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25.※

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「お、おまたせ……」
「遅い」

 ガウンだけを身につけて戻ると、テルルは我が物顔で僕の寝台に腰かけ待っていた。サイドテーブルのランプには当然のごとく火が灯っていて、なんとなく……あの夜を彷彿とさせる。
 
 もじもじとテルルの前に立って声を掛ければ、すぐに立ち上がって抱きしめてくれた。あぁ。これだけでも気持ちいいのは、あの夜と違って僕たちが相思相愛になっているからだ。
 僕も気が急いていたから、そんなに時間は経っていないと思うんだけど……バスローブ一枚のテルルに抱きしめられたら、どうしてこの体温から一秒でも離れていられたんだろうとぼんやり思った。

「それで、どんな風に抱かれたい?」
「え、えっとぉ……縛って、ほしいなー……なんて」
「ふはっ」

 ねぇ、テルルはサービス精神旺盛すぎない? まさかリクエストを聞いてもらえるとは思っていなかったから、僕は慌てた。
 だって今日はもう、散々に焦らされて、何度も寸止めをくらっているのだ。頭の中では欲望がぐるぐると渦巻いていて、とっさに思いついたのが帰り際、飾り紐で拘束されて苛められたことだった。あれは最高だったなぁ。
 テルルは笑って頷いた。けど……お願いはもうひとつ。

「もう……焦らさないでほしい」
「了解」

 だろうな、と呟いたテルルの顔は壮絶な色気を放っていた。
 もう一度キスからスタートして、自然な流れで寝台へと押し倒される。テルルは眼下にまるで食べ頃のご馳走があるかのように目を細め、僕のガウンの紐を抜いた。昼間は括っている髪も、いまはシーツの上に散らばっている。
 素直に両腕を差しだすと、テルルは騎士団員なら誰でも知っている、敵を縛り上げるときのやり方――解こうとするほどきつく絞まる――で手首をまとめ上げた。

 それを見て、僕の喉はひくっと引きつる。これで完全に両腕を封じられたという本能的恐怖が身体を襲った。でも、テルルはとっくに気づいているだろう。紐がなくなったことでガウンから丸見えになっている僕のペニスは、とっくに完勃ちだった。
 ちょっと触られれば簡単に達してしまいそう。しかしテルルの方も臨戦態勢なのだ。焦らさないでとは言ったものの、僕だけがイかされても嬉しくない。

 僕は意思表示に、コロンとうつ伏せになってから四つん這いになった。

「もう少しほぐせば、挿入るはずだから」
「……ふ~ん。えっろ」

 バチンと尻を叩かれて、ひくっと孔が収縮した。その衝撃で、さっき仕込んだ香油が一筋漏れ出てくる。
 それは僕の陰嚢を伝って、ポトリ。シーツに染みを残した。

「ひぅっ」
「アウローラ……やりすぎだ」
「だ、だって……んぁ!」

 香油が伝う感覚さえ敏感に拾ってしまって、ぞわぞわと皮膚が粟立つ。きっとテルルには、甘いはちみつの香りが届いているはずだ。それをどう受け取ったのか、テルルは前触れもなく、滑りを利用して指を突っ込んできた。
 にゅくにゅくと動かされ、すぐに広がる快感に喘ぐ。指一本でさえもテルルだと思うと気持ちよくて、無意識にキュウッと締めつけてしまう。

「あっ。てるるぅ、はやく」
「すごい締めつけ……ほんとに入るか?」
「だ、大丈夫だって……ひぁ、ああんっ!?」

 指を増やされたことで内腔の圧迫感が増した。なにかを探るような動きのあと狙ったように前立腺を押され、強すぎる快楽に高い喘ぎ声とともに背中は弓なりになってしまう。
 括約筋を緩めようと手を動かされているため、多少の苦しさはある。けれど同時にもう片方の手が腰の、尾てい骨辺りを撫でてくるから、ぞわぞわした擽ったさが腰から広がって力が抜けていく。

「ふっ。……うぅん」

 腕から力が抜けて、縛られた手首に額を乗せている状態だった。体幹で身体を支えていたが、なんだか芯からふにゃふにゃになってきて不安定だ。
 なんとか首を動かし、後ろのテルルを振り向く。海嵐のように荒ぶる瞳と目が合って、僕は目を潤ませながら懇願した。

