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【番外編】新入社員ガモタンの珍道中
【乳牛Ⅰ】勝てるビジョンが見つからずとも
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ガモたんはいわゆるゆとり世代だ。
この世代を理解するためには、彼らのトラウマについて語っておかなければならない。
そう、1999年に発売されたポケットモンスター金銀のあの存在について、だ。
彼らの世代の心の闇に迫ってみよう。
*
ドSな「ふみつけ」、希望が潰える「ミルク飲み」、地上最強の乳牛に轢き殺されるポケモンたち…
もうだめだ。敵いっこない。逃げてしまいたい。
人間だれしも、両手両足を地面に投げ出してしまうほどの敗北感にうちひしがれることがある。
相場だってそうです。
もうだめだ、と損切りしたくなるときだってあるし、含み損を見て、毒を食らっている気持ちにもなる。
ぼくらゆとり世代は幼少期、あの「乳牛」によって、絶望の淵に叩き落されている。
社会人になれば、何度もくじけることもあるでしょう。
しかし、思い出してほしい。
幼少期、苦労してあの「乳牛」を撃退したぼくたちなら、きっと社会でも生き抜いていけるということを。
―――――――――――――――――――
【現実世界での乳牛】
小学校の頃、毎日見ていたのは、パック牛乳に描かれた乳牛です。
THE草食動物といえる優しそうな目つきは、あまりおいしくない牛乳への嫌悪感を和らげてくれる貴重な視覚情報でした。
パック上に描かれたサイズでは、重そうな体重の目立たず、優しい動物という印象だったのです。
―――――――――――――――――――
【ポケットモンスター金銀の乳牛】
「もうやめてくれ!これ以上はもう…」
そんな懇願も虚しく、乳牛は笑顔で「ふみつけ」を繰り返しました。
デブな割にすばやさが速い乳牛は、ヘビーな体重から、仲間を何度も「ふみつけ」ます。
その「ふみつけ」で、一体、何度ひるまされたことでしょう。
うぐぐっ!んが!
モンスターの痛みが自分にも伝わってきます。
痛さ故に、そのターンの反撃ができないのです。
「ふみつけ」というドSで暴力的な一面を見せる一方、乳牛は乙女ちっくな攻撃も繰り出します。
悪魔の呪文、「メロメロ」です。
これは、真剣勝負の最中に、敵を好きになってしまうというものです。
「メロメロ」を受けたぼくのモンスター、マグマラシやピジョンたちは、乳牛への愛が芽生えます。
そして、メロメロ状態のポケモンは、50%の確率で、乳牛を攻撃することができません。
しかし、乳牛はそれにもかかわらず、攻撃を続けてきます。
相手の心を奪いメロメロにさせつつも、踏みつけてくる、乳牛こそSM女王なのでしょう。
さらに、メロメロになっているのは、ポケモンたちだけではありません。
もう何十回とジムに通っているぼくは、セクシーな「おとなのおねえさん」に心奪われてしまっているのです。
ぼくも彼女らにメロメロを使われているのかもしれない。
強制的とは言え、乳牛を愛さざるを得なくなったモンスターたちに罪はありません。
―――――――――――――――――――
【DVか命令違反か】
メロメロになるというのは、恋をしているということです。
みなさんは愛する恋人やパートナーに手を上げることができるでしょうか?
しかし、このポケットモンスターというゲームは、メロメロ状態でも攻撃をしなければなりません。
まさに、DV問題を扱っているのです。
メロメロ状態のモンスターは、きっと大きな葛藤に苛まれているのでしょう。
乳牛を攻撃すれば、DV、
攻撃を辞めてしまえば、主人への命令違反。
自分のモンスターをそんな状態に追い込んでくるあの乳牛は、本当に恐ろしい存在なのです。
あの真抜けた顔に騙されてはいけません。
―――――――――――――――――――
【乳牛の猛攻】
メロメロ状態で戦いを継続し、モンスターを苦しめるわけにもいかないので、一度、ポケモンを交代せざるを得ません。
交代したばかりのポケモンを襲うのは、乳牛の最強攻撃、「ころがる」です。
攻撃が当たる度に、ダメージが増えていく「ころがる」という技は、ぼくの繰り出す仲間に向かってピンポイントで転がってきます
ドゴッ!!
