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特別編 ~8年の歳月、淡路島再訪~
14話 VSしおさい旅館
しおりを挟む「もしもし~。あ~、神奈川県のしおさいさんですか??」
ぼくはさきほどの旅館にもう一度電話をかけました。
「はい、そうですが」
「実はですね。
さきほど、キャンセル料20000円を支払うとなったんですけれども、
10000円にまけてもらえませんか?」
「いいですよ」
「え?いいんですか?
ありがとうございます!」
予想外の10000円OFFにぼくは満面の笑みで電話を切りました。
「おい、みんな!1万になったぞ!
申し訳ないけど、一人2000円、払ってくれよ!」
それを聞いたキャプテンは払う払わないという回答ではなく、意外な言葉を口にしました。
「まだいけそうじゃない?」
「どういうこと?」
「さっきの値切りが楽勝すぎてん。
もっと粘れば、もっと値切れそうや」
「なっるほどな!まかせろ!」
ぼくはそう言って、三度、しおさいに電話をかけたのです。
詐欺師VS詐欺師の戦いが、またも始まります。
「もしもし~。あ~、神奈川県のしおさいさんですか??」
「はい、そうですが」
「さきほどのキャンセル料の話なんですけれどもね。
もっとなんとかなりませんか?」
「もっと、なんとか?」
「つまり、もうちょいと、安くしてほしいんですよ」
「それは無理ですよ。
本来の規則では、全額20000円を払っていただく必要があるんですよ?」
「でも、優しいおじさんのおかげでもうその規則は破綻しているじゃないですか!
もう少しなんとか…」
「ん~。では、7500円…」
「ん~、惜しい!もうひとおし!!
もっと値下げしていただけたら、宣伝しておきますよ!
`和歌山のしおさいは最高!`やって」
「そこでも間違えてるじゃないですか!
うちは神奈川のしおさいです!!」
「さーせん!でもね、お願いします。
なんとか、なんとかもうすこしまけてくださいよ」
「こちらも商売なんでねえ…」
「こんなに頼んでいるのにだめなんですか?
じゃあこれ以上どう頼めば…」
ぼくが粘り強く交渉しているとき、横からみんなの声が聞こえてきます。
「さすがにゼロは悪くない?」
「ちょっとは、払ったろうぜ」
「1000円くらいならまあええよな」
その言葉を聞いたぼくはさ、最後の攻勢に出ました。
「わかりました。これでもう最後です。
キャンセル料は、一人1000円ポッキリで、5人で5000円!
これでどうですか?」
「わかりましたよ、5000円でいいですよお」
「ありがとうございます!!!」
まさしく粘り勝ち、ぼくは上機嫌で電話を切りました。
15000円を値切ったのです。
これは家電をヤマダ電気で値切るのとはわけがちがいます。
そもそも宿の当日キャンセルは100%負担で20000円のところを5000円にしたのです。
75%OFF!!
みんなもまあ、1000円ならしゃあないな、といって、ぼくに1000円を渡してくれましたので、のちほど5000円を振り込むことになります。
次の問題は本日の宿です。
神奈川のしおさいの問題は解決しましたが、本日泊まるところはありません。
しかし、この問題はいとも簡単に解決しました。
ダメ元で和歌山のしおさいに入り、さきほどのおばちゃんに、
「さーせん。今日と明日、泊めてもらえませんか?」と聞いたところ、
「ええよ~」という返事をもらったのです。
「値段はいくらですか?」
と、尋ねると、おばちゃんはこう答えました。
「え~となあ。5000円くらいやろ?」
まさかの質問返し…
ぼくらは、無理を言って急に泊めてくれと言っている手前、高いともいえず安いとも言えず、うなずきました。
こうして部屋に入りくつろいでいたときに、キャプテンはぼそりと言ったのです。
「けどよ。みつこが言うててん。
*みつこというのは彼の母親のことです)
素泊まりで5000円はめっちゃ高いからやめとけって」
キャプテンの母親に会ったこともないギアルは、なぜかムキになって言い返しました。
「みつこが言うならそうなんやろな」
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