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第2章 外科の未来、その先へ
34話 莉子のアニメセミナー
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莉子は今、サテライトの3階で、患者のためのアニメセミナーを週に2回、
みんなで練ったプログラム通りに、順調に進めているようだ。
パソコンは8台だったのを10台に増やした。
木曜日の14時~15時30分と、土曜日の9時~10時39分の2回開催。
これは患者さん用なので、いくつか制約がある。
1. 医療行為(保険適用)
•対象:精神科で処方を受けた患者
•費用:保険診療(自己負担3割など)
•目的:トラウマ治療・心のケア
2. 有料体験希望者向け
体験型セミナー(有料)
•対象:一般の希望者
•料金:1回8,000円前後(「講演+体験ワークショップ」形式)
•枠:今月は月2回、定員20名程度
•来月からは月1回で限定20名
•月初め土曜日の14時~15時30分のみ開催
•内容:アニメの簡単な描画体験+莉子のデモ+作品鑑賞会
•目的:療法ではなく「莉子の魂に触れる芸術体験」
まあ、決めたはいいけど、莉子の体力が持つかなあ?
40人待ちだから、最初の月だけで消化しようとしている。
桐生さん曰く、「このセミナーで才能ある人が見つけられたらいいですね」と言っていた。
まったく……夏と一緒で抜かりないんだよ。
参加者には最初に、自分の似顔絵をササッと描かせるつもりらしい。
それで才能が分かるんだって。ふ~ん。
俺は入口からこっそりと莉子の様子を見ていた。
そこへ夏が桐生さんと一緒に見に来た。
莉子が気づき、こちらをちらっと見てウィンクをした。えっ?
夏も桐生さんもニヤッとしている。
「任せて」って意味かな? じゃあ、手出し無用だな。
それから俺たちはサテの1階に様子を見に行った。
「理事、昨日カフェで岩城から“ビル云々”って聞かれなかったか?」
理事「もちろん『知らな~い』って言いましたよ。言わなくたって全部わかっちゃってるんだもん。みんな同じこと想像してるよね?」
「うん、そうだね。ミエミエだったね。この業界の人は全員ピンと来てるよ。
それより岩城もだけど、川瀬も“うちに雇ってくれ”って、しょっちゅう言うんだよね。
でも大学病院の院長が手放すわけないんだよ。
特に岩城は手放さない。天才的頭脳だからさ。
でも、どっちか一人が残っても寂しいだろうし、難しいんだよね。
どういう方法なら、二人一緒にうちに呼べるかなあ?」
理事「院長、それはほとんど不可能じゃない? 今、大学病院に行きたい人っている?
だって給料は安いし、シフトはきついしさ。報われないって、みんな思ってるんじゃないかな?
本気出して二人が飛び出してくれるなら、いつでも歓迎だけどね。
そしたら川瀬先生のために産婦人科を作るよ」
「そうだな。一応さ、産婦人科を作れるスペースは確保しておいてほしいんだよね。
外科をメインにするなら、産科を入れて宿直体制にしたって、どうせ同じでしょう?
