8 / 13
高身長くんを抱きたい!第1話
しおりを挟む遠くの方で音が鳴っている
ぼやっと漂っている意識を手繰り寄せていくと
どんどん音が近くなってきた
カチャカチャと食器が当たる音
コポコポとお湯が沸く音
それに伴って瞼が明るくなる
ここはどこや?
昨日、よっさん家で寿司食おおもて買ってって、
それから……。
それから。
急激に意識が浮上する。
せや、よっさんを抱いたんや
パッと目を開けると真白の天井。
胸下を見ると自分は持っていない灰色のTシャツに黒いジャージの半ズボン
夢かと思っていた音は現実で鳴っていた
よっさん起きてるのか
「んあぁ…」
大きなあくびを1つ
喉がカラカラで引っ付いた。
体を伸ばせば強ばっていた筋肉が解れた。
「あれ、起きたんか。おはよう」
開いていた寝室からひょっこりと顔を覗かせ、低く心地よい声を響かせたのは背の高い男だった
「ん、おはようよっさん。はやいなぁ」
「お前が寝坊助なんや。もう11時やぞ」
ふんわりと柔和に笑う男は髪型はかっちりと決め直してボーダーのワイシャツに薄いベージュのカーディガンを羽織っていて、いつも俺が見てるラフに佇んでる姿ではなくてよそ行きの姿だった。
笑顔以外は。
イ、イケメンおるー!
こんなん女の子から見たら100点満点やないか
心でそうぼやき、立てた左膝に頬杖を付いた
「なんや、その不服そうな顔は」
困ったように笑うその顔は自分が女だったらイチコロだろうなぁと思う
その顔があんなに卑猥に歪むんだもんな
なんだか世界中の女に勝ったような気持ちが湧いた
「別にぃ」
口を尖らせてそう言うと寝室に足を踏み入れベッドに片膝ついて四つん這いで顔を近づけてきた
「な、なんやの」
「別にぃ」
再び柔和に笑うと大きな手のひらで頭を撫でられる
カァっと顔が熱くなるのが分かる
「飯食わんの」
「飯あるん?」
あるよ、とリビングの方を指さしよっさんはベッドから離れた
身長差はそこそこ。
ベッドに座ってる状態で見下ろされると背の高さに惚れ惚れする
神様って残酷や。身長もいい声もカッコイイ顔も家事力も仕事力も全部こいつに渡したんちゃうかな。
ポーっと顔を見つめてると再度、なんや?と怪訝な顔をされる
「何でもないよ…」
1人傷ついてるだけだから気にせんといてや…
これで女の子にモテないとか絶対嘘だ。
困ったような笑顔で傷付けないようにお断りしてる姿が目に浮かぶ
「はよ食いや。冷めるで」
怪訝な顔のままリビングに踵を返す後ろ姿はガッチリとまではいかないものの多少筋トレしてますよーと言っているかのよう。
肩幅は広く、黒いスキニーを履いた足は細すぎもせず太すぎもせず。おしりはキュッと丸く上についている。
かたや自分は…と考えそうになった所で頭を左右に振りベッドから降りる。
アカン、ごはん食べよ
小さくため息を吐いてリビングに足を向けた。
「タバコはベランダや。飯はテーブルに置いてある」
リビングに着いてそうそう電子タバコに手を伸ばした僕を見つけたよっさんはキッチンから開口一番そう言った。
「ほーい。まだ吸わんけどな、先に飯頂きます」
テーブルに目を配ると白飯に鮭と目玉焼き、味噌汁とお新香が添えられている。
ザ・ジャパン
「よっさんご飯派?」
「すまん、パン派やったか」
いやいや、と首を振り席に着いた。
「僕は昔からご飯派。でもこんな日本の朝ごはん!って朝飯食った事ないわ嬉しい。」
「もう昼食やけどな。」
確かに、とスマホを開いて思った。
もう12時手前。
昨日散々騒いだから疲れたんだろうか
久しぶりのエッチって訳でも無かったが、なんか盛り上がるものがあったんだろうな
「お茶とコーヒーどっちがええ?牛乳は無いで」
「お茶がええなぁ」
了承の返事と自分の頂きますが被る。
鮭を口に運びながらよっさんはいつも通りだなと目を向ける。
昨日散々あんなんになったんに
僕だったら恥ずかしくて目も合わせられない
しっかしエロい男だった、長い付き合いなのに全然知らなかった。
エロいは置いといて男が好きって言ってくれても良かったのに。僕そんなに偏見しそう?
