抱かれたい男No.1だけど抱かれたい

おもちDX

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51.王都十日目

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「聖女様、お加減はいかがでしょうか」

 そんな声が聞こえてきて、浅い眠りと覚醒の狭間を揺蕩っていたイーリスは目を覚ました。
 白く、広く、質素だが清潔な部屋に置かれた寝台で横になっている。ここは神殿内部にある宿舎でも最も奥まった場所にある特別室だ。

 だが聖女なんてここにはいないし、ましてや男の部屋に女性がいたら問題である。
 だから無視をして、イーリスはもう一度目を閉じた。どうしてこんなにも眠いんだろう、と思いながら。

「聖女様、フェルゼ・ヴェルトライゼ伯爵が面会にいらしております」
「!? 早くそれを言ってくれ!」

 自分を聖女だなんて認めていないし、思ったこともない。しかし大神官シュネーがフェルゼの名前を口にした途端、イーリスは飛び起きた。

 いま身に纏っているのは真っ白な神官服で、立ち上がったイーリスの肩にシュネーがマントを着せ掛けてくる。絹の金糸で繊細に刺繍のなされたマントは、シュネーの纏っているものよりも一段と豪華だ。

 事情があって神殿を出られないイーリスに用意された服がこれだったので、最初は抵抗したのだが。結局こちらの服の方が神殿では目立たないと教えられて折れた。
 だが今となってはそれも言い包められたとしか思えない。

「イーリス様……! ご足労いただき感謝いたします」
「やめてください……ヴェルトライゼ伯爵。おれは今もただのイーリスですから、普通に話していただけると助かります」

 姿を現したイーリスに、フェルゼは目を輝かせて目上の人に見せるような態度を取ってきた。イーリスは内心うんざりした。噂のせいもあるが、絶対この服装がその大袈裟な態度を後押ししていると思う。

 眉を下げて困った表情を見せると、フェルゼは「君の困惑もわかっているけどね……」と小さく笑った。大変失礼な言い方ではあるが、この人は意外にいい人だ。

 フェルゼはラートの処遇について進捗を教えてくれた。
 つい先日に起きた魔物による王都の混乱は、ラートが中心となって引き起こしたものだとあの後発覚している。フェルゼがすぐに動いてくれたおかげだ。

 やはり闇魔法の使い手である騎士ゲッフェンも仲間だったという。二人はなんと、南にあるポモージュ台地から瘴気だまりで穢れた土を持ってきて、王都の森であるケーグリッヒに撒いたというのだ。

 ゲッフェンは元々南方騎士団にいて、当時から魔物の研究に取り憑かれ魔物の好む香りなども研究していたそうだ。だから王都に魔物を出現させることに成功した時、その矛先までもを誘導することができた。

 しかし根本となる動機はラートが黙秘を続けているため、よく分かっていないそうだ。王族なので刑務官が拷問にかけて聞き出すなんてこともできないらしい。

 逆にゲッフェンは遠慮なく拷問にかけられ、土を撒いた場所などもすぐに吐いたという。あの日以降魔物の出現は認められていないものの、今のうちと精鋭の騎士たちが土を回収し、今日にも神殿へ持ってくることになっている。
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