あなたの声に抱かれたくて

megi

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第8章 美和と翔真の契約不倫

4 翔真の秘密 1

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「坂井様、おはようございます」
「おはようございます。森岡さん、この前は、ありがとうございます」
「とんでもございません」

 マンションに着くと、コンシェルジュの森岡が、エレベーターの『開ボタン』を押して、美和を待っている。

 ……ヤッパリ、乗ってくるのね?

 美和の後に、森岡が乗ってくる。彼が、乗ってくる事は、今日も、目隠しをする事を意味する。こうしないと、翔真と会う事はできないから、しょうがない。

「あのう……森岡さん」
「はい、なんでしょう」
「その……あまり、きつく締めないでくださいね!」
「痛かったですか?」
「ちょっとね……」

 美和は、眼鏡を外すし鞄に入れると、目隠しをする森岡に、ダメ元で、お願いする。

「取れないようにしないと、いけないので、お許しください」

 森岡は、翔真に忠実。ドアの前に立つ美和の後頭部のあたりで、ギュッと締める。

 これじゃ……髪型なんて、気にする方が、バカみたい……

 ガチャ

「ヤァ! いらっしゃい」

 ドアが開くと、部屋と廊下を隔てるようにできた、空気のカーテン。

「森岡さん、ありがとう……後で、お願いします」
「かしこまりました」

 ガチャ

 ドアが閉まるまで、森岡が頭を深く下げている姿が、視界を奪われている美和にも、容易に、想像できてしまうから面白い。

「サァ……」
「あっ、汗……が」

 翔真は、美和の左手を取ると、右の肩を優しく抱いて、リビングへと連れていく。

 翔真のそんな振る舞いは、自分を特別な女性として、大切に扱わているようでうれしい。

 だけど、ノースリーブの袖から出た肩に、汗をかいていないか? それだけが、気になってしまう。

「会いたかった……」

 ソファーに座らされると、翔真は美和の顎を指で、クイッと上げて唇を合わせてくる。
 一瞬の出来事に、翔真の腕を掴んだ、美和の両腕が、ダラリと下がる。

 翔真の熱い口づけは、美和の全身の緊張を消してしまい、僅かに残った彼女の常識的思考を奪っていく。

「私も……」

 美和の素直な気持ち、彼をよろこばせるためのリップサービスではなく、美和の本当の気持ち。

「アッ」

 翔真の手のひらが、右の乳房に触れる。美和は、上半身を仰け反らせると、翔真は腰に、そっと手を添える。

 美和の身体は、過剰に敏感になり、押し寄せる快感は、今までよりも、強いものとなる。目隠しをしている事によって、鋭く研ぎ澄まされる感覚。彼の体温に彼の息遣い。彼の落ち着いた『声』に、彼の思考、その全てが、伝わってくる。

 何となくだけど……翔真が、身体のどこに、触れようとしているのか、わかる。

「ちょっ、ちょっと……」

 翔真の手のひらが、美和の女性らしいお尻へと、下がってくる。お尻に、指先が触れると、美和は、たまらず、腕を突っ張って、彼を突き放してしまう。

「どうしたの?」
「話……しよっ!」

 美和は、電車の中で、痴漢に触れた事を思いだしてしまった。暗い視界の中で、振り返る美和を見下ろしていた、痴漢の冷めた目が、ジトッと光る。

 優しく触れる翔真と違い、痴漢の欲求を満たす為だけの荒々しく卑猥な、指の動き。嫌なはずなのに、感じて濡れてしまい、新しい下着を汚した事が、悔しかった。

「うん……いいよ」
「ごっ、ごめんなさい……」

 翔真は、優しく答える。拒んだ美和を𠮟りつけるような尖った『声』でない。

 まるで、美和の気持ちを察したような、彼の和かな『声』。彼の『声』に、抱かれているような感じになる。

「美和さんは、昨日は、何してたの?」
「しっ、仕事だけど……」
「そうか……頑張るね!」
「翔真さんは?」
「えぇ……僕は色々……かな」
「色々って……⁉」
「最近、声優の仕事が、無いんだよね」
「あの、アニメは?」
「あっ、あれね……」

 翔真の少し、残念そうな『声』が、気になる。

 彼の話だと、制作会社とスポンサーが、もめていて、制作がストップしているらしい。

「そうなんだね」

 美和もイベント会社に勤めていたから、こういう事例は、経験もした事がある。

 その度に、夫が奔走していたから、大変な事態だとは、察しがつく。翔真の世界でもある事なんだと、納得する。

「大丈夫?」
「えっ⁉」
「家代とか……その……生活費とか?」

 仕事がないなんて……

 家のローンを夫と払っている美和には、当たり前の疑問。

「えっと……バイト……とか……」
「バイト?」
「それに、ほらっ、貯金もあるし!」

 だって、久保さんが、数億って……

「それより、美和さんは、どこで、あのアニメを?」

 しょうがない……

 美和は、急に、話題を変えて話を誤魔化す翔真に対して「何かある」そんな、疑念を抱くが、彼へ対する好きな気持ちが、大きすぎて、それを誤魔化してしまう。

「私、アニメとか漫画が好きで……」
「でも、あのアニメは、アダルトサイトでしか、配信してないはずだけど?」

 そっ、そうなの!?

 確かに、美和は欲求不満を解消すために、アダルトサイトで、刺激のある作品を探していた。

 いくら演技とは言え、同性の女性が辱められている姿を見るのは、忍びなった。アニメ好きもあって、つい、あのアニメを選択してしまい。

 そして、翔真の『声』に、魅了された。

「へぇ……」
「ちょっ、ちょっと……」

 急に、翔真の『声』が、美和を抱く時の落ち着いた大人の『声』に、変わる。

 いつもと違うのは、その中に、1人の女性の弱みを握り、逆らえない事を知っているかのように美和をあざ笑う『声』が、ケッケッと、混じっている。

「ウン、ウン……ウングッ!?」

 翔真は、抱かれる事を迷う美和の心を打ち消すように、強引に唇を奪う。歪んだ唇の隙間から舌をねじ込み絡ませ、彼の手が、柔らかな乳房に指を立てるように、掴んでくる。

「アッ」

 そのまま、美和をソファーに押し倒すと、ほのかにピンク色に染まった、美和の首筋に顔を近づけ、ペロッと舐め上げた。

「美和さんを早く食べたかったんだ……」

 また『声』が、いつもの落ち着いた『声』に、変わる。

 キャッ!

 私を食べたいんだって……

 色々、聞きたい事があるけど……終わってからで……いいか……

 そんな考えが、よぎってしまう。
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