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II章 Let`s `One-sided love`!

PART11 Bloody HERO!?

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トラックに轢かれかけ、避ける時に大クラッシュをした僕はその衝撃で体中にダメージを受けました。

草だらけの服と流血した腕で学校に行くことがかっこええと認識した僕は学校へ向かいます。

途中コンビニに寄ってジャンプを立ち読みする余裕っぷりです。

どうせなら遅刻した方がワイルドやとか思っているのでしょうか?

いいえ、ただジャンプが読みたかっただけです。

学校へ予想外の事故と確信犯のジャンプ立ち読みのおかげで学校に着いたのは8時50分。

20分の遅刻です。

この日は、全国模試が行われる日で、
担任(推定65歳の女性教諭あだ名はばあちゃん)が試験官をしていました。

ガラガラッ

学ランは土と草にまみれ、
腕からは血を垂れ流し、
鋭い眼光で薄ら笑いながら僕は教室に入りました。

「どうしたの!何があったの?!
普段はおっとりとした顔の先生もびっくり慌てています。

「何もないっすよ!ちょいと野暮用で...」

(何もなかった... ONE PIECE名シーン)


勝手に自転車で登校して事故ったなんて言えない僕はごまかします。

どう普通に登校したら電車通学でこのような姿になりますか?

先生もクラスのみんなも俺がどこかでヤンキーと一戦交えたと思っているでしょう。

僕はそういう不良っぽさがかっこいいと思う痛い奴でした。


しかし、クラスのみんなの雰囲気は冷たいものでした。

目の前のテストに集中し、ちょろっと僕をチラ見するだけ。

僕の後ろ隣りの席にいる浅倉さんは引いています。

「何この人?なんか血が出てる...」と思っているのでしょう。


中学校が一緒だった下川だけが笑っています。
彼は僕がヤンキーと一戦交えるような奴ではないと知っているからです。


「とちった!」

僕は心で叫びました。

クラスの反応は薄く、遅れてきたヒーロー作戦は大失敗です。

浅倉さんに
「血だらけで学校来る武田くん素敵っ」
と思われる予定が、ドン引きされています。


僕は気を取り直して模試に挑みましたが、疼く流血のズキズキした痛みでテストどころじゃありません。

結局、1限目の英語はさっぱりできませんでした。
できないというか10分くらい解いてからグタッと寝ました。

後日返却された模試の結果には

英語6点

と表記されています。

ちなみに200点満点です。


2限目からの国語と数学も同様です。
僕はテストというものを行う意味がわからなくなっていました。

「模試でええ点とってそれがどうした?点数じゃない。
人間もっと大事なことがあるやろ?」

かっちょええこというてますが、ただただ勉強がめんどくさくなっただけです。


試験終了後、担任の先生が僕を呼びます。

「今日は何があったの?詳しく話を聞くので部活動が終わったら職員室に来なさい。」


もちろん僕は行きませんでした。


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