という鈍い音を響かせながら轢かれて、バッタバッタと倒れていく仲間達。
ころがってくるだけの相手に、何度真っ白にさせられたでしょうか、全滅させられたでしょうか。
穴があったら入りたいわけではなく、
どこかにレールが落ちていたら、それをあの乳牛の前に轢いて、遙か彼方に脱線させてやりたかった。
―――――――――――――――――――
【勝てるビジョンが見えなかった】
乳牛に辿りつく前の、ピッピという可愛いだけのモンスターは倒せます。
指振ってんじゃねーよと思っていたら、たまに「ぜったいれいど」を出してきたりしますが。
しかし、最後の一体、「乳牛」がどうしても倒せませんでした。
ぼくのパートナーポケモンのマグマラシでは荷が重すぎたのです。
バクたろうというニックネームは名前負けで、
最大火力の技「ひのこ」でも、乳牛にはかすり傷程度のダメージしか与えられません。
手持ち6匹の力を合わせて、無尽蔵かと思える乳牛のHPを削ったとしても、「ミルクのみ」で、一気に回復されるのです。
乳牛が、「私の戦闘力は53万です」と語っている存在に見えるほど、強かったのです。
例え強くても、レベルを上げればいいじゃないか、そう思う方もいるかもしれません。
ポケモン最新作は、神仕様の「がくしゅうそうち」のおかげでレベルアップはたやすいものですしたが、初期の金銀版は、レベル上げが非常に大変でした。
ドラゴンクエストのように、メタル系を狩れば、簡単にレベルが上がるわけではないのです。
さらに、レベルを上げたとしてもその先のビジョンが見えませんでした。
マグマラシとピジョンを、バクフーンとピジョットまで進化させたとしても、あの乳牛を倒すイメージが湧かなかったのです。
もう何十回目でしょうか、乳牛の「ころがる」で全滅を喫したとき、ぼくはそっと、電源を消しました。
一つ、また一つと、荒いドット絵が画面から消えていきます。
この世代を理解するためには、彼らのトラウマについて語っておかなければならない。
そう、1999年に発売されたポケットモンスター金銀のあの存在について、だ。
彼らの世代の心の闇に迫ってみよう。
*
ドSな「ふみつけ」、希望が潰える「ミルク飲み」、地上最強の乳牛に轢き殺されるポケモンたち…
もうだめだ。敵いっこない。逃げてしまいたい。
人間だれしも、両手両足を地面に投げ出してしまうほどの敗北感にうちひしがれることがある。
相場だってそうです。
もうだめだ、と損切りしたくなるときだってあるし、含み損を見て、毒を食らっている気持ちにもなる。
ぼくらゆとり世代は幼少期、あの「乳牛」によって、絶望の淵に叩き落されている。
社会人になれば、何度もくじけることもあるでしょう。
しかし、思い出してほしい。
幼少期、苦労してあの「乳牛」を撃退したぼくたちなら、きっと社会でも生き抜いていけるということを。
―――――――――――――――――――
【現実世界での乳牛】
小学校の頃、毎日見ていたのは、パック牛乳に描かれた乳牛です。
THE草食動物といえる優しそうな目つきは、あまりおいしくない牛乳への嫌悪感を和らげてくれる貴重な視覚情報でした。
パック上に描かれたサイズでは、重そうな体重の目立たず、優しい動物という印象だったのです。
―――――――――――――――――――
【ポケットモンスター金銀の乳牛】
「もうやめてくれ!これ以上はもう…」
そんな懇願も虚しく、乳牛は笑顔で「ふみつけ」を繰り返しました。
デブな割にすばやさが速い乳牛は、ヘビーな体重から、仲間を何度も「ふみつけ」ます。
その「ふみつけ」で、一体、何度ひるまされたことでしょう。
うぐぐっ!んが!
