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第2章 外科の未来、その先へ
38話 岩城外科医が拓く未来
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「それから――今から一番大事な話をするよ」
夏「ええ~? 改まって言われると、なんだか怖いよ……なあに?」
「お父さんのことだから、多分、最新鋭のAI手術機械を導入するつもりなんだと思う。
でも、それを真っ先に使いこなせるのは、やっぱり天才的な頭脳を持つ岩城なんだ。
つまり、機械があるだけじゃ意味がない。使いこなせる人間が必要なんだよ」
夏「うん、そうだね。でも、どうせ岩城先生はうちに来られないんでしょう?」
「だからこそ、来られるようにするための最大限の方法を考えておいた方がいい。
もちろん岩城や川瀬だって手を打つだろうけど、こちら側が受け入れられる体制を整えておかないと駄目なんだ」
桐生君が不思議そうに眉をひそめた。
「つまり――こちらが譲歩できる道筋を用意するってこと。これはあの医大だけの問題じゃないんだ。
おそらく、大々的に宣伝して“触っていいですよ”と開放すれば、あちこちから依頼が殺到する。
でも、その中で岩城を引き込むことで、その大学病院には“優先的に使っていいですよ”という特権を与える。
それが岩城の武器になり、病院長や部長たちを説得する鍵になるだろう?」
「それは決して大学病院とのしがらみにはならない。むしろ、こっちが許可する立場なんだから。
立場は逆転しているのに、あえて譲って使わせてあげる。
そして多くの大学の医師や研修医に触らせる機会を与えることで、こちらが優位に立てる。
まあ、顔に出したら逆効果だけどね」
みんなでくすっと笑った。
「大学にもメンツがあるからさ。その顔をいかに立ててやるかで、岩城がうちに来られるかどうかが決まるんだ」
夏「へえ~、やっぱりそうなんだ?」
「当たり前だろ? 向こうは金で動きたくても動けない。正当な理由がなければ駄目なんだ。
だから“後輩や研修生にも有利になり、研究にも協力する”といった建前を作らないと送り出してもらえない」
夏「ふ~ん、なるほど。でもそうしたら、うちが面倒くさくならないかな?」
思わずクスクス笑った。
夏「あっ、今、俺のこと笑ったでしょう!」
「いずれ研修生たちが押し寄せてくるのに面倒もへったくれもないでしょう?
むしろ早く慣れておいた方がいい。
改善点があるなら早く改善しておけば、逆に噂になって大人気になるよ。
だから、岩城や川瀬が来るときは、彼らの条件を受け入れて欲しいんだ。
それをお父さんに伝えてくれ。これはしがらみじゃない。
むしろ、うちが大きく前進できるチャンスなんだから。
普通に考えても、うちだけが一番良い機械を持っていたら、やっかまれて嫌がらせを受けるのがオチだろ?」
桐生君が下を向いてクククと笑った。
桐生「本当にその通りですね。よくわかりますよ。そういうものです。
競争させた上で優先権を与えるという特別扱いをすれば、大学側もきっと譲歩せざるを得ないでしょう。
承諾しなければ、他の医大に先を越されてしまいますから」
「うん、そういうこと。お父さんもわかってくれていると思うけど、もし彼らが後輩や研修生を連れて来たときは、最高の待遇で迎えてやって欲しい。
そうすれば噂が広まり、うちの株も上がる。
きっと認可が下りたら研修生が殺到して、あちこちの医大が慌てるはずだよ」
夏「うん、わかった! 聞いてるだけで痛快だよ。今から実家に行ってくる!」
「うん、行っておいで。最高のタイミングで動けるように、情報戦略を考えておくんだよ。
岩城たちには“完成の二か月前には辞める”と言ってくれと伝えてあるから、頼むよ」
夏は張り切って、桐生さんと共に社長の元へ向かった。
夏「ええ~? 改まって言われると、なんだか怖いよ……なあに?」
「お父さんのことだから、多分、最新鋭のAI手術機械を導入するつもりなんだと思う。
でも、それを真っ先に使いこなせるのは、やっぱり天才的な頭脳を持つ岩城なんだ。
つまり、機械があるだけじゃ意味がない。使いこなせる人間が必要なんだよ」
夏「うん、そうだね。でも、どうせ岩城先生はうちに来られないんでしょう?」
「だからこそ、来られるようにするための最大限の方法を考えておいた方がいい。
もちろん岩城や川瀬だって手を打つだろうけど、こちら側が受け入れられる体制を整えておかないと駄目なんだ」
桐生君が不思議そうに眉をひそめた。
「つまり――こちらが譲歩できる道筋を用意するってこと。これはあの医大だけの問題じゃないんだ。
おそらく、大々的に宣伝して“触っていいですよ”と開放すれば、あちこちから依頼が殺到する。
でも、その中で岩城を引き込むことで、その大学病院には“優先的に使っていいですよ”という特権を与える。
それが岩城の武器になり、病院長や部長たちを説得する鍵になるだろう?」
「それは決して大学病院とのしがらみにはならない。むしろ、こっちが許可する立場なんだから。
立場は逆転しているのに、あえて譲って使わせてあげる。
そして多くの大学の医師や研修医に触らせる機会を与えることで、こちらが優位に立てる。
まあ、顔に出したら逆効果だけどね」
みんなでくすっと笑った。
「大学にもメンツがあるからさ。その顔をいかに立ててやるかで、岩城がうちに来られるかどうかが決まるんだ」
夏「へえ~、やっぱりそうなんだ?」
「当たり前だろ? 向こうは金で動きたくても動けない。正当な理由がなければ駄目なんだ。
だから“後輩や研修生にも有利になり、研究にも協力する”といった建前を作らないと送り出してもらえない」
夏「ふ~ん、なるほど。でもそうしたら、うちが面倒くさくならないかな?」
思わずクスクス笑った。
夏「あっ、今、俺のこと笑ったでしょう!」
「いずれ研修生たちが押し寄せてくるのに面倒もへったくれもないでしょう?
むしろ早く慣れておいた方がいい。
改善点があるなら早く改善しておけば、逆に噂になって大人気になるよ。
だから、岩城や川瀬が来るときは、彼らの条件を受け入れて欲しいんだ。
それをお父さんに伝えてくれ。これはしがらみじゃない。
むしろ、うちが大きく前進できるチャンスなんだから。
普通に考えても、うちだけが一番良い機械を持っていたら、やっかまれて嫌がらせを受けるのがオチだろ?」
桐生君が下を向いてクククと笑った。
桐生「本当にその通りですね。よくわかりますよ。そういうものです。
競争させた上で優先権を与えるという特別扱いをすれば、大学側もきっと譲歩せざるを得ないでしょう。
承諾しなければ、他の医大に先を越されてしまいますから」
「うん、そういうこと。お父さんもわかってくれていると思うけど、もし彼らが後輩や研修生を連れて来たときは、最高の待遇で迎えてやって欲しい。
そうすれば噂が広まり、うちの株も上がる。
きっと認可が下りたら研修生が殺到して、あちこちの医大が慌てるはずだよ」
夏「うん、わかった! 聞いてるだけで痛快だよ。今から実家に行ってくる!」
「うん、行っておいで。最高のタイミングで動けるように、情報戦略を考えておくんだよ。
岩城たちには“完成の二か月前には辞める”と言ってくれと伝えてあるから、頼むよ」
夏は張り切って、桐生さんと共に社長の元へ向かった。
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