大好きな番との幸せな日常(と思っているのは)

かんだ
BL
現代物、オメガバース。とある理由から専業主夫だったΩだけど、いつまでも番のαに頼り切りはダメだと働くことを決めたが……。 ド腹黒い攻めαと何も知らず幸せな檻の中にいるΩの話。

幼馴染が結婚すると聞いて祝いに行ったら、なぜか俺が抱かれていた。

夏八木アオ
BL
金髪碧眼の優男魔法使いx気が強くてお人好しな元騎士の幼馴染の二人です。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

孕めないオメガでもいいですか?

月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから…… オメガバース作品です。

処理中です...