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綾瀬&湊 スピンオフ
3分あれば、決着つくんで***
「綾瀬さん!!!!」
「えっ? な、何? 急に。」
今日は一日中雨。
外に出る気にもならなくて、二人で綾瀬の家でゴロゴロしていた。
――の、はずだった。
「暇です!!!」
ソファの上で転がりながら、湊が声を上げる。
「……今、仕事してるんだけど。」
パソコンに向かったまま、淡々と返す綾瀬。
「会社から持ち帰った書類の不備の修正、あと少しで終わるところから待ってて。」
「暇すぎる……。」
ぐで、と体を預けてくる。
完全に“構ってモード”。
「これ終わったら相手するから。あ、ほら、部長からZoom来た」
画面を立ち上げながら、ちらりと振り返る。
「湊、映らないように隠れて。」
「え、ちょっ――」
咄嗟にぐいっと頭を押されて、気づけば綾瀬の膝の上。
(え、ちょ、これ……。)
膝枕。
抗議する間もなく、画面が繋がる。
「あ、部長。今ちょうど書類まとまったところです。はい、確認お願いします。」
声が一瞬で切り替わる。
低くて落ち着いた、完全に“仕事モード”の声。
(……ずるい。)
さっきまで普通に話してたのに。
指先がキーボードを叩くたび、わずかに膝が揺れる。
その振動が、じわじわと伝わってきて――妙に落ち着かない。
(しかも、この距離……。)
見上げれば、すぐそこに綾瀬の横顔。
真剣な表情で画面を見つめている。
自分には見せない顔。
「――はい、その認識で問題ありません。」
淡々とした声。
余裕のある受け答え。
(……なんか、面白くない。)
小さく頬を膨らませる。
わざと、ほんの少しだけ体を動かしてみる。
すると――
膝の上に置かれていた手が、そっと髪に触れた。
「……動くなよ。」
小さな声で、低く囁く。
画面の向こうには部長がいるのに、
自分にだけ向けられた囁くような声。
(……っ)
心臓が、変な跳ね方をする。そんなシチュエーションにぞくりとする。
そのまま、ゆっくりと髪を撫でてくる。
何事もなかったみたいに、仕事を続けながら。
「……はい、ではこのあと修正入れて共有します。」
いつも通りの落ち着いた声。
なのに。
膝の上の自分だけが知っている、この距離と、この手。
(……ずるいのは、そっちじゃん。)
小さく目を閉じて、
湊はそのまま大人しく膝に身を預けた。
頭の下には、、、
んー。これ、綾瀬さんの、綾瀬さんがいる。
ふにふにで頭気持ちいい。
湊は頭をブンブン左右に揺らすとその柔らかい感触を味わっていた。
「ふぁ……っ、ちょ、ちょっと!」
綾瀬が思わず声を漏らした。
「ん?綾瀬くん、どうした?」
「あ、あの、なんでもありませ……。」
綾瀬の手ががっしり湊の頭を押さえつける。
(あ、何?痛い。頭。)
さっきまで柔らかかったそれが、少しずつ固く変わっていく。
綾瀬さん、もしかして……
湊は見えないのをいい事にだんだん形になっていくそれを唇で、なぞっていく。
「おい……湊。」
小さく名前を呼ぶ声が、さっきより低い。
それだけで、胸の奥がじわっと熱くなる。
(……やば。綾瀬さん、エロ。)
これ以上は、たぶん――
やめた方がいいのに。
なのに。
止まらない、、、どうしよう!!!
ズボンのファスナーを下ろしてチラッと先だけあらわにすると、綾瀬さんのを指でなぞる。
綾瀬さんの気持ちいい場所は知ってるけどそこを敢えて避けながら。ソフトに。
「ん、もう、湊……。」
指先で触れるたびに、
反応が返ってくるのが分かる。
だから余計に、やめられない。
わざと、焦らすように。
ゆっくりと、なぞるだけ。
綾瀬は一度大きく深呼吸して冷静を取り戻しつつ、作業している。
(んー、つまんないなぁ。)
なんて思いながら、綾瀬の一番気持ちいい場所に舌で触れる。
ヌメリとした生暖かい感触が一気に伝わってびくりと体を弾ませた。
「湊、それは、まずい。今は、違うだろ……。」
頭をグイーッと押しどかそうとするけど湊の行動はエスカレートしてくる。
口には入れないにしても、弱い一点を柔らかくネットリと上下に動かしながら、流すように攻撃してくる。
親指と舌と一定の速度でやられたら。
「部長!!ち、ちょっと待ってて下さい!
