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III章 どでかい花火で人生終幕?
35話 世界で一番長い日(2) 「キャンプ行く=誰か行く」
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昼過ぎに団体戦が終わり、そのままひまわりの丘で現地解散となりました。
部員たちはバスに乗り、最寄りの西桜ヶ丘駅へ向かいますが、ぼくらはスーパーマーケット・万代へ向かいます。
円卓テーブルに座り、弁当を平らげ腹ごしらえを済ませると、時刻はもう14時です。
「総体も終わったし今から本格的な夏休みやな。
せっかくやし、夏はでっかいイベント起こそうで」
きゃぷてんがきゃぷてんシーを発揮します。
でっかいイベントという言葉に心踊りましたが、でっかいイベントというものが思い浮かばないぼくとは対照的に、ボブはさらりとした妙案をだしました。
「キャンプいこうや。」
「キャンプ!ええなあ。」
喜ぶぼくを遮るかのようにボブは釘を刺します。
「けど、とっしーは、
キャンプ行きたいなら、だれか行けよ」
「行くってなんやねん?」
「告るってことに決まってるやん
キャンプに行く=とっしーが誰かに告る」
「なんで告らなあかんねん!」
「こんなもん常識やろ。」
「どこが常識やねん!」
ぼくは脳を通さない脊髄反射のようなスピードで突っ込みをいれますが、気持ちは収まらずさらにヒートアップします。
「キャンプの参加と、俺が告ること、関係がないやろ!」
「関係のあるなしじゃないねん。
そういうことなんや。」
「どういうことやねん!意味がわからへん!」
ぼくとボブの討論を黙って聞いていたきゃぷてんでしたが、ここでまたしてもきゃぷてんシーを発揮します。
「とっしーが誰にも告らへんなら、
お前抜きでキャンプに行く。
それだけや」
「なんでそうなるねん!
百歩譲って、俺が告るのはよしとしよう。
なら、お前らも告白せえよ。俺だけ告るなんて不公平や!」
「おれらはいかんよ。とっしーだけが告る。」
「なんでやねん!」
テーブルを叩きつけるとドンッという激しい音がスーパーマーケットに響き渡ります。
理不尽を押し通すボブときゃぷてんとの討論は続きます。
「まあ、とっしー落ち着け」騒動の発端のボブは至って冷静です。
「なんで俺だけ告白せなあかんねん!いつもこういう嫌なイベントは俺の役目やないか!」
ぼくはここまでの不満がついに爆発します。
「そういうのじゃないねん。
キャラや。」
「キャラ...?」ぼくは気の抜けたたんさんのような声をあげます。
「俺ときゃぷてんが女の子に告白しておもろいか?
いや、おもんない。
とっしーが告白するからおもろいねん。」
'おもろい'という言葉を使われると、なぜか自分が褒められているようで嬉しくなるぼくは少し笑みをみせます。
そんな一瞬の変化を見逃さないボブは、ここぞとばかりに理詰めを始めます。
「俺やきゃぷてんが告っても、振られればただそれで終わり。成功すれば、ちょっと嬉しい。いまいちインパクトがない。
その点、とっしーが告ると、成否に関わらずまあおもろい」
「告る理由はわかったけど、だからって告白せなキャンプ行けんとかは、意味がわからんぞ」
「キャンプ行くとかそういう条件をつけないと、とっしーは告らへんやん」
きゃぷてんとボブの説得に気持ちが傾きかけたぼくですが、1つ気づいたことがありました。
まさかと思ったそのは事実を恐る恐る問うてみるぼく。
「お前らってさ、俺の告白の成否よりも、おもしろさを重視してないか?」
「せやで。」
「ぶっちゃけ俺らはなあ。
おもしろければなんでもいい。
とっしーが彼女できようが、できまいが、どっちでもいい。
ただおもしろくあってほしい。
それだけや!
なあきゃぷてん!」
「そうやで」
笑い至上主義...
