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第14話 頼りたくない
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荷物の受け取りがすべて終わり、部屋に戻った。
「先生、お待たせしました」
「はい、大丈夫です。では詳細をお話ししてもいいですか?
ただですね、録音した一部始終をお聞かせすることもできますが……
もしかしたら颯太君は聞かない方がいいかもしれないんですよ」
「ああ__分かりました。では、その録音を私のメールに添付して送っていただけますか?
後で一人で聞きます」
「はい、その方が良いと思います。
まず印鑑ですが、作り直して再登録し、銀行の通帳も新しい印鑑で再発行できますのでご安心ください。
その際、不法にお金が引き出されていた場合は違法ですから、訴えることができます。
契約書については、事務所側にも控えがあるはずですので、それを隠すようなら告訴します。
詳細は録画をご覧いただければ分かりますが……実は一つ、提案があります」
「はい、何でしょうか?」
「今回の件は、裁判になればすべて勝訴して取り戻せます。
ただですね……戸籍上の颯太君のお父さんは経済界の重鎮です。
裁判になればマスコミも騒ぎますし、颯太君自身も被害者なのに色々と探られる。
多少なりともダメージを受けます。
そこで提案なのですが、私からお父さん宛てに内容証明を送ろうと思います。
知らない弁護士から突然そんな手紙が届けば、否応なしに目を通します。
その中に、音楽事務所が颯太君にしたこと、院長の診断書、
そして不当に紛失した物のリストを添え、
“事務所の社長に一言電話を入れていただきたい”と書くつもりです。
恐らくですが……電話一本で全て片付くはずです。
無くしたものも戻るでしょう。
今まで顔を合わせることもなかったようですが、
こういうピンチの時は一度くらい力を借りてもいいのではないでしょうか。
そうしなければ、お父さん自身もマスコミに騒がれますからね。
それだけは絶対に避けたいはずです。どうでしょう?」
俺は颯太を見た。
下を向いたまま、手を固く握りしめて震えている。
ここまで放っておかれて、今さら力を借りるなんて……悔しいに決まっている。
でも山川先生の話ももっともだ。
颯太がこれ以上傷つくのは見たくない。
「颯太、どう思う?」
<俺、分からない。できれば頼りたくない。父親が傷つくなら傷つけばいい>
思わず颯太の手を握った。
「先生、本人がそう言っていますので、裁判を起こす方向で良いと思います。
ただ……裁判の準備をしている間に、父親側が情報をキャッチしたりしませんか?」
「さすがに鋭いですね。そうなんですよ。あれだけの大物ですからね。
だからこそ、今の提案をしたんです。
裁判を起こすこと自体は可能ですが、起こせば周囲が放っておきません。
それならいっそ、“裁判を起こすつもりだ”と事前に伝えた方が早いと思ったんです」
颯太の握り締めている手の上から俺の手を重ねた。
「颯太、気持ちは分かるよ。でも……父親は今の現状を知るべきだと俺は思う。
マスコミに騒がれるのは構わないけど、颯太がこれ以上傷つくのは見たくない。
どうかな?」
しばらく考えていたが、ようやく颯太が頷いた。
<ではよろしくお願いします>
「では先生、そういうことなので、あとはお任せします。よろしくお願いします」
二人が帰った後、颯太は泣き崩れた。
悔しいんだよな……かわいそうに。
「颯太、おいで。寝室に行こう。少し横になった方がいい。朝から疲れただろう?」
泣きじゃくる颯太の肩を抱いて寝室へ向かった。
ベッドに横にさせ、俺も隣に入り込んで抱きしめる。
「颯太、泣きたい時はいっぱい泣いていいよ」
ずっと胸に縋るようにして泣く颯太の背中をさすり続けた。
「先生、お待たせしました」
「はい、大丈夫です。では詳細をお話ししてもいいですか?
ただですね、録音した一部始終をお聞かせすることもできますが……
もしかしたら颯太君は聞かない方がいいかもしれないんですよ」
「ああ__分かりました。では、その録音を私のメールに添付して送っていただけますか?
後で一人で聞きます」
「はい、その方が良いと思います。
まず印鑑ですが、作り直して再登録し、銀行の通帳も新しい印鑑で再発行できますのでご安心ください。
その際、不法にお金が引き出されていた場合は違法ですから、訴えることができます。
契約書については、事務所側にも控えがあるはずですので、それを隠すようなら告訴します。
詳細は録画をご覧いただければ分かりますが……実は一つ、提案があります」
「はい、何でしょうか?」
「今回の件は、裁判になればすべて勝訴して取り戻せます。
ただですね……戸籍上の颯太君のお父さんは経済界の重鎮です。
裁判になればマスコミも騒ぎますし、颯太君自身も被害者なのに色々と探られる。
多少なりともダメージを受けます。
そこで提案なのですが、私からお父さん宛てに内容証明を送ろうと思います。
知らない弁護士から突然そんな手紙が届けば、否応なしに目を通します。
その中に、音楽事務所が颯太君にしたこと、院長の診断書、
そして不当に紛失した物のリストを添え、
“事務所の社長に一言電話を入れていただきたい”と書くつもりです。
恐らくですが……電話一本で全て片付くはずです。
無くしたものも戻るでしょう。
今まで顔を合わせることもなかったようですが、
こういうピンチの時は一度くらい力を借りてもいいのではないでしょうか。
そうしなければ、お父さん自身もマスコミに騒がれますからね。
それだけは絶対に避けたいはずです。どうでしょう?」
俺は颯太を見た。
下を向いたまま、手を固く握りしめて震えている。
ここまで放っておかれて、今さら力を借りるなんて……悔しいに決まっている。
でも山川先生の話ももっともだ。
颯太がこれ以上傷つくのは見たくない。
「颯太、どう思う?」
<俺、分からない。できれば頼りたくない。父親が傷つくなら傷つけばいい>
思わず颯太の手を握った。
「先生、本人がそう言っていますので、裁判を起こす方向で良いと思います。
ただ……裁判の準備をしている間に、父親側が情報をキャッチしたりしませんか?」
「さすがに鋭いですね。そうなんですよ。あれだけの大物ですからね。
だからこそ、今の提案をしたんです。
裁判を起こすこと自体は可能ですが、起こせば周囲が放っておきません。
それならいっそ、“裁判を起こすつもりだ”と事前に伝えた方が早いと思ったんです」
颯太の握り締めている手の上から俺の手を重ねた。
「颯太、気持ちは分かるよ。でも……父親は今の現状を知るべきだと俺は思う。
マスコミに騒がれるのは構わないけど、颯太がこれ以上傷つくのは見たくない。
どうかな?」
しばらく考えていたが、ようやく颯太が頷いた。
<ではよろしくお願いします>
「では先生、そういうことなので、あとはお任せします。よろしくお願いします」
二人が帰った後、颯太は泣き崩れた。
悔しいんだよな……かわいそうに。
「颯太、おいで。寝室に行こう。少し横になった方がいい。朝から疲れただろう?」
泣きじゃくる颯太の肩を抱いて寝室へ向かった。
ベッドに横にさせ、俺も隣に入り込んで抱きしめる。
「颯太、泣きたい時はいっぱい泣いていいよ」
ずっと胸に縋るようにして泣く颯太の背中をさすり続けた。
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