一回オフにします。3分ほどで戻りますから!!」
カチっと画面を切ると、強引に湊をひっぱりあげる。
「う、わっ!!!!」
そのままベッドルームに連れて行かれて押し倒された。
綾瀬は黙って湊を見つめたまま何も言わない。
(え、怒ってる?
いや。それは、そうだよな。部長との大事な話の中あんな事して……喜ぶわけ……)
顎を掴まれたまま、そのまま深く口づけられる。
「……んっ、!!!!」
最初から、容赦がない。
唇を割って入り込んでくる熱に、思わず息が乱れる。
絡め取るように、ゆっくりと。
逃がさないように、確かめるみたいに。
「……あっ、綾、瀬さんっ!んっ……!」
頭の奥がじわっと痺れる。
深く、粘つくみたいに続く口づけに、思考がどんどん溶けていく。
「……さっきまであんな煽ってたくせにもうギブアップか?」
低く囁かれて、
そのままさらに深く引き込まれる。
呼吸も、タイミングも、全部奪われる。
「……ふっ、んんっ……。」
うまく息ができない。
けど、それすらも心地よくて――
唇が離れたと思った瞬間、またすぐに重ねられる。
何度も、何度も。
味わうみたいに、執拗に。美味しいスイーツを食べるみたいに。
「…ふっ…可愛いな。」
息の合間に落ちる声。
そのまま、また深く塞がれる。舌が絡みつくたびにいやらしい音が脳内に響いて。
逃げられないと分かってるみたいに、じっくりと、ゆっくりと。
綾瀬さんの声も、心地よくて、
(……もう、無理。)
どこまでが自分で、どこからが相手なのか、分からなくなる。
ただ、その熱だけが残って――
気づけば、完全に力が抜けていた。
それを確かめるみたいに、もう一度、深く口づけられる。
気付けばほんの3分のキスでドロドロに溶かされていた僕。
完敗です……。
綾瀬はおでこに軽くキスをすると、
「いい子ここで待ってな。戻ったらもっと濃厚なのあげるから。」
ぽんっ!
と頭を撫でて布団を被せてまたパソコン部屋に戻って行った。
「もおぉぉぉ!!!!ずるい!ずるい!!!ずるい!!
……はぁぁぁ……綾瀬さんに勝てるの、いったいいつなんだろ……。」
天井をぼんやり見つめながら、そんなことを考える。
さっきの感触が、まだ残ってる気がして。
「……戻ったら、また……さらに、濃厚な……。」
そこまで考えて、はっとする。
ぶわっと熱が上がって、
思わず布団に潜り込む。
「っ、もう……!!!」
足をばたばたさせながら、
枕で顔を隠す。
頭の中では、さっきのキスが何度も再生されて。
あの距離も、声も、全部。
「……無理……綾瀬さん、大好き。」
小さく呟いて、さらに深く布団に潜る。
湊はひとり、静かに熱を持て余していた。
⸻
「ふう。部長、お待たせ致しました。」
画面越しに、すっと表情を切り替える。
「ん?綾瀬くん、髪が乱れてるけどどうした?」
一瞬だけ、間が空いた。
「……あ、すみません。ちょっと、格闘してまして。」
軽く笑って誤魔化す。
「なんか虫でも出たか?」
「はは、そんなところです。」
「ちゃんと3分で戻ってくるあたり、職業病だな。」
その一言に、ふっと引っかかる。
――あれ、これ。
前に、湊に言ったことある。
思い出した瞬間、懐かしい記憶が蘇る。
あの頃はこんな俺たちになるなんて想像もしてなかったな。
ふふっとかすかに笑いながら
「……3分もあれば、決着つきますから。」
その奥にある意味を、自分だけが分かっている。
画面の向こうには見せない、ほんの一瞬の表情。
(……あとで、ちゃんと続きを。)
そう思った瞬間――
「綾瀬くん?」
「……あ、失礼しました。続けます。」
すぐに意識を引き戻す。
けれど胸の奥には、
さっきの熱が、まだしっかり残っていた。
3分なんかじゃ、全然足りない。
早くこの時間を終わらせて、
湊の待つベッドに戻りたい。
さっきの続きを、
今度はもっとゆっくり、じっくりと。
あの甘く崩れる顔を、
もう一度――いや、何度でも見たい。
そのあとは、何食わぬ顔で外に出て、美味い飯でも食べに行こうかな。
そんなことを考えながら、
綾瀬は淡々とキーボードを打ち込む。
画面越しには、
いつも通りの完璧な仕事ぶり。
けれどその裏で、
胸の奥には、
消えない熱が、静かに燻っていた。
fin…
***おまけ***
ぜんっぜん終わらない。
(――早く終われ。)
カタカタカタ、と
無機質なタイピング音が部屋に響く。
Zoom会議で指示された修正を、一つずつ潰していく。