モンスターの痛みが自分にも伝わってきます。
痛さ故に、そのターンの反撃ができないのです。
「ふみつけ」というドSで暴力的な一面を見せる一方、乳牛は乙女ちっくな攻撃も繰り出します。
悪魔の呪文、「メロメロ」です。
これは、真剣勝負の最中に、敵を好きになってしまうというものです。
「メロメロ」を受けたぼくのモンスター、マグマラシやピジョンたちは、乳牛への愛が芽生えます。
そして、メロメロ状態のポケモンは、50%の確率で、乳牛を攻撃することができません。
しかし、乳牛はそれにもかかわらず、攻撃を続けてきます。
相手の心を奪いメロメロにさせつつも、踏みつけてくる、乳牛こそSM女王なのでしょう。
さらに、メロメロになっているのは、ポケモンたちだけではありません。
もう何十回とジムに通っているぼくは、セクシーな「おとなのおねえさん」に心奪われてしまっているのです。
ぼくも彼女らにメロメロを使われているのかもしれない。
強制的とは言え、乳牛を愛さざるを得なくなったモンスターたちに罪はありません。
―――――――――――――――――――
【DVか命令違反か】
メロメロになるというのは、恋をしているということです。
みなさんは愛する恋人やパートナーに手を上げることができるでしょうか?
しかし、このポケットモンスターというゲームは、メロメロ状態でも攻撃をしなければなりません。
まさに、DV問題を扱っているのです。
メロメロ状態のモンスターは、きっと大きな葛藤に苛まれているのでしょう。
乳牛を攻撃すれば、DV、
攻撃を辞めてしまえば、主人への命令違反。
自分のモンスターをそんな状態に追い込んでくるあの乳牛は、本当に恐ろしい存在なのです。
あの真抜けた顔に騙されてはいけません。
―――――――――――――――――――
【乳牛の猛攻】
メロメロ状態で戦いを継続し、モンスターを苦しめるわけにもいかないので、一度、ポケモンを交代せざるを得ません。
交代したばかりのポケモンを襲うのは、乳牛の最強攻撃、「ころがる」です。
攻撃が当たる度に、ダメージが増えていく「ころがる」という技は、ぼくの繰り出す仲間に向かってピンポイントで転がってきます
ドゴッ!!
という鈍い音を響かせながら轢かれて、バッタバッタと倒れていく仲間達。
ころがってくるだけの相手に、何度真っ白にさせられたでしょうか、全滅させられたでしょうか。
穴があったら入りたいわけではなく、
どこかにレールが落ちていたら、それをあの乳牛の前に轢いて、遙か彼方に脱線させてやりたかった。
―――――――――――――――――――
【勝てるビジョンが見えなかった】
乳牛に辿りつく前の、ピッピという可愛いだけのモンスターは倒せます。
指振ってんじゃねーよと思っていたら、たまに「ぜったいれいど」を出してきたりしますが。
しかし、最後の一体、「乳牛」がどうしても倒せませんでした。
ぼくのパートナーポケモンのマグマラシでは荷が重すぎたのです。
バクたろうというニックネームは名前負けで、
最大火力の技「ひのこ」でも、乳牛にはかすり傷程度のダメージしか与えられません。
手持ち6匹の力を合わせて、無尽蔵かと思える乳牛のHPを削ったとしても、「ミルクのみ」で、一気に回復されるのです。
乳牛が、「私の戦闘力は53万です」と語っている存在に見えるほど、強かったのです。
例え強くても、レベルを上げればいいじゃないか、そう思う方もいるかもしれません。
ポケモン最新作は、神仕様の「がくしゅうそうち」のおかげでレベルアップはたやすいものですしたが、初期の金銀版は、レベル上げが非常に大変でした。
ドラゴンクエストのように、メタル系を狩れば、簡単にレベルが上がるわけではないのです。
さらに、レベルを上げたとしてもその先のビジョンが見えませんでした。
マグマラシとピジョンを、バクフーンとピジョットまで進化させたとしても、あの乳牛を倒すイメージが湧かなかったのです。
もう何十回目でしょうか、乳牛の「ころがる」で全滅を喫したとき、ぼくはそっと、電源を消しました。
一つ、また一つと、荒いドット絵が画面から消えていきます。
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