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特別編Ⅱ リターンズ・2000kmの大冒険

7話 結婚END。14歳に負けた男

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連絡をすることが怖い。

かつてそんなことがあったでしょうか。

しかしぼくは、あさっぴに連絡をとることが怖かったのです。

どうせ、拒絶されるに決まっていると思ってしまうがゆえに。


そんなとき、まさはるは、伊坂幸太郎の小説「砂漠」の一節を引用して背中を押してくれました。

「いこうぜ。砂漠に雪を降らそうぜ。
どんな絶望的な状況でも奇跡は起こせるって見せてくれよ

あきらめきちがい、あきちになるな。

写真の男が旦那なら、二度と行くな。
俺は14やと思ったからもっかい行け。

お前の答えを聞かせてくれよ。

行くのか行かないのか??

ぼくはちに、心の思いを吐露します。

「言ってええんか?
俺はあさっぴからの最後の言葉を信じたくない。
こんな14歳に負けたくない。絶対勝てる、いきたい」

「けど今は負けてるやん?」

「今はな?
俺の最終的な勝ち方は、旦那の浮気待ちしかない」

「んー。
作戦が弱気すぎる!

まあ、確認していこう
あさっぴを世界で一番長く愛したのは誰だ?」

「俺や」

「あさっぴにとって、人生で1番のデートをしたのは誰や?」

「俺や」

「じゃあ、あさっぴの隣におるべきは誰や?」

「俺や」

「けど、今あさっぴの隣におるのは?」

「14歳や」

「お前が14歳から取り返す作戦はなんなん?」

「浮気待ちや
テニスでいうところの相手のミス待ちや」

「無理や。そんなんじゃ勝てん。
たぶんあいつらは婚約状態や。
そこを破棄させるっていうのは相当なもんや」

「じゃあどうするねん?」


そんなとき、あのメロディが流れてきたのです。

♪あの大空に届くまでI believe ひとつの明日へ♪

東方神起 / Share The World

現実味のない作戦で、オープニングが始まりましたが、最後の作戦を考えます。


「14歳に懇願しろよ。
どうにかあさっぴをぼくにくれませんかって」

「なんか、それはださいなあ」

「じゃあ札束や。
別れてくれたら500万あげるでって言おう」

「いや、お前らアホか。
14歳に500万円もあげても、どう使っていいかわからんやろ。

おやつ代程度しかしか考えられんぞ?」

グループ通話が続く中、まさはるは、突然スクリーンショットをはりつけました。

「これみてや。
GWお前らと遊んでるとき、俺があさっぴにラインしたやん?
とっしーのことについて尋ねたいって。
あれ、既読ついてないねん」

「ほんまや…
けどそれ以上にヤバイのは、ラインが114件たまってることやろな」

「114件は返さへんよ。
こっちから連絡したいやつにだけ返す。

あっそうや。ずみちょに聞いてみるわ」

ズミちょ、彼女はあさっぴの親友でした。

ぼくが5年前振られたとき、なんとか助けてくれとずみちょに懇願したものの
「もう諦めろと、トドメをさした」のもズミちょです。

そのズミちょの言葉でぼくは号泣し、真米子の公園で警察官に慰められたりもしました。


そんな因縁いいね、そんなずみちょへの質問内容は、

このアイコン写真の男はあさっぴにとって誰なのか?

ということです。


ものの五分もしないうちに、まさはるはずみちょからの返信のスクショを貼り付けました。


そこには、

「旦那さんだよ」

と書いてあったのです…

これぞまさしく、ズミ仕上げ。

ズミの言葉で、僕の9年半の恋が砕け散ったのです。


「......!!!」
ぼくは言葉を失います。

そしてキャプテンは、憂うように言葉を発したのです「。

「俺が14歳の頃は若松塾に行きながらひたすらモンハンしてたけど、
最近の14歳は結婚も早いなあ」

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