けど――
終わる気配が、ない。
「あー……これ、普通に詰んでるな……。」
小さく呟いて、椅子にもたれかかる。
「一回、湊のところ戻って――、……いや……絶対ダメだろ、それ。」
戻ったら最後。
ちょい抱きしめて充電だけじゃ済まされなくて、
そのまま流れて、終わったら心地よくなって、一緒に寝て、気づいたら夜。
「うーん。……やっぱりまずはこれ終わらせる方向で。」
ぐっと気持ちを引き締めて、
再びキーボードに向き直る。
ズダダダダ、と
さっきよりも明らかに速い音。
終わらせて、戻る!
湊、待ってるし。
ふっと、頭に浮かぶ顔。
拗ねたみたいに、でもどこか期待してる顔。
好きなんだよな。あの雰囲気。
「……ほんと、誘惑マンみたいな顔してるよなぁ。……っつか、誘惑マンってなんだ。」
ノリツッコミを1人しながら小さく笑って、さらに手を動かす。
⸻
――その頃。
「……ん、綾瀬さぁん……」
布団の中で、
小さく名前を呼ぶ声。
眠ったまま、どこか甘えるように。
夢の中でさえ、その存在を探しているみたいに。
足をもぞもぞと動かして、無意識にすり寄る仕草。
現実の綾瀬は、まだそこにいないのに。
「……ん……」
かすかに笑って、
ひと足先に湊は、甘い夢の中で綾瀬に可愛がられていたのだった。
「えっ? な、何? 急に。」
今日は一日中雨。
外に出る気にもならなくて、二人で綾瀬の家でゴロゴロしていた。
――の、はずだった。
「暇です!!!」
ソファの上で転がりながら、湊が声を上げる。
「……今、仕事してるんだけど。」
パソコンに向かったまま、淡々と返す綾瀬。
「会社から持ち帰った書類の不備の修正、あと少しで終わるところから待ってて。」
「暇すぎる……。」
ぐで、と体を預けてくる。
完全に“構ってモード”。
「これ終わったら相手するから。あ、ほら、部長からZoom来た」
画面を立ち上げながら、ちらりと振り返る。
「湊、映らないように隠れて。」
「え、ちょっ――」
咄嗟にぐいっと頭を押されて、気づけば綾瀬の膝の上。
(え、ちょ、これ……。)
膝枕。
抗議する間もなく、画面が繋がる。
「あ、部長。今ちょうど書類まとまったところです。はい、確認お願いします。」
声が一瞬で切り替わる。
低くて落ち着いた、完全に“仕事モード”の声。
(……ずるい。)
さっきまで普通に話してたのに。
指先がキーボードを叩くたび、わずかに膝が揺れる。
その振動が、じわじわと伝わってきて――妙に落ち着かない。
(しかも、この距離……。)
見上げれば、すぐそこに綾瀬の横顔。
真剣な表情で画面を見つめている。
自分には見せない顔。
「――はい、その認識で問題ありません。」
淡々とした声。
余裕のある受け答え。
(……なんか、面白くない。)
小さく頬を膨らませる。
わざと、ほんの少しだけ体を動かしてみる。
すると――
膝の上に置かれていた手が、そっと髪に触れた。
「……動くなよ。」
小さな声で、低く囁く。
画面の向こうには部長がいるのに、
自分にだけ向けられた囁くような声。
(……っ)
心臓が、変な跳ね方をする。そんなシチュエーションにぞくりとする。
そのまま、ゆっくりと髪を撫でてくる。
何事もなかったみたいに、仕事を続けながら。
「……はい、ではこのあと修正入れて共有します。」
いつも通りの落ち着いた声。
なのに。
膝の上の自分だけが知っている、この距離と、この手。
(……ずるいのは、そっちじゃん。)
小さく目を閉じて、
湊はそのまま大人しく膝に身を預けた。
頭の下には、、、
んー。これ、綾瀬さんの、綾瀬さんがいる。
ふにふにで頭気持ちいい。
湊は頭をブンブン左右に揺らすとその柔らかい感触を味わっていた。
「ふぁ……っ、ちょ、ちょっと!」
綾瀬が思わず声を漏らした。
「ん?綾瀬くん、どうした?」
「あ、あの、なんでもありませ……。」
綾瀬の手ががっしり湊の頭を押さえつける。
(あ、何?痛い。頭。)
さっきまで柔らかかったそれが、少しずつ固く変わっていく。
綾瀬さん、もしかして……
湊は見えないのをいい事にだんだん形になっていくそれを唇で、なぞっていく。
「おい……湊。」
小さく名前を呼ぶ声が、さっきより低い。
それだけで、胸の奥がじわっと熱くなる。
(……やば。綾瀬さん、エロ。)
これ以上は、たぶん――
やめた方がいいのに。
なのに。
止まらない、、、どうしよう!!!
