360 / 372
第18章 回復と未来を目指して
358話 揺れて
しおりを挟む
夏は忙しそうで、寝室に入るとバタンと寝てしまう。
かなり寂しい。俺は今、気持ちが揺れている。
こういう状況は良くないと自分でも思う。どうしたものか……。
頭を冷やした方がいいのか。
それとも身体を動かして疲れればいいのか。
もう九時だけど夏は帰って来ない。
莉子はとっくに疲れたと言って寝てしまった。
桃香は部屋で勉強しているらしい。
しょうがない。頭を冷やそうと思って2号館の屋上に行くことにした。
あそこで外の空気を吸えばいい。
小銭だけ持ってふらっと出た。11階の休憩室を覗くと誰もいなかった。
そのまま12階の屋上へ出た。
夜風が気持ちいい。それに緑の匂いがする。
樹木を沢山植えているわけじゃないのに、それでも主張するんだな。
コーヒーを買って、デッキの椅子に座り夜空を見ていた。
小学校の時に夜空を見て、星の名前を当てる夏休みの林間学校を思い出した……。
しばらくそこにいた。
どうしたものかなんて......良いアイデアがあるわけでもなく、ただ受け入れるしかない。
そう悟った気持ちになった時に、ふっと人の気配がした。
うん?誰だろう?
そっちを見ると見覚えのある人だった。ふっと笑った。
向こうも笑っている。
なんでここにいる?__困ったな。
こんなところで会いたくなかった人だ。
「早く帰ってくださいよ。俺が出て行けないじゃないですか」
人目を気にしてくれてるんだね。
「そうだよね、分かった!帰るよ」
さっと立って下に降りていった。
全く……なんでこんなふうに心が通じ合うんだろうか。
<早く帰って、俺が出て行けないから?>
それ__ただの告白になっている。
昼間俺が言ったことの返事なのか?
とすると――相思相愛ってことなのか……。
一番まずい。知りたくなかった。
いっそ「ど~も~」と言いながら走り去ってくれた方が100倍良かった。
俺がじっと星を眺めていた時間を見守っていたのか?
全くバカ野郎だよ。どんな気持ちでそこに隠れていたんだよ。
向こうは空気で感じるんだ。
こういうのが一番困る。
最初にオンラインで会った時からだよね。不思議だ。
とにかく顔を合わせないことだ。
お互いに自覚した以上は、それしかない。
それにしても夏も空気で分かっちゃうからな。
俺は怖い人に囲まれているのかもしれない。
帰宅すると夏が帰っていた。もう10時になっていた。
「お兄さん、どこに行ってたの?」
「うん?2号館の屋上だよ。夜空を見てたんだ」
「ふ~ん、一人?」
「そうだよ、こんな時間は誰もいなかったよ」
「そうなの?」
「心配か?それなら早く帰って来いよ」
「お兄さん、お風呂に入ったの?」
「まだだよ」
「じゃあ、一緒に入りたい」
「うん、いいよ、行こう……、あっ夕飯食べた?」
「食べてない」
「じゃあ先に食べてからにしよう」
夏の夕食を温めてお茶を淹れた。
夕飯を食べる夏をじっと見つめていた。
「夏、夜まで何をしていたの?」
「ヴォクシブのみんなとグッズの話をしてたんだよ」
「ふ~ん。そうなんだ。でも夜は帰っておいで」
夏が俺の目をじっと見つめた。
「お兄さん、寂しいの?」
不覚だけど――頷いてしまった。
「わかった、早く帰るようにするね」
夕飯が終わると一緒に風呂に入った。
そして夏をめちゃくちゃに抱いてしまった。
こういうのは良くない。
なんか違う気がする。
かなり寂しい。俺は今、気持ちが揺れている。
こういう状況は良くないと自分でも思う。どうしたものか……。
頭を冷やした方がいいのか。
それとも身体を動かして疲れればいいのか。
もう九時だけど夏は帰って来ない。
莉子はとっくに疲れたと言って寝てしまった。
桃香は部屋で勉強しているらしい。
しょうがない。頭を冷やそうと思って2号館の屋上に行くことにした。
あそこで外の空気を吸えばいい。
小銭だけ持ってふらっと出た。11階の休憩室を覗くと誰もいなかった。
そのまま12階の屋上へ出た。
夜風が気持ちいい。それに緑の匂いがする。
樹木を沢山植えているわけじゃないのに、それでも主張するんだな。
コーヒーを買って、デッキの椅子に座り夜空を見ていた。
小学校の時に夜空を見て、星の名前を当てる夏休みの林間学校を思い出した……。
しばらくそこにいた。
どうしたものかなんて......良いアイデアがあるわけでもなく、ただ受け入れるしかない。
そう悟った気持ちになった時に、ふっと人の気配がした。
うん?誰だろう?