「焦らさないでって……いったぁ」
「あ~~~、くそ! 痛くても知らないぜ」
「いいから、早くして……んむっ」

 身を屈めてきたテルルが唇を合わせてくる。甘く舌を吸われうっとりした瞬間、後孔に熱杭が充てがわれた。すごく熱い。垂直にグッと押し込まれ、僕は必死に力を抜いた。

「あっ、てるる……てるるぅっ」
「ゔ。吸い込まれる……」

 痛くはない。圧倒的質量に苦しいくらいなのに、雄の来訪に歓喜した身体はテルルを奥へ奥へといざなってしまう。さっき間近で見た、エグいほどカリ高の先端がゴリゴリと中の襞を巻き込み、僕の弱いところを全部刺激していく。すごく、きもちいい。

「んっ、あ、あ、……てるる」
「ローラ、愛してる……」
「っ……!!」

 指では届かないところにまでペニスが到達した瞬間。耳元で愛を囁かれて僕は陥落した。――つまり、あっさりと達してしまったのだ。
 触れてもいない花芯からぴゅっと精液が飛び、シーツを汚す。ビクッビクッと痙攣してしまったことで異変に気づいたテルルは、嬉しそうに背後から耳を噛んだ。

「挿れただけでイくなんて……すごい成長だな?」
「あんっ……ま、まって。まだ動かないで!」
「駄目だ」

 射精後の余韻に浸っていた僕は、テルルが身じろぎしたことで慌てた。今やナカの感覚はさらに鋭敏になり、少し動かされるだけで痛いほどの快楽が襲ってきたからだ。
 しかし容赦なく身体を起こしたテルルは、崩れそうになっている僕の腰を両手でがっしりと掴み、ズン! と奥に熱棒を叩きつけてきた。

「あ゛ぁ!」
「ローラ。俺のアウローラ……」

 内腔は僕を裏切って雄に絡みつき、精をねだるように締め付ける。テルルが強いストロークで根本まで押し込むと、尻にテルルの腰が当たってパンッと音が鳴る。
 香油だけではないニチュニチュとした水音。寝台がギシギシ鳴って、行為の激しさを物語っていた。
 それをかき消すほど自分の声がうるさい。この衝撃を、快感を、声に出して逃がさないと溢れ出してどうにかなってしまいそう。

「あっ。んっ、あぁ! だめ、もうだめ!」
「くっ。俺ももう……!!」

 全身に力が入って、首を逸らしながら僕の中にいるテルルをぎゅううっと締め付ける。逃しきれず溜まりに溜まった快感がパン! と弾けたように僕は達して、全身を震わせた。目の前に星が飛んでチカチカと白む。
 同時に、奥で動きを止めたテルルの熱が弾ける。じわっと熱い飛沫を胎内に感じて、もう一度僕は身震いした。ドクン、ドクンと脈打つペニスの形が分かる。

 僕はうっとりとした心地でテルルを振り返り、「テルルの、きもちぃぃ……」と呟いた。
 目が合ったとたん獣のように喉の奥をグルッと言わせたテルルは、僕の腰を落としうつ伏せの状態にして、奥を捏ねるように腰を動かす。たっぷりと注がれた精液が、腹の奥でグチュッと鳴った。

「あっ……まってそれ、もっとだめ!」
「好きだろ?」

 好きだけど! ていうかなんでデカいままなの!?
 テルルは初めてのときに見つけた、僕がぐずぐずになる場所を先端で捏ねてくる。ご丁寧に、両手で尻肉をかき分けて……奥の、窄まった場所。通常サイズの張り型では決して届かない場所に到達して僕を蕩かすことができるのは、テルルだけだった。

「んんぅ……んぁ~っ、あ……なんか、てるる」
「もっと奥、行けそうだな」
「ひ。む、むり……ん~~っ。だめ、入っちゃう……」
「ローラ、入らせてくれ」

 トントン、ノックのように奥を叩かれるとだんだん肉壁が蕩けてくる。これ以上、気持ちいいのは無理なのに……テルルに明け渡してしまう。

 ――グポッ、と可愛くない音が体内に響いた、その瞬間。
 意識が飛んだ。


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