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Ⅵ章

1話 mobus最強?

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<2009年 秋>

ぼくらは、神戸一の歓楽街、三宮のセンター街を歩いていました。

そこで目に入ったのは、靴屋さんです。
誰が言うでもなく自然に店に入り、品を見ていきます。

そんなとき、きゃぷてんが一つの靴をみつけました。

それは、mobusというメーカーのもので、値段が9800円。
高校一年生のぼくらにとって、9800円というのは大金です。

しかしボブは、「とっしー、これ買えよ。」と言いました。

「いや、こんな高いの買えるかよ!」もちろんぼくは断ります。

すると、ボブは、ぼくの足元を見ました。
「そんなダサい靴やめとけって。このmobusの方が絶対カッコいい。おかんに服買って貰っているとっしーのセンスより俺らのセンスの方がいいから。」

ボブの強い勧めにも関わらず、ぼくはあまり乗り気がしませんでした。

「でもこれさ。なんか縦長やし、歩きづらそうや。機能性が悪いから嫌やわ。」

ボブはあきれたような顔でいいます。
「オシャレになりたいなら多少の機能性は捨てろ。」

「いや、けど高いしなあ…」

すると、横からきゃぷてんはボソりと言いました。

「この前、廊下であさっぴとすれちがったときにさ。
聞こえてきてんけど、私、mobusの靴を履いている人と付き合いたいって言ってたわ。」

あさっぴ。
そう、ぼくにとっては、二度振られてはいるものの、いまだに大好きな人物です。

「クソガ…」ぼくはそう言って、靴をわしづかみにして、店の奥へと消えました。


レジでお会計を済ませ、さっそく靴を履いたぼくは、店外で待っていたボブときゃぷてんに話しかけます。

「どうや!?」

すると、彼らは言いました。

「だっせぇ~~!なんでそんなん買ったん?」

「9800円とか高すぎやろ。」

いつものお決まりのパターンとはいえ、ぼくの頭には血が上っていきます。


「お前らが買えっていったんやろうがー!!!」


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