ズボンのファスナーを下ろしてチラッと先だけあらわにすると、綾瀬さんのを指でなぞる。
綾瀬さんの気持ちいい場所は知ってるけどそこを敢えて避けながら。ソフトに。
「ん、もう、湊……。」
指先で触れるたびに、
反応が返ってくるのが分かる。
だから余計に、やめられない。
わざと、焦らすように。
ゆっくりと、なぞるだけ。
綾瀬は一度大きく深呼吸して冷静を取り戻しつつ、作業している。
(んー、つまんないなぁ。)
なんて思いながら、綾瀬の一番気持ちいい場所に舌で触れる。
ヌメリとした生暖かい感触が一気に伝わってびくりと体を弾ませた。
「湊、それは、まずい。今は、違うだろ……。」
頭をグイーッと押しどかそうとするけど湊の行動はエスカレートしてくる。
口には入れないにしても、弱い一点を柔らかくネットリと上下に動かしながら、流すように攻撃してくる。
親指と舌と一定の速度でやられたら。
「部長!!ち、ちょっと待ってて下さい!
一回オフにします。3分ほどで戻りますから!!」
カチっと画面を切ると、強引に湊をひっぱりあげる。
「う、わっ!!!!」
そのままベッドルームに連れて行かれて押し倒された。
綾瀬は黙って湊を見つめたまま何も言わない。
(え、怒ってる?
いや。それは、そうだよな。部長との大事な話の中あんな事して……喜ぶわけ……)
顎を掴まれたまま、そのまま深く口づけられる。
「……んっ、!!!!」
最初から、容赦がない。
唇を割って入り込んでくる熱に、思わず息が乱れる。
絡め取るように、ゆっくりと。
逃がさないように、確かめるみたいに。
「……あっ、綾、瀬さんっ!んっ……!」
頭の奥がじわっと痺れる。
深く、粘つくみたいに続く口づけに、思考がどんどん溶けていく。
「……さっきまであんな煽ってたくせにもうギブアップか?」
低く囁かれて、
そのままさらに深く引き込まれる。
呼吸も、タイミングも、全部奪われる。
「……ふっ、んんっ……。」
うまく息ができない。
けど、それすらも心地よくて――
唇が離れたと思った瞬間、またすぐに重ねられる。
何度も、何度も。
味わうみたいに、執拗に。美味しいスイーツを食べるみたいに。
「…ふっ…可愛いな。」
息の合間に落ちる声。
そのまま、また深く塞がれる。舌が絡みつくたびにいやらしい音が脳内に響いて。
逃げられないと分かってるみたいに、じっくりと、ゆっくりと。
綾瀬さんの声も、心地よくて、
(……もう、無理。)
どこまでが自分で、どこからが相手なのか、分からなくなる。
ただ、その熱だけが残って――
気づけば、完全に力が抜けていた。
それを確かめるみたいに、もう一度、深く口づけられる。
気付けばほんの3分のキスでドロドロに溶かされていた僕。
完敗です……。
綾瀬はおでこに軽くキスをすると、
「いい子ここで待ってな。戻ったらもっと濃厚なのあげるから。」
ぽんっ!
