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5章 決戦と別れ
14、宗輝と宗珊
しおりを挟む<宗輝と宗珊の和解>
ぼくら家族の和解を目にした侍さんは、何かを決意したように宗輝さんに話しかけた。
「なあ、宗輝。儂もお前に伝えておかなければならんことがある」
「なんだ?」宗輝さんはぶっきらぼうに言い返した。
「20年前、お主の人生を台無しにしてしまった儂が言うべきだったことは、謝罪ではない…
これからもともに頑張ろうと言って、お主に寄り添うことだったのかもしれん」
「…やっと気付いてくれたか。そうだな。あくまで謝罪は、自己満足や保身でしかない。言葉だけではなく、その後にどうするかが問題なんだ。謝るだけでなく、これからのことを一緒に考えてほしかったんだ。ごめんなさいと言えば、記者会見で謝罪すれば、それだけで解決するわけじゃあねえんだ。まあ、俺自身の教訓でもあるけどな…」
「儂はあのとき、お主の気持ちをわかったやれなかった…」
「もういいよ、宗珊。
俺もこの2週間で心持ちが変わったんだ。あいつらの修行に付き合っていたらよ、がむしゃらだった昔の気持ちを取り戻せた。それは宗珊のおかげだ。あんたと出会えたから、今があるんだ。それによ。俺は非正規の個人事業主だが、人力車を引っ張るこの仕事がけっこう好きなんだ。もしかしたら天職なのかもしれねえよ」
「天職…?そんな言葉を使うということは、もしかして人生に後悔していないのか?」
「そりゃもちろん、つらいこともあったさ。ずっと不満を抱えて生きてきた。けどよく考えたら、ここまでの寄り道や後悔が今に続く道だったと考えればそんなに悪いものじゃねえと思う。
なんだろうな、今の気分は、人生で最も清々しい気分なんだ」
「宗輝…お主も成長したのかもしれねえな」
「成長だなんてよせよ。もう37歳のおじさんだぜ、俺は。
さて、事件も解決したようだし京都に帰るとするか。お前たちはタクシーを呼ぶんだろ?俺は先に帰るぜ。じゃあな、宗珊。そしてみんな、今までありがとうよ」
「ああ、こちらこそありがとう…」
「宗輝さん、ありがとう。そして元気でね。今度は、宗輝さんの人力車に乗せてよ」
「ああ、任せとけ!俺の人力車は、京都で一番安くて、速いんだ、楽しみにしておけよ?!」
そう言ったときの宗輝さんの笑顔は、太陽のように輝いていた。
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