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プロローグ
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「まさか船室にいるとはな。ありがとよ、魔術師の兄ちゃん」
「……」
足元に転がる死体。それは人間のものではなかった。
黒い瞳、鋭い牙、獣のような手足。意思もなく、目的もなく、人類を襲う怪物。それを人は「魔人」と呼ぶ。
「それにしても魔術師ってのは凄えな。よくわからんもん唱えただけで、電撃ぶっ放しちまうんだからな」
「……」
黒いローブに木製の杖。いかにもな出で立ちの彼は、魔術大国・東洋諸国の魔術師クラハシ・ユウキである。彼が構えた杖の先では未だ火花が散っている。
「しかも、さっきの上級魔術だろ? 東洋の奴はやっぱ違えんだな。西欧じゃあ、中級魔術でもついぞ見ねえ」
「……」
船は東洋諸国を遠く離れ、西欧連合国が領する海域に入った。海上は穏やか。順調な船旅である。
「なあ兄ちゃん。なにかお礼させてくれよ。俺は船乗りだからよ。魔術は使えねえが、船上じゃあ役に立つぜ」
「……」
「なあどうだ、兄ちゃん」
「……」
「もしかして、言葉分かんねえのか?」
「……」
「おい、なんか言えよ」
「……」
「おーい」
「……」
「……」
「……」
「…‥き」
「き?」
「気持ち悪…‥オロロロ」
「兄ちゃん!?」
そう。順調な船旅である。
「……」
足元に転がる死体。それは人間のものではなかった。
黒い瞳、鋭い牙、獣のような手足。意思もなく、目的もなく、人類を襲う怪物。それを人は「魔人」と呼ぶ。
「それにしても魔術師ってのは凄えな。よくわからんもん唱えただけで、電撃ぶっ放しちまうんだからな」
「……」
黒いローブに木製の杖。いかにもな出で立ちの彼は、魔術大国・東洋諸国の魔術師クラハシ・ユウキである。彼が構えた杖の先では未だ火花が散っている。
「しかも、さっきの上級魔術だろ? 東洋の奴はやっぱ違えんだな。西欧じゃあ、中級魔術でもついぞ見ねえ」
「……」
船は東洋諸国を遠く離れ、西欧連合国が領する海域に入った。海上は穏やか。順調な船旅である。
「なあ兄ちゃん。なにかお礼させてくれよ。俺は船乗りだからよ。魔術は使えねえが、船上じゃあ役に立つぜ」
「……」
「なあどうだ、兄ちゃん」
「……」
「もしかして、言葉分かんねえのか?」
「……」
「おい、なんか言えよ」
「……」
「おーい」
「……」
「……」
「……」
「…‥き」
「き?」
「気持ち悪…‥オロロロ」
「兄ちゃん!?」
そう。順調な船旅である。
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