後天性オメガは未亡人アルファの光

おもちDX

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38-1.交じる体温*

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 カーテンの向こう側が薄っすらと明るくなってきた頃、部屋の外がにわかに騒がしくなった。
 誰かが一度様子を見にきたかもしれない。それらに気づくこともなく、ミルファは身体の熱と闘っていた。

 熱い。寂しい。つらい……。

 自身を慰めても満たされた気がするのは一瞬で、すぐに新しい欲求が生まれてくる。それでもミルファが自ら相手を求めてふらふらと部屋を出なかったのは、僅かに残った理性と、ルシアーノのガウンが手元にあったからだった。

 彼のガウンからは、ルシアーノの優しい匂いがする。裸体に身につけ、袖口に顔を押し付けると、すごく安心する。
 もうガウンはぐしゃぐしゃで、ミルファの体液で汚れていたが、そんなことに構う余裕はない。唯一縋れるものが身近にあったことに感謝したいくらいだ。

 何度目かの自慰で、そろそろ陰茎が触りすぎでつらくなってきた。ミルファはまだ若干心理的に抵抗のある後孔へと手を動かし、そこが濡れていることを指先で確認する。

「んっ……ぁ」

 新たな快感に身構えたとき――室内にすうっと微かな風が通った。
 誰か来た? 疑問に思った直後、朝の森林のような清々しい香りが鼻先を掠める。あまりに魅惑的な香りに、思わず深く息を吸い込む。

「ミルファ、どうしてすぐ呼ばないんだ……」
「……ルシー?」

 夢を見ているのかと思った。顔を上げると、大好きな、ミルファの求めてやまない人がそこにいる。
 自分が手を伸ばしたのが先か、ルシアーノが駆け寄ってきたのが先か……いつの間にかミルファは、大きな身体にぎゅうっと抱きしめられていた。

 ガウンとは比べ物にならない安心感に、身体から力が抜ける。同時に、耐え難いほどの疼きを腹の奥に感じた。

「抱いて、はやく」
「っ……大事に、する」

 ミルファが耳の後ろで囁くと、ルシアーノは束の間息を詰まらせる。苦しいくらいに強く抱きしめられ、ミルファも精一杯の力で抱きしめ返した。
 大事になんてしなくていいから、早く彼で満たしてほしい。

 ルシアーノが上着を脱ぐために身体を離し、ミルファを見下ろす。火照って乱れた身体に、ルシアーノのガウンだけを身につけているのをどう思ったのか……夜明け色の瞳には熱が籠もり、燃え上がったように見えた。

 ミルファは気が急いてルシアーノにぺたぺたと触れる。彼が服を脱ぐ手伝いをしているのか邪魔をしているのかわからない。

 離れているのが我慢できずにルシアーノを引き寄せると、顔が近づいてきて唇同士が重なった。
 優しく触れた唇を、ミルファが甘えを込めて食む。煽られたように分厚い舌が唇を割って入ってきて、苦しいほどに腔内を舐め尽くす。

「んんぅ……う。あ……っ」

 舌を絡めて粘膜同士をこすり合わせる。溢れた唾液が口の端から零れるも、気持ちよくて蕩けた頭には気にするほどの余裕もない。

 舌を甘く吸われ、上顎をくすぐられると、快感が背筋を駆け下りていく。無意識に下肢を押し付けると、ルシアーノの手がミルファのそこに触れた。

「あぁ! ルシー、だめっ……いっちゃう」
「ミルファ。かわいいな」

 オメガになって膨張率が下がった気のする陰茎は、ルシアーノの大きな手ですっぽりと隠れてしまう。とろとろと垂れていた先走りを潤滑剤に扱かれると、気持ち良すぎて腰が浮く。

 何度も達したはずなのに、初めて他人の手で促されると限界はあっという間だった。

「んぁっ……ぃゃ……――あ~~~!!!」

 ぴゅっと少量の精液しか出なかったが、快感は自分でしたときよりも強い。ルシアーノが残滓まで絞り出すように擦るから、なおのことミルファは乱れてしまった。
 僅かに息が整ってくると、今度は羞恥に襲われる。

(ルシアーノの前で、ルシアーノの手で、僕はなんてことを……!)

 真っ赤な顔で目を潤ませていると、こちらをじっと見ていたルシアーノはまたもや「かわいい」と零した。どこが?
 首を傾げれば、お誘いだと思ったのかキスが降ってくる。

 柔らかく唇が重なると、ミルファの胸は幸福感に包まれた。恥じらいなんて瞬時にどうでもよくなって、ルシアーノとようやく触れ合えている実感が湧いてきた。
 想いが通じ合ってから機会もなく、我ながら長らく我慢していたのだと気づく。

「ルシアーノ、すき。うれしい……」
「俺も愛してる。やっとミルファに触れられた……」
「もっと触って?」
「ッ煽るなよ。……仰せのままに」

 ルシアーノの手と唇は丁寧にミルファの身体を辿った。
 顔中にキスを落とされミルファがくすくす笑うと、ルシアーノも幸せそうに笑う。その表情は見たこともないほど柔らかく、彼がついに安住の地を見つけられたことを意味していた。

 敏感な首筋から鎖骨を辿り、薄い胸を愛撫される。つんと勃っていた尖りに吸い付かれると、思わぬ快感にミルファは悶えた。

「っえ……? あっ、そこ……んん~~っ!」

 ルシアーノの顔は右胸に移り、小さな粒を舌先で転がしてくる。唾液で濡れた左の乳首は指先で摘まれ、両方からの刺激にミルファは甘い嬌声を洩らす。
 こんなの知らない。でも、気持ちいい……
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