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第1話
しおりを挟む「俺、ネコがやりたいねん」
「はぁ?そんなデカいの抱けへんよ。声も低いし。俺が抱かれたかったんに」
何度言われてきたか。
小学生までは小さかった
背の順も前の方に居た。
中学に上がってからどんどんと数字は増え俺より背の高い人と出会うことが難しくなった。
男が好きだと気付いた時
俺は抱かれたいんだと気付いた時
この数字を恨んだ。
小さく、可愛らしく生まれたかった
きっと普通の男性からは羨ましいと言われるのだろう
でも俺は小さく生まれたかった
好きな男に抱かれたかった。
何度もタチになろうとチャレンジした
良かった、と何度も言われた。
それでも、今週どう?という連絡は返せなかった
俺は高身長でも好きな人に抱かれたい
そんなに叶わない夢だとは思いもしなかった
週に一度
心待ちにしてる日がやってくる。
カレンダーには猫のシール
187cmの大男が首を長くして待ち望む日
俺はこの日があるから頑張れる
「よっさーんおーい。おるかー?」
ピンポーン
間延びした音が家具の少ない部屋に響き渡る
室内モニターを見れば
鼻の頭を赤くした、茶髪
ご機嫌そうにご自慢の八重歯を剥き出し笑顔の男
「おーい。寒いってーはよいれてーやー」
口角が自然と上がるのが分かり、急いで仏頂面に戻す
こんな顔見られたら何言われるか
「今開けるー」
モニターの通話ボタンから手を離しついでに
offにする
玄関はひんやりと冷え、外の寒さがどれほどなのか
何となく想像が出来た
解錠音が鳴り、すぐにノブが捻られた。
「おお今日もデカいなぁ!明日雪降るらしいで」
12月も半ばになるというのに
まるで秋口のような薄着
「木元…寒ないんか。風邪ひくで」
「バカは風邪ひかんよ」
「そういう事やないやろ」
半ば呆れた俺の横を
さぶさぶと鳴きながらリビングへと歩いていく
彼もそこそこ身長あるのに、俺から見れば小さい
「寿司買うてきた!よっさん寿司好きよな?」
「好きやけど、寿司やのーて海鮮丼なるで」
ブンブンと振り回していた腕をピタリと止め
そういやそうやな…と呟き袋の中を覗き見ている彼の横を通過する
「コーヒーでええか」
「よっさん…お寿司ひっくり返ってもーてる…コーヒーがええなあったかいの…」
悲しそうな顔でレジ袋の中を覗いている彼
「ほんまこいつの…」
え?なんて?と素っ頓狂な声が飛ぶ
「ぐちゃぐちゃでも腹に入れば同じやろ。ええから上着掛けてこいよ」
「せやな!分かった!」
寿司をテーブルの上に置き、コート掛けに向かう後ろ姿
ほんまこいつのどこが好きなんやろな。
もう出会って10年になる
好きだと気付いて5年
週に1度、こうやって顔を合わせるようになって2年
いまだに分からない。
分からんけど好き
そんな感情に出会ったのが初めてで
考える前に蓋をするようになった
あーもう分からん!ってなる感情があまり好きではないから
今回も蓋をするためにお酒を1口、煽った。
徐々にお酒も入り気分も良くなってきた
こいつと飲む時はあまり飲まないようにしている
木元はお酒が飲めないと言うのもあるが
余計な事を口走らないように、の方が大きい
「よっさんはさー身長も高いし、声も低くてええ声してるやろ?筋肉もついてて、ほんで綺麗好きやん?」
頬杖をついて俺を見やる
「なんや急に。」
「いやな、なんでモテへんのやろおもてな。もう結構長く付き合ってるやろ?なのに1回も浮いた話聞かへんねん。まじで恋人おらんやん。なんでなん?」
ゲイだから。
なーんて言えやしない
交わし文句は大体決まってる
「別に恋人欲しいって思っとらんからなぁ。外にもでーへんし」
これしか思い浮かばない。
恋人は出来たことはある、口説かれたこともある。
もちろん男の人で
だけど大体俺の要望を聞いて離れていく
「なんか変わってる性癖があるんか?」
ニヤニヤした顔を見れば冗談で言ってる事は分かってる
けど核心といえば核心だし、一瞬体からギシッと音が鳴った
「お?図星?」
「さー。どやろな?自分の性癖が変わってるとか周りと擦り合わせてもあんま分からんくない?」
上手く交わせた、きっと
焦りを隠すようにお酒を飲んだ
「じゃあ自分の変わってると思う性癖の擦り合わせしてみよや!僕からな!」
さすがアホや!
こう来るとは思っとらんかった!
「えとなー。あ、タッパのある人抱くん好きやな」
「ほう。背高い人がええんか」
少し嬉しくなった。
俺は抱かれたいのだ。
でもみんな俺に求めるのは抱いてくれだった
背の高い男を抱いてくれる人は居なかった
「おん!なんか、ええやん?おっきい人を組み敷いてる時の高揚感?みたいなやつ?好きやねんな。でもよっさんよりデカい人なんてそうそうおれへんから分からんか」
「確かに分からんな」
「そうよなーはい、よっさんは?」
話を伸ばして忘れさせようと思ってたが上手くいかなかった
「えー…うーん…主導権は向こうに持っててもらいたい…かな…」
「よっさんMなの!?」
「えっ?あーそういう考えもあるか…」
顎に手をあててふむ…と考え込む
抱かれたいって思うってことは少なからずそういう感情があるんだろうな…と自己解決した
「ほなら次僕な!ちょっと爆弾行こかな」
爆弾?それなら俺も持ってるけど。とは言わず
爆弾?とだけ返した
「これは気心知れてるよっさんだから言うんやで、絶対言っちゃアカンよ」
「なんや勿体ぶって」
あのな…と溜めてから
少し言いづらそうにしてから口を開いた
「僕、男の人1回でいいから抱いてみたいんよ」
「お…っと…?」
予想外の暴露が来た。
これはいけるか?と
いやアカン!の気持ちがぐるぐる渦巻き、
耐えきれなくなり残っていたハイボールを一気に煽った。
「…どゆこと?」
「好奇心…なのかな…分からん。けど男の人の体に魅力感じんのよ。女の子みたいな魅力」
大層真剣な表情をして言うもんだから面白くなってしまって吹き出した
「な…ちょっとなんで笑うん!?」
「すまん、あまりに真面目な顔しとるもんだからつい…」
「よっさん酔ってきてるやろ。あんま笑わんよっさんが吹き出すっちゅーことはそういう事や」
確かにふわふわはしてる。
理性も少し遠くの方に行ってしまってる気もする
「木元、つまりタッパのある男抱いてみたいっちゅーこと?」
「そういう事になるな…あっ」
何かに気づいたように俺を見つめる。
気づいてしまったか、つまり
俺で解決するという事に。
段々と恥ずかしそうにモジモジしだした木元を見て
耐えきれなくなりまた吹き出した
「そんな顔するなて!」
「いやすまん…総合してよっさんの事抱きたいって口説いてる奴みたいになってもーた…怖がらんでな!?手は出さんよ!」
必死に、それはもう必死に。
「抱けばえーやん。俺もそれを望んでるよ」
「…え?今なんて…?」
あれ?
「俺今なんて言った…?」
「抱けばえーやん…」
あっ。理性さんより知性さんの方が遠くに行ってしまってたみたいです
「ええの…?抱いて」
引き返すのは勿体ない。
「ええよ。」
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