誰が返事してくれる訳でもなく自問自答をする。
お茶を入れ終わりこちらを向いたよっさんと目が合う
「…あのさ、木元。」
「はっ。…なに?」
眉を八の字に下げシンクに両手を着いた。
「俺の事見すぎ。照れるからやめて」
「…僕そんなに見てた?」
息を1つ着いて首を縦に振った
「なんや思う所色々あるみたいやけどその凝視やめて?」
「すんまへん…」
いたたまれなくなって持っていたお茶碗で顔を隠す
お茶を持ってテーブルまで来ると向かいに胡座をかいて座る
「言いたい事あるならちゃんと言いや。百面相でじっと見られるとかなわんよ」
出た、女の子悩殺困り笑顔
「イケメンやなぁ、とおもて…」
「はぁ?1つ目がそれ?なんやねん…」
口では呆れているようだけど、顔は安堵していた。
俺に突き放されるのが怖かったんだろうな、と分かる
深夜のノリってよくあるし、それなんじゃないかって疑われてたんだと思う。
「僕がそんな男に見える?」
「なにが?宇宙と会話しとる?」
「よっさんと会話しとる。顔がそんなことで良かったって顔しとるから」
ボリボリと音を立ててお新香を噛みながら顔を見ると、顔にはバレたか。と書いてあった。
「僕はちゃんと自分の心とちんちんで会話しとるから、エッチしたあと後悔した事ないで。むしろ感謝しとる」
よっさんに向けて両手で拝むポーズをすると、安心したような笑顔でなんやねんと言ってくれた。
多分今までのよっさんはおもてなしの心で僕と接してたと思う。
嫌われないように、引かれないように。せめてもってやつ
「僕はよっさん抱けて良かったよ。こんなイケメンの裏の顔しれたんやで?しかも体の相性もいい。僕ラッキーやん。」
「俺の事イケメンやと木元は思うとるの」
「思うとる!危うく惚れかけた。あのくそえっちなよっさんと朝のよっさん。これこそギャップ萌えやな」
萌え~と言いながら指ハートをプレゼント
よっさんは苦笑を零すと指ハートを手で叩き落とす。
「そんなん言われた事ないわ。声が低くていいーは言われた事あるけど」
「いや、ちゃうねん。多分よっさん鈍感なだけだと思うわ。絶対会社でよっさんに心惹かれてる乙女おるよ」
嬉しないな、男がええわなんて悪態つきながら満更でもない顔でコーヒーを啜った。
そう、本当はそれも聞きたい。
なんで僕に男が好きって今まで隠してたのに言ってくれたのか。
昨日、ふと目に入った寝室の壁掛けカレンダー。
僕と会う日の全てに可愛い猫のシールが貼ってあった。
たまたまか、それとも。
悶々とするがこれはまだ聞かないでおこう
お味噌汁をすする。
「木元今日暇か?」
何でもない質問が飛ぶ。
でも緊張が解れた声質だった。良かった。
「暇やで」
「ほなちょっと仕事に付き合ってくれへん?」
「おん?ええよ、なにするん」
聞くと、スマホを手にし何かを検索しているよう
ご飯をモグモグ食べ進めていると検索結果を見せられた。
「これは…ゲームのコラボカフェ?」
「そ、ちょっと行かなアカンねん。木元も好きやろこのゲーム。遊びがてら付き合ってや」
「どっちの仕事なんそれ。よっさんで行くん?それともちゃう方で行くん」
よっさんは仕事が2つある。
1つは会社勤めのプログラマー
もう1つは…
「『みやび』で行かなやな」
人気のゲーム配信者
低くていい声!落ち着いたプレイング!関西弁がまたいい!なんて言われてる。
「ほーん。ええよ、女の子にキャーキャー言われとるの見てりゃええんやな」
「キャーキャーは分からんけど…まぁせやな、少しゲームしてプラプラしようや」
僕もこのゲーム好きでやってるし、楽しそう。
あ、だからかっちりキメてたのか。
そうか、このイケメン目当ての女の子に囲まれて笑顔振りまくの見てなきゃなのか。
「なんか、よっさんが女の子に囲まれてキャーキャー言われとるの見てなきゃアカンって想像したらモヤッとしたわ今」
なんやろう?とよっさんの顔を見ると目を丸くして僕を見ていた。
え。なに?
「…ヤキモチ?僕今ヤキモチ妬いとる?」
「知らん…けど俺はそう受けとった。から嬉しい。」
「え、嬉しいの?」
しばらく見つめ合った後、2人同時にテーブルに視線を落とした。
ヤキモチ妬いたのか?それが嬉しいってどういう…。
「なんかむしゃくしゃするから帰ったら抱かせてな…」
「意味わかれへん…。」
僕も自分の感情が意味わからへん…。
頭がこんがらがり、それを解きながらゆっくりとご飯を口に運んだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー
白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿)
金持ち社長・溺愛&執着 α × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω
幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。
ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。
発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう
離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。
すれ違っていく2人は結ばれることができるのか……
思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいαの溺愛、身分差ストーリー
★ハッピーエンド作品です
※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏
※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m
※フィクション作品です
※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる