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II章 Let`s `One-sided love`!

PART15 Table tennis at Supermarket

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ペロンチョ事件で谷川さんにカチキレされた僕らは、低めのテンションで帰路につく…わけではなく

いつも通りガヤガヤハイテンションで帰りました。

そして、僕らの地元での溜まり場、コープのベンチに座り込み話しています。

西桜ヶ丘には合計4つのスーパーがありますが、コープはバグリ島への道の途中にあるので僕らが滞在する頻度は最も多くなっていました。

 
「しかし、ペロンチョは凄かったな。あんな葉っぱよう舐めるわ。」
 
「だから、お前が頼んだんやろが!」
 
喧嘩するボブと僕をきゃぷてんがなだめます。
 
「まあまあ、二人とも悪いとこはあるけど、いったん静まれ。」

「待てよ?俺の何が悪いねん?」
僕は納得がいきません。

「そんなんもうええやん。とっしーは落ち葉をペロンチョしたって事実だけ。」

そんなくだらない会話をしている時に、きゃぷてんは面白いものを見つけました。

「おい。あのテーブルでなんかできるんちゃう?」

そこには、黄色い色の折りたたみ式テーブルがありました。面積や見た目的には卓球台っぽい感じです。

「トランプとかできそうやな。」

「トランプは持ってないなあ。」

そんなとききゃぷてんが手に持ったテニスボールを見てニヤつきながら僕らに告げます。

「卓球しようや。」

「そのボールで卓球?
ラケットないやん?」

「そんなもんいらんよ。
手がラケット代わりや。」

「なるほどっ!やってみよ!」


僕らはさっそく折りたたみ式テーブルを勝手に使用し、テニスボール卓球を始めました。

軟式テニスボールというのは、非常に柔らかくプニプニしています。
手で弾いても案外飛ぶため、卓球には最適です。

テニスボールの使用法を手打ち卓球に変えた方がええんちゃうかと思うほどしっくりきます。


このスポーツが案外、面白いので僕らは熱中していきます。

しょうもないことでもすぐ盛り上がってしまうのが僕たちのいいところです。

「しぇあっー」
「うっわぁっ!」
「キエッーッ」

テンションが上がりまくった僕らは叫びまくり、感情を露わにします。

テニスボールを弾くのがめんどうになったボブは、ボールを掴んで相手コートに投げます。

中学時代野球部のエースだったボブの手から放たれたボールは勢いよくテーブルにぶち当たった後跳ね上がり...

僕の顔にぶち当たります。

「いってぇっ!
投げるんならもっと優しくなげろや!」

「投げること自体はええんやな。」
きゃぷてんは冷静に分析します。


テーブルを使い、テニスボールで卓球(側から見たら卓球には見えずただボールを弾いている高校生たち。

買い物に来る主婦やおばあちゃんたちはそんな僕らをどう思っていたのでしょうか?

何が嫌かというと、このスーパーは僕らの地元です。

つまり、僕らの友人の母たちが買い物に来る場所だということです。

「あれ、武田さんとこの息子さんちゃう?何してるの?」

そういうとても気まづくなるリスクを背負いながら僕らは卓球をしていました。


そんなとき、青と黒の制服に身を包んださながら犯罪者顏の男...

このスーパーの警備員が僕らのところへやってきました。

彼の名は牛尾

その名を知るために僕たちはとてつもない労力を使いました。

うそです。

名札に牛尾と書いてありました。


「君ら何してるん?」
牛尾は僕らを突き刺すような冷たい目線で語りかけてきました。


「卓球です」

力強い眼差しで自信をもって応える僕たちはさらに言葉を続けます。

「ダメですか?」


牛尾は当たり前すぎることを、当たり前の顔で、当たり前に言いました。

「ダメやろ。
早くそのテーブル片付けて。邪魔や。」


僕らはそう言われて、黙ってテーブルを片付けてベンチに座りました。

しかし、このままおとなしく引き下がるわけにはいきません。
なぜならあの卓球の魅力にはまってしまったからです。

「あいつどっかいった?」

「行ったで。」

「池の鯉捕獲と同じや誰かが、牛尾を監視せなあかん。」

その時、きゃぷてんがにんまりと笑い言いました。

「俺に任せろ」

「大丈夫か?
小学校の鯉捕獲の時、きゃぷてん、マゼランを監視してなかったやんけ?」

不安の積もる僕とボブにきゃぷてんはやっぱり自信たっぷりに答えました。

「今回は、大丈夫や。

牛尾は俺に任せろ。」
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