と頭を撫でて布団を被せてまたパソコン部屋に戻って行った。
「もおぉぉぉ!!!!ずるい!ずるい!!!ずるい!!
……はぁぁぁ……綾瀬さんに勝てるの、いったいいつなんだろ……。」
天井をぼんやり見つめながら、そんなことを考える。
さっきの感触が、まだ残ってる気がして。
「……戻ったら、また……さらに、濃厚な……。」
そこまで考えて、はっとする。
ぶわっと熱が上がって、
思わず布団に潜り込む。
「っ、もう……!!!」
足をばたばたさせながら、
枕で顔を隠す。
頭の中では、さっきのキスが何度も再生されて。
あの距離も、声も、全部。
「……無理……綾瀬さん、大好き。」
小さく呟いて、さらに深く布団に潜る。
湊はひとり、静かに熱を持て余していた。
⸻
「ふう。部長、お待たせ致しました。」
画面越しに、すっと表情を切り替える。
「ん?綾瀬くん、髪が乱れてるけどどうした?」
一瞬だけ、間が空いた。
「……あ、すみません。ちょっと、格闘してまして。」
軽く笑って誤魔化す。
「なんか虫でも出たか?」
「はは、そんなところです。」
「ちゃんと3分で戻ってくるあたり、職業病だな。」
その一言に、ふっと引っかかる。
――あれ、これ。
前に、湊に言ったことある。
思い出した瞬間、懐かしい記憶が蘇る。
あの頃はこんな俺たちになるなんて想像もしてなかったな。
ふふっとかすかに笑いながら
「……3分もあれば、決着つきますから。」
その奥にある意味を、自分だけが分かっている。
画面の向こうには見せない、ほんの一瞬の表情。
(……あとで、ちゃんと続きを。)
そう思った瞬間――
「綾瀬くん?」
「……あ、失礼しました。続けます。」
すぐに意識を引き戻す。
けれど胸の奥には、
さっきの熱が、まだしっかり残っていた。
3分なんかじゃ、全然足りない。
早くこの時間を終わらせて、
湊の待つベッドに戻りたい。
さっきの続きを、
今度はもっとゆっくり、じっくりと。
あの甘く崩れる顔を、
もう一度――いや、何度でも見たい。
そのあとは、何食わぬ顔で外に出て、美味い飯でも食べに行こうかな。
そんなことを考えながら、
綾瀬は淡々とキーボードを打ち込む。
画面越しには、
いつも通りの完璧な仕事ぶり。
けれどその裏で、
胸の奥には、
消えない熱が、静かに燻っていた。
fin…
***おまけ***
ぜんっぜん終わらない。
(――早く終われ。)
カタカタカタ、と
無機質なタイピング音が部屋に響く。
Zoom会議で指示された修正を、一つずつ潰していく。
けど――
終わる気配が、ない。
「あー……これ、普通に詰んでるな……。」
小さく呟いて、椅子にもたれかかる。
「一回、湊のところ戻って――、……いや……絶対ダメだろ、それ。」
戻ったら最後。
ちょい抱きしめて充電だけじゃ済まされなくて、
そのまま流れて、終わったら心地よくなって、一緒に寝て、気づいたら夜。
「うーん。……やっぱりまずはこれ終わらせる方向で。」
ぐっと気持ちを引き締めて、
再びキーボードに向き直る。
ズダダダダ、と
さっきよりも明らかに速い音。
終わらせて、戻る!
湊、待ってるし。
ふっと、頭に浮かぶ顔。
拗ねたみたいに、でもどこか期待してる顔。
好きなんだよな。あの雰囲気。
「……ほんと、誘惑マンみたいな顔してるよなぁ。……っつか、誘惑マンってなんだ。」
ノリツッコミを1人しながら小さく笑って、さらに手を動かす。
⸻
――その頃。
「……ん、綾瀬さぁん……」
布団の中で、
小さく名前を呼ぶ声。
眠ったまま、どこか甘えるように。
夢の中でさえ、その存在を探しているみたいに。
足をもぞもぞと動かして、無意識にすり寄る仕草。
現実の綾瀬は、まだそこにいないのに。
「……ん……」
かすかに笑って、
ひと足先に湊は、甘い夢の中で綾瀬に可愛がられていたのだった。
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