衝撃的なこの'告白'にぼくは戸惑いを隠せませんでしたが、戸惑ったところで彼らの要求は変わりません。
平行線の議論の解決策は1つしかないのです。
「わかった。告白すればええんやな」
「さすがとっしー。やっと決意してくれたか…」
「で、だれ行くん?」
「一人しかおらへんやろ」ぼくは当たり前のように彼女を思い浮かべました。
「誰?」
「浅倉さん。」
「浅倉さん?
この前、とっしー振られたばっかやん」
「振られてから仲良くなったん?距離は縮まったんか?」
「全くなってない」
「じゃあやめとけって、他の女の子いけよ」正論を突くボブ。
しかし時に、正論というのは人に拒絶反応を起こさせます。
「いややあ!!!おれは、おれは、浅倉さんがええんや!」
「いや、無理やろ?
せっかく告るのなら、いけそうな人にいこうや」
「いややいややいやや!
俺は浅倉さんじゃないと嫌なんや!
駄々をこねるぼくに、きゃぷてんは冷ややかに提案します。
「プーは?プーに告ろう」
プーというのは、ぼくとボブの小学校時代の同級生、きゃぷてんとボブの中学生時代の同級生です。
容姿や性格を例えるならドラえもんのジャイ子のようでした。
「プーはさすがに、やめたろ」苦笑しつつも、温情采配を振るうボブ。
そのとき、ぼくの心に火がつきました。
「決めた!おれは浅倉にもう一度告る!
そして成功して、お前らとキャンプにも行くんや!」
前回はスーパーマーケットCOOPで告白し、今回はスーパーマーケットまんだいで告白するという少年。
スーパーという主婦が日常の買い物をしている場所で、15歳の高校生が携帯電話に思いを込めて告白しているのは、広い日本でもぼくくらいでしょう。
頭に浮かぶままにシンプルな思いを文章詰め込んで、今回は躊躇なく送信ボタンを押しました。
「浅倉さん。5月に告白して振られたけど、ぼくはやっぱり浅倉さんが好きです。
ぼくと付き合ってください」
メール送ったぼくはなぜか妙に誇らしい気持ちになりました。
「どうやろ?告白成功するかな?」
にこやかに笑うぼくに、ボブは真顔で言います。
「絶対無理やで。」
きゃぷてんも真顔で言いました。
「けどさ、キャンプいけるからよくない?」
部員たちはバスに乗り、最寄りの西桜ヶ丘駅へ向かいますが、ぼくらはスーパーマーケット・万代へ向かいます。
円卓テーブルに座り、弁当を平らげ腹ごしらえを済ませると、時刻はもう14時です。
「総体も終わったし今から本格的な夏休みやな。
せっかくやし、夏はでっかいイベント起こそうで」
きゃぷてんがきゃぷてんシーを発揮します。
でっかいイベントという言葉に心踊りましたが、でっかいイベントというものが思い浮かばないぼくとは対照的に、ボブはさらりとした妙案をだしました。
「キャンプいこうや。」
「キャンプ!ええなあ。」
喜ぶぼくを遮るかのようにボブは釘を刺します。
「けど、とっしーは、
キャンプ行きたいなら、だれか行けよ」
「行くってなんやねん?」
「告るってことに決まってるやん
キャンプに行く=とっしーが誰かに告る」
「なんで告らなあかんねん!」
「こんなもん常識やろ。」
「どこが常識やねん!」
ぼくは脳を通さない脊髄反射のようなスピードで突っ込みをいれますが、気持ちは収まらずさらにヒートアップします。
「キャンプの参加と、俺が告ること、関係がないやろ!」
「関係のあるなしじゃないねん。
そういうことなんや。」
「どういうことやねん!意味がわからへん!」
ぼくとボブの討論を黙って聞いていたきゃぷてんでしたが、ここでまたしてもきゃぷてんシーを発揮します。
「とっしーが誰にも告らへんなら、
お前抜きでキャンプに行く。
それだけや」
「なんでそうなるねん!
