惚れ薬をもらったけど使う相手がいない

おもちDX

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 駄々をこねるみたいにガシャガシャと足枷を鳴らすと、ふっと笑った気配が鼠蹊部にかかり、指先が入ってきた。
 摩擦が強く擦れる感覚は慣れた身体にも刺激的だ。なによりあのグラースの指だと思えば、緊張でキュッと力を入れてしまう。

「狭いな……」
「う、ふぁっ……。は、入るから……っぁあん!」

 グラースの呟きに、もっと大きなものでも入るんだと、だからそれを挿れてくれとシュエは言いたかった。
 けれどぐるりとナカで回転した指に前立腺を捉えられ、言葉は嬌声に変わる。そこを押され、さらには増えた指で何度も擦られるたび、前を弄られたときよりも甘い響きが声に乗ってしまう。

 ひくひくと内壁は痙攣し、もっと圧倒的な力で屈服させられる未来を期待している。気持ちいい。でも、もっと……!

「んっ、グラース……。ぐらーすぅ! も……ああっ。挿れてぇっ……」
「くそっ、ちょっと待て」

 シュエから離れ、グラースは寝台脇の小棚を漁りだした。焦っているのだろう、ガサガサと煩いほどの物音を立ててから香油らしき瓶を探り当てたグラースを見て、シュエは目を丸くした。呆れとも感心とも言えない声が漏れる。

「助かるけど……そんなものまで持ってたの?」
「いつ、なにがあってもいいようにだな……」

 まあそうか。いつ来るかもわからない、結ばれるかもわからない相手のためにネグリジェや拘束具を用意しているような人が、香油ごときを用意していないはずがない。
 恥ずかしそうに言ってから下履きを脱いでいるグラースの背を見ながら、いい体勢になろうと身を捩ったシュエはカシャンとまた枷に阻まれる。

「ぐらーす……これ、……あ、……」

 もうそろそろこれも外してもらおうと声を掛けたときだった。グラースがシュエの方へ向き直ると、美しい裸体が朝の陽光に照らされた。

 筋肉量の多い、逞しい身体だ。幅も厚みもある上半身から見下ろしていくと、腰はきゅっと引き締まり、中心には高くそそり立つ陰茎がそびえていた。
 腹につきそうなほど反り返り、血管がビキビキと浮いている。先端は期待に濡れて光って、あまりに魅惑的だった。

 シュエの腹の奥が、ずくんっと強く疼く。

(枷なんてどうでもいい。とにかく早く、欲しい……!)

 シュエの目の奥の情欲に気づいたのか、グラースはすぐに覆いかぶさってくる。腰を浮かせて下半身を押し付けると、グラースは香油を二人の重なった場所に垂らした。

 両脚を大きく広げて持ち上げられると、枷の長さに阻まれる。すると十分に脚を広げられるまでグラースの方に引き寄せられて、今度は両手を上げる形になった。
 完全に主導権を握られている。自由に動けない体勢に、もどかしく思うより興奮が勝った。

 露わにされた孔に、硬く熱いものが宛てがわれる。腹に力を入れて受け入れる構えを取ると、すぐに襞と粘膜を拡げ押し入ってくる圧迫感があった。

「あ、あ、あ……っあ!」

 手に汗を滲ませたグラースは、掴んだ膝から腿を撫で、ゆっくりと腰を押しつけてくる。

「……――は。入った……」

 どうにか暴発せずに全部入ったと安堵を滲ませた声だったが、シュエには気づく余裕などなかった。ぴくりとも身体を動かさずに浅い呼吸をしている。

 外の反応は多少制御できても、内臓はどうしようもない。収縮して吸いつくように陰茎に触れるそこを、グラースが挿れたのと同じ時間をかけて慎重に引き抜いてくる。反射でシュエの身体がのけぞった。

「ぁ、だめ……」

 内壁がうねり、薔薇色の口元から声が漏れる。

「まって、いつもとちがう、まず――いっ」

 細い悲鳴のような主張は、グラースの雁首で捲られた後ろが再び突き上げられたことで、本当の悲鳴に変わる。完全に無意識下ではあったものの、比べた発言でグラースのたがは吹き飛んでしまったようだった。

 強い律動に翻弄される。苦しいほどの快感に息を合わせることができず、意識がちらつく。
 枷で快感を逃がす先もなく、グラースの好きに揺さぶられていることが、シュエの隠れた嗜虐心を炙った。

「は、んんっ。あ……ッあ゙~~~――っ!!!」
「ッシュエ……!」

 激しい情熱をぶつけられる行為は、紳士なグラースだからこそシュエの身体を熱くした。
 脚を掴んだまま押しつぶされるように身体を畳まれ、噛みつくようなキスが降ってくる。最後の悲鳴はグラースの口の中に消えた。
 
 張り詰めた陰茎の先端から押し出されるようにして白濁が溢れる。緩い吐精がだらだらと腹を汚すのとほぼ同時に、シュエの中にも流れこむものがあった。
 びくびくと蠕動を繰り返す内腔が、子種を喜んでいるようにも感じるのが少し恥ずかしい。

 腹の中の感覚までもが鮮明で、まだ存在感のあるグラースを強く感じる。ここまで心が満たされ、ここまで乱れてしまった行為は初めてだった。

 まだ呼吸も荒いが、ちゅっと小さく可愛いキスをグラースの唇に押し付ける。幸福の笑みで頬が上がった。

「好きだよ、グラース」
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