そっちを見ると見覚えのある人だった。ふっと笑った。
向こうも笑っている。
なんでここにいる?__困ったな。
こんなところで会いたくなかった人だ。
「早く帰ってくださいよ。俺が出て行けないじゃないですか」
人目を気にしてくれてるんだね。
「そうだよね、分かった!帰るよ」
さっと立って下に降りていった。
全く……なんでこんなふうに心が通じ合うんだろうか。
<早く帰って、俺が出て行けないから?>
それ__ただの告白になっている。
昼間俺が言ったことの返事なのか?
とすると――相思相愛ってことなのか……。
一番まずい。知りたくなかった。
いっそ「ど~も~」と言いながら走り去ってくれた方が100倍良かった。
俺がじっと星を眺めていた時間を見守っていたのか?
全くバカ野郎だよ。どんな気持ちでそこに隠れていたんだよ。
向こうは空気で感じるんだ。
こういうのが一番困る。
最初にオンラインで会った時からだよね。不思議だ。
とにかく顔を合わせないことだ。
お互いに自覚した以上は、それしかない。
それにしても夏も空気で分かっちゃうからな。
俺は怖い人に囲まれているのかもしれない。
帰宅すると夏が帰っていた。もう10時になっていた。
「お兄さん、どこに行ってたの?」
「うん?2号館の屋上だよ。夜空を見てたんだ」
「ふ~ん、一人?」
「そうだよ、こんな時間は誰もいなかったよ」
「そうなの?」
「心配か?それなら早く帰って来いよ」
「お兄さん、お風呂に入ったの?」
「まだだよ」
「じゃあ、一緒に入りたい」
「うん、いいよ、行こう……、あっ夕飯食べた?」
「食べてない」
「じゃあ先に食べてからにしよう」
夏の夕食を温めてお茶を淹れた。
夕飯を食べる夏をじっと見つめていた。
「夏、夜まで何をしていたの?」
「ヴォクシブのみんなとグッズの話をしてたんだよ」
「ふ~ん。そうなんだ。でも夜は帰っておいで」
夏が俺の目をじっと見つめた。
「お兄さん、寂しいの?」
不覚だけど――頷いてしまった。
「わかった、早く帰るようにするね」
夕飯が終わると一緒に風呂に入った。
そして夏をめちゃくちゃに抱いてしまった。
こういうのは良くない。
なんか違う気がする。
4
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
鏡の中の他人
北大路京介
恋愛
美容師として働くシングルマザー。顧客の一人が、実は自分の元夫を訴えている原告側の弁護士。複雑な立場ながらも、彼の髪を切る親密な時間の中で、プロとしての境界が曖昧になっていく。
貴方と二人で臨む海
鏡野ゆう
恋愛
防衛省情報本部で勤めている門真汐莉。
どちらかと言えば頭脳労働が得意な彼女が遭遇したのは見るからに頑丈そうなお兄さん。
ちょっと(否かなり)強面な殆ど陸にいる海自男と、ちょっと(否かなり)おっちょこちょいな背広組のお嬢さんのお話。
【東京・横須賀編 完結】【東京・江田島編 GW 完結】
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
もう恋なんてしない
竹柏凪紗
恋愛
「ずっと一緒にいよう」執着気味だった彼氏が姿を消した。そんなとき沙那(さな)は同じ職場の飛鷹(ひだか)が夜の街で続く不審な行方不明について調査していることを偶然知ってしまう。彼氏の職業が実はホストだったことに加えて次々と判明していく真実。はじめて話したときの冷たい印象とは違い不器用ながらも誠実でやさしい飛鷹に魅かれていくなか彼氏が姿を消した理由などが明らかになっていく。飛鷹と沙那の運命は──?
※BL版「もう恋なんてしない」ともリンクするシーンがあるので、ぜひ併せて読んでいただけると嬉しいです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる