診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第5章 2号館、屋上から動き出す

84話 屋上オープン2・川瀬の心遣い

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 そうだ、川瀬からメールをもらっていたんだよね。

あれを二人に伝えなきゃいけない。

三輪さんたちの方へ近づいた。

「今日から頑張ってくださいね。納品はサテの4階の物流センターで、福田陸さんが担当します。

納品時の一時預かり所として、冷凍庫や冷蔵庫も物流に用意してありますから、あとで覗いてみてください。

連絡すれば、お二人が運ばなくても福田さんが持ってきてくれます。

無理に重いものを持たなくていいんですよ。

手伝いが必要なときは、遠慮しないで言ってくださいね」

友井「本当に……こんなにしていただけるなんて夢みたいです。ねっ!」

三輪「そうですよ。感激しました。私たちのために立派な厨房を作っていただいて、本当にうれしいです」

「それは良かった。――ああ、それとちょっと聞きたいことがあるんです。

実はね、寮生の川瀬先生からの質問なんですが……寮母さんがすごく忙しいのに、出汁を取るのに毎回時間がかかっているらしいんですよ。

少しでも楽にしてあげられないかと聞いてきたんです。お二人はどうされているんですか?」

二人は顔を見合わせて、ふっと笑った。

三輪「私たちは最初に出汁を作って、スタッフみんなに飲んでもらって、一定の味になるまで練習してもらったんです。
今では大量に作って、それを使って料理しているので、毎回出汁を取る手間は要らないんですよ。

もしよろしければ、西村主任もお使いになりますか? あの出汁でよろしければ……ですけど」

「ああ、それは絶対喜んでもらえますよ。――あれ? 主任はどこかな?」

ちょうど厨房から出てきたので、呼んできてもらった。

西村「はい、何でしょう?」

「あのね、フーズではお二人がまとめて作った出汁を常備してるんですって。良かったら使わせてもらったらどうですか?」

西村「ええっ? 本当ですか? いいんですかぁ? ……助かるぅ~!」

友井「もちろん。最初に私たちが作った味を再現してもらっているので、美味しいはずですよ」

「やったー!」と飛び上がって、大喜びの主任。

――ふふふ、子どもみたいだな。

三輪「フーズのリストの中にありますから、同じように注文できますよ」

西村「ああ~うれしい。本当に助かります」

「良かったですね。実は昨日、川瀬からメールが来てたんです。

『出汁を取るのに1時間くらいかかっているから、なんとかならないかな』って」

西村「ええっ……川瀬先生が、そんなことを?」

あ……主任まで涙ぐみそうだ。

展開が早いな、川瀬もやるじゃん。


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