病室だって作るんだからさ。紛れ込めるようにしたいんだよね」
理事「うん、わかったよ。父に言っとく。でも大学病院は、もっと新手の方法を考えた方がいいんじゃないかな?」
「どんなこと?」
理事「普通は、大学病院から医師を派遣してもらうのに、寄附講座にお金を出すとか、研究費に協力するとかの名目
で、毎年1千万~5千万近く払うんだよ。
でも、うちは全部自前だから、人材を派遣してもらう必要はないよね?」
「え? じゃあどうするの?」
理事「だから、岩城先生と川瀬先生には“駆け落ち”みたいに、自分からすべてを捨ててうちに来てもらわないと、イ
ヤなしがらみができちゃうんだよ。
だからその時は、嫌がらせにも耐えられる“菜の花”になってないとダメだもんね。
多分、父が考えてるのは、そういうことだと思う」
「そうか……じゃあ、“駆け落ちみたいに逃げて来い”って言うしかないのか……」
理事「うん、だからこっちは“恋人”だよね?」
ふふふ……二人で笑った。
みんなで練ったプログラム通りに、順調に進めているようだ。
パソコンは8台だったのを10台に増やした。
木曜日の14時~15時30分と、土曜日の9時~10時39分の2回開催。
これは患者さん用なので、いくつか制約がある。
1. 医療行為(保険適用)
•対象:精神科で処方を受けた患者
•費用:保険診療(自己負担3割など)
•目的:トラウマ治療・心のケア
2. 有料体験希望者向け
体験型セミナー(有料)
•対象:一般の希望者
•料金:1回8,000円前後(「講演+体験ワークショップ」形式)
•枠:今月は月2回、定員20名程度
•来月からは月1回で限定20名
•月初め土曜日の14時~15時30分のみ開催
•内容:アニメの簡単な描画体験+莉子のデモ+作品鑑賞会
•目的:療法ではなく「莉子の魂に触れる芸術体験」
まあ、決めたはいいけど、莉子の体力が持つかなあ?
40人待ちだから、最初の月だけで消化しようとしている。
桐生さん曰く、「このセミナーで才能ある人が見つけられたらいいですね」と言っていた。
まったく……夏と一緒で抜かりないんだよ。
参加者には最初に、自分の似顔絵をササッと描かせるつもりらしい。
それで才能が分かるんだって。ふ~ん。
俺は入口からこっそりと莉子の様子を見ていた。
そこへ夏が桐生さんと一緒に見に来た。
莉子が気づき、こちらをちらっと見てウィンクをした。えっ?
夏も桐生さんもニヤッとしている。
「任せて」って意味かな? じゃあ、手出し無用だな。
それから俺たちはサテの1階に様子を見に行った。
「理事、昨日カフェで岩城から“ビル云々”って聞かれなかったか?」
理事「もちろん『知らな~い』って言いましたよ。言わなくたって全部わかっちゃってるんだもん。みんな同じこと想像してるよね?」
「うん、そうだね。ミエミエだったね。この業界の人は全員ピンと来てるよ。
それより岩城もだけど、川瀬も“うちに雇ってくれ”って、しょっちゅう言うんだよね。
でも大学病院の院長が手放すわけないんだよ。
特に岩城は手放さない。天才的頭脳だからさ。
でも、どっちか一人が残っても寂しいだろうし、難しいんだよね。
どういう方法なら、二人一緒にうちに呼べるかなあ?」
理事「院長、それはほとんど不可能じゃない? 今、大学病院に行きたい人っている?
だって給料は安いし、シフトはきついしさ。報われないって、みんな思ってるんじゃないかな?
本気出して二人が飛び出してくれるなら、いつでも歓迎だけどね。
そしたら川瀬先生のために産婦人科を作るよ」
「そうだな。一応さ、産婦人科を作れるスペースは確保しておいてほしいんだよね。
外科をメインにするなら、産科を入れて宿直体制にしたって、どうせ同じでしょう?
病室だって作るんだからさ。紛れ込めるようにしたいんだよね」
理事「うん、わかったよ。父に言っとく。でも大学病院は、もっと新手の方法を考えた方がいいんじゃないかな?」
「どんなこと?」
理事「普通は、大学病院から医師を派遣してもらうのに、寄附講座にお金を出すとか、研究費に協力するとかの名目
で、毎年1千万~5千万近く払うんだよ。
でも、うちは全部自前だから、人材を派遣してもらう必要はないよね?」
「え? じゃあどうするの?」
理事「だから、岩城先生と川瀬先生には“駆け落ち”みたいに、自分からすべてを捨ててうちに来てもらわないと、イ
ヤなしがらみができちゃうんだよ。
だからその時は、嫌がらせにも耐えられる“菜の花”になってないとダメだもんね。
多分、父が考えてるのは、そういうことだと思う」
「そうか……じゃあ、“駆け落ちみたいに逃げて来い”って言うしかないのか……」
理事「うん、だからこっちは“恋人”だよね?」
ふふふ……二人で笑った。
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