こちら織田証券(株)清州営業所

喜多ばぐじ・逆境を笑いに変える道楽作家

文字の大きさ
5 / 48
【Ⅰ章】秀吉、暗号資産に全集中をする

4話 落ちこぼれやのに愛が湧く、XRP

しおりを挟む
2020年11月中旬。秀吉が長を勤める営業八課の昼休み。福 正則と藤 清正がランチスペースで談笑していた。
 
「なあ、清正。聞いてくれや。ウチのおかんがな、大好きな仮想通貨があるって言うから買ってあげようと思うんだけどな、名前がどうしても思い出せないらしいねん」
 
「親孝行やないかい。そんならね、俺が一緒になんのコインか考えてあげるから、どんな特徴言われたか教えてみてや」
 
「おかんが言うにはな。国際送金の手段として活用が期待されている通貨らしいねん」
 
「ほぉ~…XRP こと、リップルやないかい!
決済システムに特化したプラットフォームで、国際送金に使用されるのがリップルや。厳密に言えば、リップルネットワーク内で用いられるXRPが仮想通貨としての役割を果たすことになっているんや」

 「俺もXRPかと思ったんやけどな。
おかんが言うには、送金スピードはかなり遅いらしいねん」
 
「ほーん…ほなXRPと違うかー。
XRPは、送金の速さだけが取り柄なんよ!実際に取引所間で送金申請をしてもすぐに届くんや!
XRPは既存の法定通貨と仮想通貨の橋渡し的な役割を持つブリッジ通貨と言われていてな。XRPが普及することで、従来の国際送金がスピーディかつ低コストで行うことができるようになる、と期待されているんや!ほかになんか特徴はないん?」

「おかんが言うにはな。その仮想通貨は、期待されている割に全く期待に応えてないらしいねん」

「XRPやないかい!
XRPは日本人にファンが多くて、リップラーと言われてるんや。 みんながどこに期待しているかというと送金スピードの速さ!ビットコインの決済処理時間は最短でも10分かかってしまうのに、XRPなら、最短4秒で決済が完了するんよ!?
期待してみんなはXRPを購入するけど、3年経っても最高値の1/20の値段帯やあ。ビットコインは史上最高値に回復してるのに...
そんなもんXRPで決まりや!」

「いや、わからへんねん」

「何がわからへんねん?」

「俺もリップルかと思ったんやけどな。
その仮想通貨はビットコインみたいな分散型のシステムで管理されてるらしい」
 
「ほーん…ほなリップルと違うかー。
XRPは、中央集権的な管理主体が存在しないビットコインと違って、リップル社という企業体によって運営されているんや。
XRPも分散型台帳技術を利用しているけど、その仕組みはビットコインなどとは大きく異なるからなあ。他に特徴をいうてなかった?」
 
「おかんが言うにはな。その仮想通貨は落ちこぼれの落第生に思えるんやけど、なんか応援してしまう愛くるしい存在らしい」

「ほー。XRPやないかい!!さんざん投資家に期待させておいて、過去最高値の
400円を回復するどころか、100円にも届かない。定位置は20円台。莫大な損失を出した投資家は数知れず。

それでもまだ人々は、XRPが400円どころか1000円になることを夢見てるんや!
もしかしたらこの子はいつかとんでもない成功を成し遂げてくれるって、夢みたいんや、XRPを愛する人たちは!
そんなんもうXRPで決まりや!」

「でもな。おかんが言うには、XRPではないらしいねん」

「え!?それ、先に言えよ!
俺が一生懸命、XRPの話をしてるときはどう思ってたん?」

「なんか申し訳ないなあって」

「胸に秘めるなぁ!声に出そう!!」

「ごめんなあ」

「ええで!よくあるこった、気にすんな!
ほんでどの仮想通貨を買ってあげるん?」

「名前が似てるから、アップルを買ってあげるわ」 

「アップル?それは果物か?米国株式か?
まあ、それはどっちでもええけど、おかんがもらって喜ぶ方にしとけよ」

「わかった。けど、優しいなあ、清正は」と、正則は感心している。

「まあな。短気は損気やからな。織田証券の社訓にもあったやろ?証券会社で働いている以上、いかなるときもメンタルを整えないとな!」

「せやせや。短気は損気。損切りに繋がると。損切、といえば...」

「どうしたんだ?」

「信長様って`大魔王`って言われてるじゃないか?その呼び名の由来って、損切大魔王ってことらしいぜ?」正則は、声のトーンを下げる。

「そ、損切大魔王?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指す桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

処理中です...