最恐の騎士様が最高の毒を持ってきた!

おもちDX

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 完治後も、クーレイは何度か怪我で診療所を訪れている。騎士というのは本当に、生傷が絶えない仕事だ。
 彼がみずから前に出るタイプだと知ってはいるものの、何度も顔を合わせているとマカナも心配になってくる。顔見知りには無傷でいてほしい、と思うのは当然のことだろう。
 マカナは自分の心の変化をそう結論付けた。

 どうしてわざわざ遠くの町まで治療に来るのか尋ねると、慣れても怖がる医務官に診てもらうのが申し訳ないと彼は言う。人の恐怖心というのは、意思ではどうしようもないときがある。

「なら、いつでも僕のところにおいで! クーレイのこと、ま~ったく怖くないもんね」
「この遠征のあいだだけだが、世話になる」
「そっか……街道の雪が溶けたら王都に帰っちゃうんだよね。せっかく顔覚えたのに、もったいないなぁ……」
「……そんなことを言うのは、お前だけだ。それよりマカナ、ちゃんと飯は食ってるのか? 痩せすぎだ。また自分の身体で人体実験してたんじゃないだろうな」

 二人の様子を見た団長は、クーレイがここまで喋っているのを初めて聞いたと驚いていた。同じ騎士以外で、クーレイを怖がらない人は本当に貴重なようだ。

 怪我をしてほしくないと思いつつ、マカナはいつしかクーレイの訪れを待つようになっている。
 年下で誰にも素を見せない男が、自分にだけ少年のような姿を見せることに喜びを感じていた。あのいかめしい顔をポカンとさせたり、むっとさせたりするのは存外に楽しい。

 治療中、彼はよくマカナのことをじっと見つめている。そうして隈ができているから睡眠が足りてないんじゃないかとか、顔色が悪いのもちゃんと食事をとらないせいだとか色々とケチをつけてくるのだ。
 あまりにも口うるさいから年の離れた弟妹でもいるのかと思ったけど、一人っ子らしい。解せない。


 ◇


 その日訪れたクーレイは、いつもと様子が違った。見た目には傷がないものの、顔を真っ赤にしてひどく汗をかいている。急いで来ただけではこうならない。

「ど……どうしたの!」
「はぁっ、……花粉だ……っ」
「かふん?」

 真っ先に思い浮かんだのはアレルギー症状だったが、それらしい所見はない。近づくと甘い匂いがして、頭がぐわん、と揺れた。
 クーレイは息が荒く、群青色の目は海のように潤んでいる。淡い小麦色の肌が火照っている様子はなんとも色気があって、マカナの心臓が変な音を立てる。

「薄黄色の、花が咲いている木だ。追いかけていた魔獣が木にぶつかって、花粉を浴びせられて……それから、身体が、あつくてたまらない」
「それ、マカ・ラン・ランじゃない!?」

 マカナは慌てて診療所の裏手にクーレイを連れていき、汲んであった水をぶっかけた。本人は洗い流したと言うが、このくらくらする匂いは花粉に違いない。
 マカ・ラン・ランの花粉は強力な催淫効果をもつ。研究しようにも強力すぎて性欲に狂い腹上死した人が何人もいる、と他国の文献で読んだことがあるのだ。それゆえ情報は少ないが、木の特徴や甘い匂いは文献に一致する。

 まさかこの国に生えているとは思わなかったけれど、ぴたりと服が貼りついたクーレイの下半身を見てマカナは確信した。彼はいま間違いなく性的な興奮状態にある。
 いかにもつらそうで、セクシーで、マカナはどうやって鎮めてあげればいいのか咄嗟に思いつかない。いつもはスルスルと答えを導き出す頭が、なぜか回らないのだ。

 とはいえ同じ男だ。とりあえず思いついたことを実践しようと、マカナはベッドに座った彼の目の前の床に座り込んだ。
 クーレイはちょうど濡れた服を脱いだところで、膝の間に来たマカナを見てギョッとする。目の前では屹立した陰茎が下履きを押し上げている。

「おいっ、なにをする気だ!」
「応急処置、だから……」
「う、わ……っ」

 下履きから取り出したものは握ると熱く、太く、硬かった。吸い寄せられるように顔を近づけると僅かに汗の匂いがする。
 頭がふわふわして、思考に靄がかかる。もう何も考えられず、当たり前のようにそれを口に迎え入れた。

「ん、おっきいっ……」

 すぐに口の中がいっぱいになる。裏筋に舌を当て、くびれに唇を引っ掛けるように扱けば、びくびくと反応が返ってくる。
 初めてする行為とはいえ、マカナは本能で動いていた。無意識ながら上顎に先端が当たるのを楽しんでいると、ガシッと頭を掴まれ喉の奥まで突っ込まれる。

「んゔっ!?」
「……クソッ」

 息ができない。クーレイが腰を動かすと、長大な陰茎が口の中を、喉を犯す。苦しいのに興奮が湧き上がってきて、翠の瞳が潤んでゆく。
 マカナの意識が飛びかけた瞬間、口の中でドクンッと跳ねた先端から飛沫が浴びせられた。

「んぐ……っ……!」

 粘りけのある液体が喉を覆い、ケホケホと咳が出る。舌に感じた味は予想に反して、甘かった。

「はぁ、……あっ、おいし……。えっこれ、花粉の効果かな!?」

 思わず研究者魂に火がつき、マカナは萎えない陰茎から残った精液を吸い出してみたり、匂いを嗅いでみたりした。

「すごい! 匂いまで甘いのは対象者が花粉を摂取したから? いや僕も吸い込んでしまったに違いない。きっと皮膚からも吸収されるんだ……すごい効果だな。まだ硬いし簡単には収まらないって本当だったんだ! クーレイ、どんな感……」
「マカナ、お前の家は?」
「ひぁっ」

 興奮もあらわに捲したてると、クーレイはマカナの肩を掴んで尋ねてきた。ビクッと肩が跳ねる。
 誤魔化そうとしていたが、実はもう身体が熱くて熱くて仕方がない。触れられたところから快感が生まれ、もっと触って欲しくてたまらなかった。

「う、裏通りの……集合住宅だけど」
「よし、そこへ行こう。お前にもが必要だ」

 手早く服を身につけたクーレイがマカナを抱き上げ、診療所を出た。同僚にはマカナの体調が悪いと伝えられたが、二人とも顔を真っ赤にしているのでどう思われたのか分からない。
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