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第21話|もう一度、確かめたくて
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「あの、、、。
振り返してもいいのか、ちょっとよく分からないんですが、、、」
静かに確認するように問いかけてくる湊。
その声色に気を使わせてしまっているのが分かる。
だから綾瀬はできるだけ柔らかい空気をつくるようにして答えた。
「ん。全然。なんでも聞いて。」
湊の迷いを察したように穏やかに。
何を聞かれるのかは既に把握している。
「昼間のこと、なんですけど、、、。」
湊は恐る恐る切り出した。
「うん。なんか一気にいろいろ話したよな。ごめんな。」
聞きたくもない話だったかもしれない。
自分の気持ちがモヤついているからといってそれを晴らすために衝動的に告白しただけなんじゃないか?
そう思うと謝らなきゃいけない気がしてきた。
「あ、謝られることは全然なくて。俺のほうこそ、なんか、、、教えてくれたのに、いい言葉すら出てこなくて。本当にすみません。」
今度は、、逆に謝られた。
「んーん。全然。何か言ってもらいたくて話したわけじゃないよ。」
少し間を置いて、、、綾瀬は続けた。
「湊との関係がこのままじゃギクシャクしてしまう気がしたし。」
電話の向こうで、湊が息を吸う気配がした。
「でも、、、話しづらい内容だったと思うし。
そんなの、都合よく嘘つけばよかったじゃないですか?」
確かに、それはそうかも。と、綾瀬は一瞬言葉に詰まる。
「うーん。まあ、そうかもね。」
苦笑まじりに正直な気持ちを探す。
「でも、やっぱり本当のことは話したかったし嘘でごまかしたくなかった。正直に聞いてもらいたいって気持ちも、少なからずあったと思う。。。」
静かな沈黙が二人の間に落ちた。
その沈黙が不思議と重くないことに綾瀬は気づいていた。
「『気持ち悪くないです』
そう言われて正直ホッとしたよ。
また前みたいに接しても嫌がられないんだなって安堵した。」
静かにそう話すと湊は遮らずにただ静かに聞いていた。
少し間を置いてから湊が口を開く。
「あの、、、俺も、気持ち悪くなるかもしれない話、してもいいですか?」
「えっ?」
思わず聞き返す。
気持ち悪くなる話?
なんだろ。それ、と一瞬考えながら続きを促すように黙って待った。
湊の声は落ち着いているのにどこか覚悟を決めたみたいで。
さっきまでの穏やかな空気が、少しだけ張りつめた。
「、、、一回、話したいこと、整理してもいいですか?」
「、、、全然いいよ。大丈夫。」
少し間を置いてから返した声はできるだけ普段通りを装ったものだった。
「一回、電話切ります。また15分後にかけます。必ず。」
几帳面な性格がこんな場面でも顔を出す。
「了解。」
そう答えたものの通話が切れた瞬間胸の奥がひやりとした。
二人は一旦通話を切った。
静かになった部屋で綾瀬はスマホを握ったまま天井を見上げる。
たった15分。
それだけの時間なのに、何を言われるのか、どんな言葉が返ってくるのか。
考え始めると落ち着かない。
最初のたわいもない穏やかな空気が嘘みたいに少しだけ緊迫したムードが残った。
期待と、不安と、それからほんの少しの動揺を抱えたまま綾瀬は次の着信を待つことになる。
振り返してもいいのか、ちょっとよく分からないんですが、、、」
静かに確認するように問いかけてくる湊。
その声色に気を使わせてしまっているのが分かる。
だから綾瀬はできるだけ柔らかい空気をつくるようにして答えた。
「ん。全然。なんでも聞いて。」
湊の迷いを察したように穏やかに。
何を聞かれるのかは既に把握している。
「昼間のこと、なんですけど、、、。」
湊は恐る恐る切り出した。
「うん。なんか一気にいろいろ話したよな。ごめんな。」
聞きたくもない話だったかもしれない。
自分の気持ちがモヤついているからといってそれを晴らすために衝動的に告白しただけなんじゃないか?
そう思うと謝らなきゃいけない気がしてきた。
「あ、謝られることは全然なくて。俺のほうこそ、なんか、、、教えてくれたのに、いい言葉すら出てこなくて。本当にすみません。」
今度は、、逆に謝られた。
「んーん。全然。何か言ってもらいたくて話したわけじゃないよ。」
少し間を置いて、、、綾瀬は続けた。
「湊との関係がこのままじゃギクシャクしてしまう気がしたし。」
電話の向こうで、湊が息を吸う気配がした。
「でも、、、話しづらい内容だったと思うし。
そんなの、都合よく嘘つけばよかったじゃないですか?」
確かに、それはそうかも。と、綾瀬は一瞬言葉に詰まる。
「うーん。まあ、そうかもね。」
苦笑まじりに正直な気持ちを探す。
「でも、やっぱり本当のことは話したかったし嘘でごまかしたくなかった。正直に聞いてもらいたいって気持ちも、少なからずあったと思う。。。」
静かな沈黙が二人の間に落ちた。
その沈黙が不思議と重くないことに綾瀬は気づいていた。
「『気持ち悪くないです』
そう言われて正直ホッとしたよ。
また前みたいに接しても嫌がられないんだなって安堵した。」
静かにそう話すと湊は遮らずにただ静かに聞いていた。
少し間を置いてから湊が口を開く。
「あの、、、俺も、気持ち悪くなるかもしれない話、してもいいですか?」
「えっ?」
思わず聞き返す。
気持ち悪くなる話?
なんだろ。それ、と一瞬考えながら続きを促すように黙って待った。
湊の声は落ち着いているのにどこか覚悟を決めたみたいで。
さっきまでの穏やかな空気が、少しだけ張りつめた。
「、、、一回、話したいこと、整理してもいいですか?」
「、、、全然いいよ。大丈夫。」
少し間を置いてから返した声はできるだけ普段通りを装ったものだった。
「一回、電話切ります。また15分後にかけます。必ず。」
几帳面な性格がこんな場面でも顔を出す。
「了解。」
そう答えたものの通話が切れた瞬間胸の奥がひやりとした。
二人は一旦通話を切った。
静かになった部屋で綾瀬はスマホを握ったまま天井を見上げる。
たった15分。
それだけの時間なのに、何を言われるのか、どんな言葉が返ってくるのか。
考え始めると落ち着かない。
最初のたわいもない穏やかな空気が嘘みたいに少しだけ緊迫したムードが残った。
期待と、不安と、それからほんの少しの動揺を抱えたまま綾瀬は次の着信を待つことになる。
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