診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

文字の大きさ
289 / 431
第15章 進むべき道へ

287話 アネックス寮・完成

しおりを挟む
 オーディションで忙しい中、ようやくアネックス寮の引き渡しが今日だ。
待ってたー!
これは早く皆の引っ越しを済ませてほしい。

落ち着かないし、早く本館5階の部屋を空けてほしいんだよ。
引っ越し予定の人は有休を取って、もう荷物をトラックに乗せるだけの準備をしていた。

アネックスの引き渡しには、社長もお母さんも、建築関係のいつものメンバーが並んだ。
ここでもテープカットが用意されていた。

「もういいよ」と思うんだけど、作った方々の結晶だから断るわけにもいかない。
社長と理事と俺の3人でカットした。

今日越してこない人たちも全員見に来ていて、拍手をくれた。
この人たちには、あとで引っ越しを手伝ってもらおう。

なんと言っても、今回のハイライトはアネックスとテラスの間にできた大食堂だ。
ここは双方が廊下でつながり、往復が自由になる。

収容人数は約45名。
アネックスが17名、テラスが21名。
全部で常時38名が、ここで食事をしたり休憩を取ったりする。

キッチンは業務用の調理機器が入り、大型冷蔵庫や広いパントリーも備えている。
もちろん、それぞれの寮にも大きなダイニングやリビング、キッチンはある。

だが、双方が交流できる場所にしてほしいという社長の考えがあった。
それに寮母さんも二人でやった方が、万が一体調不良などがあっても融通が利くだろうということだった。

ワンルームの寮母・松井奈々子さんは今日引っ越して、アネックスの寮母になる。
朝食は、テラスの寮母・植村真理子さんと二人で38名分を用意する。

あとは各自自由。ドリンクバーも設置されている。
共有のダイニング兼リビングでもあり、植え込みもきれいに整えられていて雰囲気がすごくいい。

午前の引っ越し予定は――
• 本館5階の宿直室にいる高原夫妻
• 同じく5階の個室にいた西田ICUナース
• ワンルームで別々に住んでいた沖田夫妻
• 寮母の松井奈々子さん

これで、ワンルームマンションは空っぽになった。
ただ最上階の2LDKが二つあるので、念のため空けておくことにした。
寮としての家具や家電もそのまま残してある。
音楽監督などが入るかもしれないと桐生さんも言っていた。

レジデンスにまだ余裕があることで、このワンルームマンションも最上階以外は解約された。
また、一軒家の寮はあさって解約。

男4人、明日引っ越したら他の人の分も手伝ってほしい。
そして、本館5階の改造していたキッチンやリビング、個室などは、元通りに高級感のある造りに戻される。

本当にほっとした。一刻も早く戻したかったんだよね。
どんなアクシデントがあるか分からないから、開けておきたかった。

その他は、順番に有休を取って、一週間以内にすべての引っ越しを済ませる予定。

三浦部長が、また引っ越しのスケジュールを作ってくれた。
なんていいやつなんだ。
彼は若いから頭も身体もよく動く。若いっていいな。

三浦「院長、そろそろ引っ越しの第一便が到着しますよ」
「うん、こっちも準備万端だよ」

三浦「みんなー、引っ越しの手伝い頼むよ!」
「おー!!」と皆一斉に声を揃えて片手をあげ、気勢を上げた。

そこへトラック便がどんどん連なってやって来た。
うわ~、これ凄いな。

何台来たんだ?数がズラーっと並んでいた。
これで午前の分だけ。午後はまた何台も来る予定。

「莉子、もう帰っていいよ。これから作業に入るし、ケガでもするとみんなが困るからさ」
「そう?私も手伝っていいんだけど、見てるだけじゃ悪いから帰るわ」
「うん、そうして。その方がみんなも気が楽だからさ」

バイバイと莉子が笑顔で小さく手を振った。かわいい。
莉子は菜の花の宝だ。

さあ、働くぞ!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【短編集】こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

守り守られ

ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師 患者 瀬咲朔 腸疾患・排泄障害・下肢不自由 看護師 ベテラン山添さん 準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん 木島 尚久 真幌の恋人同棲中

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

月弥総合病院

僕君・御月様
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

処理中です...