百歩譲って、俺が告るのはよしとしよう。
なら、お前らも告白せえよ。俺だけ告るなんて不公平や!」
「おれらはいかんよ。とっしーだけが告る。」
「なんでやねん!」
テーブルを叩きつけるとドンッという激しい音がスーパーマーケットに響き渡ります。
理不尽を押し通すボブときゃぷてんとの討論は続きます。
「まあ、とっしー落ち着け」騒動の発端のボブは至って冷静です。
「なんで俺だけ告白せなあかんねん!いつもこういう嫌なイベントは俺の役目やないか!」
ぼくはここまでの不満がついに爆発します。
「そういうのじゃないねん。
キャラや。」
「キャラ...?」ぼくは気の抜けたたんさんのような声をあげます。
「俺ときゃぷてんが女の子に告白しておもろいか?
いや、おもんない。
とっしーが告白するからおもろいねん。」
'おもろい'という言葉を使われると、なぜか自分が褒められているようで嬉しくなるぼくは少し笑みをみせます。
そんな一瞬の変化を見逃さないボブは、ここぞとばかりに理詰めを始めます。
「俺やきゃぷてんが告っても、振られればただそれで終わり。成功すれば、ちょっと嬉しい。いまいちインパクトがない。
その点、とっしーが告ると、成否に関わらずまあおもろい」
「告る理由はわかったけど、だからって告白せなキャンプ行けんとかは、意味がわからんぞ」
「キャンプ行くとかそういう条件をつけないと、とっしーは告らへんやん」
きゃぷてんとボブの説得に気持ちが傾きかけたぼくですが、1つ気づいたことがありました。
まさかと思ったそのは事実を恐る恐る問うてみるぼく。
「お前らってさ、俺の告白の成否よりも、おもしろさを重視してないか?」
「せやで。」
「ぶっちゃけ俺らはなあ。
おもしろければなんでもいい。
とっしーが彼女できようが、できまいが、どっちでもいい。
ただおもしろくあってほしい。
それだけや!
なあきゃぷてん!」
「そうやで」
笑い至上主義...
衝撃的なこの'告白'にぼくは戸惑いを隠せませんでしたが、戸惑ったところで彼らの要求は変わりません。
平行線の議論の解決策は1つしかないのです。
「わかった。告白すればええんやな」
「さすがとっしー。やっと決意してくれたか…」
「で、だれ行くん?」
「一人しかおらへんやろ」ぼくは当たり前のように彼女を思い浮かべました。
「誰?」
「浅倉さん。」
「浅倉さん?
この前、とっしー振られたばっかやん」
「振られてから仲良くなったん?距離は縮まったんか?」
「全くなってない」
「じゃあやめとけって、他の女の子いけよ」正論を突くボブ。
しかし時に、正論というのは人に拒絶反応を起こさせます。
「いややあ!!!おれは、おれは、浅倉さんがええんや!」
「いや、無理やろ?
せっかく告るのなら、いけそうな人にいこうや」
「いややいややいやや!
俺は浅倉さんじゃないと嫌なんや!
駄々をこねるぼくに、きゃぷてんは冷ややかに提案します。
「プーは?プーに告ろう」
プーというのは、ぼくとボブの小学校時代の同級生、きゃぷてんとボブの中学生時代の同級生です。
容姿や性格を例えるならドラえもんのジャイ子のようでした。
「プーはさすがに、やめたろ」苦笑しつつも、温情采配を振るうボブ。
そのとき、ぼくの心に火がつきました。
「決めた!おれは浅倉にもう一度告る!
そして成功して、お前らとキャンプにも行くんや!」
前回はスーパーマーケットCOOPで告白し、今回はスーパーマーケットまんだいで告白するという少年。
スーパーという主婦が日常の買い物をしている場所で、15歳の高校生が携帯電話に思いを込めて告白しているのは、広い日本でもぼくくらいでしょう。
頭に浮かぶままにシンプルな思いを文章詰め込んで、今回は躊躇なく送信ボタンを押しました。
「浅倉さん。5月に告白して振られたけど、ぼくはやっぱり浅倉さんが好きです。
ぼくと付き合ってください」
メール送ったぼくはなぜか妙に誇らしい気持ちになりました。
「どうやろ?告白成功するかな?」
にこやかに笑うぼくに、ボブは真顔で言います。
「絶対無理やで。」
きゃぷてんも真顔で言いました。
「けどさ、キャンプいけるからよくない?」
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