こちら織田証券(株)清州営業所

喜多ばぐじ・逆境を笑いに変える道楽作家

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【番外編】新入社員ガモタンの珍道中

【乳牛Ⅱ】逃げるは恥だが、役に立つ

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【現実世界にも忍び寄る乳牛の呪縛】

紙パックに映る共進牛乳の乳牛が目の前を真っ白にするなんて。


ゴクゴクゴク…

ウゲゲゲッ!!


キャッキャキャッキャと歓喜の声が響く学校給食が悲鳴に変わる事件が起きました。

ぼくは、牛乳をゲロピッピしてしまったのです。

元々好きではないあの味に、昨夜の乳牛の「ころがる」がフラッシュバックされてしまったためでした。

「大丈夫?体調悪いの?」声をかけてくれる先生。
その先生でさえ、コガネジムにいるおとなのお姉さんのような気がしてしまいます。

ぼくはどこにいようとも、あのコガネジムの呪縛から逃れられないのです。

「そっすね。夜も12時間しか寝れませんでした」

「元気ね?けど、いいから今日はもう早退しなさい」

先生は少し強引にぼくを早退させました。


その日の帰り道、トッゥトゥットタッタッタッタ、という、不思議な耳鳴りが聞こえてくるのです。

その音は前作、シオンタウンのBGMでした。


―――――――――――――――――――

【虫取りと不条理】

家について、母に事情を説明します。

しかし、昼過ぎに帰宅しても何もすることはありません。
体調も悪くはないので、睡眠をとる必要もありませんでした。

ぼくは再び、ゲームボーイの電源をつけました。


冒険をした場所は、コガネシティの北に位置する、「しぜんこうえん」です。


別にいいし。
ジムバッジなんていらんし。
もっと自然とふれ合うし。
戦う必要ないし、モンスター集めるし。

そんな思いを抱きながら、しぜんこうえんを散策しました。

自分を早退させた人とは別の先生から、「せんせいのつめ」をもらったり、キャタピーを捕獲しまくったり。


偶然という名の必然ともいうべきか、この日の火曜日は、しぜんこうえんの虫取り大会の日でした。

逃げ恥では、火曜はハグの日でしたが、金銀版では火曜は虫の日です。


運よくストライクを捕獲して、「よっしゃ優勝や!」と、喜んだのも束の間、
優勝したのは虫取り少年のコンパンでした。

3位の景品は…何の変哲もないきのみでした。


―――――――――――――――――――

【立ちふさがる大木】

もう、虫をとることさえ嫌になりました。

心機一転、新しい町に進むことにしたのです。

しかし、ぼくの行く手を、変な木が塞いで進めません。

ニョキニョキっとした、この木が、人生のその先を遮るのです。

「なんだよ、こいつは。俺はコガネジムから逃げられないのか!」

そう言って、天を仰いだのです…


―――――――――――――――――――

【現実世界。チェーンソーさえあれば】

その日の夕方、仕事が早く終わった父とホームセンターへ行きました。

そこで、ぼくは父に話しかけます。

「なあ、父さん。
チェーンソー買ってよ」

「なんでや?」

「あれがあれば、コガネシティの北の変な木を切れるやん」

「アホかお前は。
あの変なきは、じょうろがあればええんや。

アカネを倒せば、ええことがあるんやぞ。
ミルタンクも倒せないようじゃ、これから先の人生は厳しいぞ」

ワニノコを選んでいたおかげで、アカネに苦戦することなく進んでいた父は、先見の明があったのかもしれません。

チコリータを選んだ者は、アカネにたどり着く前の、鳥使いとムシキングに苦しんでいるのでしょう。

アカネの乳牛はヒノアラシを選んだ者にとっての大きな試練なのです。


―――――――――――――――――――

【逃げるは恥だが、役に立つ】

父の言葉に勇気をもらって再度アカネに挑んだぼくですが、マグマラシたちは再び轢き殺されてしまいます。

もう、限界でした。
だいたい、小学生が一人で冒険なんて無茶があったのです。

「逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。」という心の中の碇シンジの言葉を掻き消し、無料でもらえた自転車に乗って、旅立ちのワカバタウンに帰ることにしたのです。

たかが、ゲームかもしれません。
しかしそのゲームごときに、こんなに苦戦している自分が情けなかったのです。

ウバメの森を抜け、ガンテツじいさんと会話を交わし、つながりの洞窟を通った時、救世主に出会ったのです。

「コ、コ、コイツだ!!!」


―――――――――――――――――――

【逆襲の刻】

ワカバタウンに逃げ帰ることを辞め、再び、乳牛に対峙していました。

乳牛は性懲りも無く「ころがる」を繰り返し、相棒のピジョンを瞬殺します。

ここで、バクたろう、マグマラシを登場させるといつもの二の舞です。

つながりのどうくつで出会った、彼女を召喚します。


脂の乗り切った乳牛は、勢いよく転がってきました。

ゴツン!!

鈍い音が鳴り響き、メッセージが表示されます。

「こうかはいまひとつのようだ!」


堅そう、という理由で仲間にした新しい相棒のイシツブテさんには、「ころがる」は有効打ではないのです。

たとえ、世界最強のパンチャー・バンタム級の井上尚弥でさえ、イシツブテに致命傷を与えることは難しいでしょう。


つながりのどうくつで捕まえた、3匹の子ブタならぬ、4匹のイシツブテ。

ブテヨ、ブツナヨ、ブテナイ、ブッタナ。

彼女たちは、全員がメスでした。
そう、悪魔の呪文「メロメロ」も聞かないのです。



ッドッドッド!ッドドド!ドド!

彼女たちは、全力のたいあたりをつづけました。
「ミルクのみ」の回復にもめげず、トライを目指してタックルし続けたのです。

その執念が乳牛を追い込んだのかもしれません。
乳牛のヒットポイントを削っていきます。

そして最後は相棒・バク太郎こと「マグマラシ」の出番です。

最大火力技のひのこで、ついに乳牛をマットに沈めたのです。

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