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一章_出会い
第三話
二度目の目覚めに既視感を覚える。
二度目は部屋に誰もいなかった。
周りを見渡すがやっぱり夢じゃなかったんだな__
余りの事に転生って実在するんだなぁ、とぼんやり考えていた。
ゲームやアニメでは幾度となく見た現象。
しかし自分がいざなるとすると嬉しいとか、そう言う感情より困惑が勝ってしまう。
取り敢えず今後どうするのか考えるべきか。
寝ている間、俺はこの体の持ち主である”セドリア”の記憶を全て思い出した。
まぁ思い出したと言うより俺が知らなかった部分を”知った”という方が正しいのかもしれない。
夢で見たセドリアの記憶はアニメを見ているような感覚だった。
けれどその時感じた感情が俺にも伝わってきてなんだか変な感じだ。
無意識に手をグー パー としてしまう。
そしてじっと拳を見つめているとふと思い出す。
「そういえばあの時、俺の手を握ってきた子供はもしかしてヴィンセント……?」
主人公のヴィンセント……ヴィンセントなのかっ!?
あんなに小さい頃の姿が可愛いなんて小説では姿とかは文章だけでハッキリと分からなかったからなんだか新鮮な気分だ。
実際会ってみるとオタクの血は騒ぐもので。
これでもかと言うほど鼻息を荒くし顔はだらけきっているのだろう。
取り敢えず体の一部を興奮で動かしっぱなしにしてしまう。
長い間拳を握りしめ高く掲げていると段々と冷静になってふと、思い出す。
あれ……じゃあ悪役の俺って確かそのヴィンセントに殺されるんじゃなかったっけ。あ、あれ?
掲げた拳を下ろし少しの希望にかけ記憶を遡るが思い出そうとする程、あまりの境遇に絶望。
「な……っ、俺普通に死ぬじゃん! それも滅茶苦茶痛そうな死に方っ!」
このまま進むと必ずと言っていいほど死ぬ。
それも惨い死に方で。
誰が好き好んであんな無惨な殺され方をするものか!主人公もいくらなんでも酷いだろ。
七本の剣を俺の体の部位に急所をわざと外して散々苦しめた挙句あんな殺し方__
体がぶるっとするのを感じると俺は急いで紙を探す。
「と、とにかく忘れない内にメモをしておかないと。確かにこの小説は大好きだが入りたかった訳じゃない!」
幸い、この体の記憶が今の俺にはあるので紙とペンを直ぐに見つける事が出来た。
俺は殴り書きのように殺されない案を考え書き続ける。
__そして書いている間に俺は気づいた。
(あれ、これ俺がヴィンセントを虐めず、可愛がっていれば殺される事がないのでは?)と。
俺が殺される原因となるのは、全て俺が彼に対する性的暴行や過度なイジメ、そして存在自体を否定するような暴言を毎日言い続けた事が原因なのだ。
ならばこれらを全て無くし、優しく接すればどうだろう。
俺は彼の恨みを買うことが無く、平和に過ごせるのではないのだろうか!
「ふっ、やはり俺は天才か。そうとなれば行動だ……今夜の食事の際、義弟である彼を甘やかすぞ!」
ぐっと拳を握り見えた希望を胸に、食事に呼ばれるまで俺は何を言うかセリフをメモしニコニコとしながら待つのであった。
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