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身体が熱い。性的な衝動が真ん中から生まれ、どんどん膨れ上がっていく。
「はぁっ。あぅ……んんっ……」
ミネットはこの感覚を知っていた。約三ヶ月に一度訪れる、オメガのヒートだ。
自分を慰めれば気持ちいいのにどこか満たされないその期間は、抑制剤を飲んでいてもつらく、ときおり泣きながらやり過ごす。
「ふあ、きもちい……」
「かわいいね、ミネット」
それが今回は全然つらくない気がした。ただただ気持ちよくて、ふわふわと快楽に身を任せる。
実家にいるからだろうか。大好きな匂いに包まれて、これ以上ないくらいに安心してヒートの熱に溺れられそうだ。
張りつめたペニスがちゅこちゅこと扱かれ、絶頂への階段を駆け上る。どうせ一度じゃ満足できないし。ミネットは全く我慢することなく、欲を解放した。
「ん~~~! っは…………あれ?」
際限ない発情のすき間、達した直後の、つかの間の冷静な時間。違和感に気づく。
自慰をしていたはずなのに、動いている感覚がない。自分が半分寝ていて夢心地なことは気付いていた。
瞼をこじ開けると、ミネットの両腕はなぜか大事な先輩のローブを抱き込んでいる。あれ? 厳重に保管してあったはずなのに。
「起きたかい?」
「えっ……レヴリー先輩!?」
「ん。甘い香りが濃くなったね」
後ろから声を掛けられてビクッとする。そろそろ……と振り向くと、至近距離に先輩の顔があった。なんで!?
というか座った先輩の脚のあいだに、背中を預けてミネットも座っている。しかも丸裸で。ねぇ、なにごと!?
内心大混乱なのに、達したばかりのペニスに先輩の右手が添えられる。左手は赤く尖った乳首を摘む。
「ひゃぁっ」
「まだまだ足りないだろ? かわいい姿をもっと見せてくれ」
自分の出したものと、たぶん香油と。ヌルヌルになったものが上下に擦られると、もうたまらない。胸の飾りがこんなにも感じるなんて。
わけがわからなくて動きを止めようと先輩の腕を掴むも、全く力が入らなかった。自分とは違う大きな手が気持ちよすぎて、ミネットは喘ぐことしかできない。
「んっ。ん、ん……せんぱい、すぐ、イッちゃうぅ……」
「いいよ。ただしこっちを向いたらね?」
「ん……?」
快感にぼやけた頭では、なにを言われたのかわからない。一瞬固まっていると先輩の左手がミネットの右頬に添えられ、左を向かされる。
黒い鏡のような目が、じっとミネットの顔を見つめてくる。強い眼差しを感じると同時、発情しきった自分の顔が映り込んでいて恥ずかしい。
しかしどうしても視線を外すことができずに、見つめ合ったままミネットは二度目の絶頂を迎えた。
「ああ、そんなときの顔までかわいいんだね」
「せ、先輩……ガゼボで倒れてから、なにがどうなってこうなってるんですか?」
ミネットはようやく直前のことを思い出し、先輩に尋ねた。
ここは自分の寝室だ。カーテンは閉じられランプで室内が照らされていることから、あれから数時間は経っていることがわかる。
先輩は手と僕の下肢を拭い、サイドテーブルに置かれた飲み物を僕に与えながら答えた。
「ああ、ごめんね。コルセットで苦しんでたのに気づかず、俺が追い打ちをかけてしまった。しかも口づけがきっかけになったみたいで、ミネットの発情期が始まって……ご両親に許可を得てここへ来たんだよ」
やっと理由がわかった。
好きな人とのキスで発情期が早まってしまうとは、なんて単純な身体なのだろうか。そこで見捨てず、こんな……お世話までしてくれるなんて。
「僕こそごめんなさい……はしたなく迫るような真似をしてしまいました」
「かわいかったなぁ。しかも部屋に入った途端、いそいそと箱から俺のローブを出してきてさ。俺と匂いを嗅ぎ比べたりして……」
「うッ……」
記憶にない自分の行動が怖すぎる。それなのに、さっきから可愛いを連呼されている気がするのは気のせい?
「俺が妹に求婚したって、勘違いしてたんだろ? 俺は初めから、君しか見えてないのに」
「え……」
予想外の言葉に驚くミネットを、レヴリー先輩が愛おしそうに見つめながら頭を撫でてくる。
「ミネットに出会った頃からずっと惚れてる。ご両親の出した条件を呑んで、耐えて耐えて……ついに認めてもらえた」
「先輩……」
「レヴリーと呼んでくれ。夫婦になるんだから」
パタンと押し倒され、枕に頭を乗せた。喜びが泡のようにふつふつと生まれ、広がっていく。中心に灯ったままの熱が、また大きくなる。
「嬉しいです……! ね、レヴリーさま……抱いてください」
「……かわいすぎる。呼び捨てでいいんだよ、ミネット。だが……俺も限界だ」
ミネットも限界だった。ヒートと、両想いだった嬉しさと。甘い興奮が身体中を駆け巡り、はやくはやくと急かす。
先輩……レヴリーがシャツを脱ぐ。広い肩と均一についた筋肉。どこもミネットとは違う。
その身体をうっとり見つめていると、レヴリーが覆い被さってきて唇同士が重なった。初めから舌が差し込まれ、遠慮なく口内を犯される。その激しさが、性急さを求めるミネットには良かった。
今度は意識を失わないようにと鼻で息をした。レヴリーのフェロモンだろうか? 爽やかな檸檬のような香りに包まれている。「上手だよ」と褒めてもらい、頭を撫でられる。
ほめられてうれしい! 多幸感に包まれ、ミネットはレヴリーに両腕で抱きついた。
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