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35話 結婚指輪
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莉子と約束どおり結婚指輪を買いに、1時間ほど電車に乗って行ったところにある有名百貨店へ行った。
もちろん、この日ばかりは俺も莉子もきちんとした格好で行った。
実は前にカフェに行った時に、中村の妹の洋子さんに指輪についてこっそりアドバイスをもらっていたんだ。
俺はどこかの有名なブランド店に行こうかな?とぼんやり考えていたんだけど、
莉子の身体が小さくて華奢だから、海外ブランドの指輪だと厚みがあって、作業がやりづらいんじゃないかな?と言われたんだ。
その点、百貨店だったらいろんなブランド店が入っているし、そこで指に合う好きなデザインのものを選んでもらったら喜んでくれるんじゃないか?ということだった。
全く!さすがだよ!!あの兄妹は本当にセンス抜群だな。最高だ!
莉子、ここにある店の中で好きなものを選んでいいからね。なるべく高いものを選べよ。
「ええ? もう、そこまでしなくてもいいのに......」
いいんだよ。ほら俺たちは婚約期間がなかったから婚約指輪もあげられなかったし、いきなり結婚指輪になっちゃっただろう?だから、莉子には好きなものを選んでほしいんだ。
なんだかどのお店の店員さんも、俺たちに笑顔いっぱいで接客してくれたし、
海外のブランド店や国産のブランド店もいろいろあったんだけど、
莉子も俺も慣れていなくて、うろうろしていた。いっぱいありすぎると迷うなあ。
結局、感じの良い店員さんに、ご希望のお品をご紹介致しましょうか?と言われて、
そこで見せてもらうことにした。
「結婚指輪が欲しいんですけど」
「まあ、おめでとうございます。素敵ですね!
では早速にいくつかご紹介致しますので、奥の椅子にお掛けになってお待ちくださいませ」
俺たちは奥まったところにある、リビングのような雰囲気の場所に案内された。
二人でソファに座ると、緊張している莉子の手を握った。
そのうちにコーヒーが運ばれてきた。
更に少し待つと、トレーに商品を乗せて持ってきてくれた。
「お待たせ致しました。華やかなデザインから、シンプルやモダンなタイプもございます。
この中で大体のお好みを教えていただければ、同じ種類のデザイン違いなどをご紹介致します」
俺は莉子を見ながら微笑んだ。莉子の好みで決めていいよ。
莉子はうれしそうにあれこれ見ていたが、「迷ってしまってなんだか分からないよ」と戸惑っていた。
店員さんが「人気があるのは、布やニットに引っかかりにくいシンプルなタイプや、
少しカーブが入ったモダンなデザインですね。あとダイヤが入ったお品も喜ばれています。
あとは色ですね。ゴールドやプラチナ、また両方が入った華やかなデザインもございます」
莉子、俺は仕事中の指輪は禁止なんだ。
だから、仕事以外の時につけることになるから、本当に莉子が気に入ったものにしていいよ。
店員さんがニコニコして見守っている。
「やっぱりシンプルなものが良いかなあ? 学校に行く時は目立たない方が良いかも」
ん? 指輪を付けて学校に行く気になってくれたの?と俺は笑いながら聞いた。
「あっ、まだわからないけど......」俺はくすくすと笑いが止まらない。
結局、莉子の華奢な指に合わせて、プラチナの少し流れるようなラインが入った細めのデザインで、裏側にブルーサファイアが1個付いているものだった。ブルーが永遠の愛を象徴しているそうだ。
そういうわけで、本当はダイヤがいっぱい並んだものにしてくれても良かったんだけど、莉子らしい控えめなデザインになった。
そしてイニシャルなどの裏の刻印もお願いして終わった。出来上がりまで2週間はかかるそうだ。
さて、ついでに莉子の服も買いたかったので、上の階へ行った。
シンプルで上質なワンピースと、お揃いの上着が付いたアンサンブルを買ってやりたかったんだ。
これからはフォーマルな席もあると思うからね。
これは案外すぐに決まった。
色はうすいサーモンピンクで上品なデザインだ。華奢で可憐な莉子に本当によく似合う。
ついでにフォーマルにも使えるバッグや靴も買った。
「春ちゃん、買い物しすぎ! そんなにいっぱい要らないよ」
ダメ!!これから要るの。いつもカジュアルだけじゃダメなの。
もう大人の女になったんでしょう?と言うと、顔を真っ赤にしてうつむいた。
俺はくすくす笑って止まらなくて、莉子の頭を撫でてしまう。
あと、もう一か所行くとこがあるんだよ。
でもその前にちょっと休憩しよう。スイーツを食べたいんじゃないか?
「うん、行きたい!!」 カフェに行こうよ。
莉子は疲れたらしく、自分から俺の腕に捕まっていた。
ここでちょっと休んだら、実はもう一か所行くところがあるんだ。
そこはパールで有名な老舗店だ。
「春ちゃん、ここで何を買う気なの??」
実はね、お父さんとお母さんから頼まれたんだよ。莉子への結婚のお祝いだそうだ。
「え?、そんなにしなくていいのに......申し訳ないよ」
特にお母さんのリクエストで、ここでパールのネックレスとイヤリングを買うように言われてきたんだ。
ここは事前にお願いしておいたので、名前を言うと奥の個室に案内された。
パールのネックレスとイヤリングはすぐに持ってきてくれた。
色々試して掛けてみる。 莉子はかわいいからなんでもよく似合うなあ。
ここでもすぐに決まり、実家への配送もお願いした。
やはりお祝いは、両親から直接莉子に渡してもらわないといけないしね。
一気に回ったね。莉子も疲れただろう?
「うん。もうへとへとかも……」 じゃあ、おんぶしてあげようか?
「イヤダ===っ!」俺は笑って、じゃあ、まっすぐ帰ろうねと言って手を繋いだ。
もちろん、この日ばかりは俺も莉子もきちんとした格好で行った。
実は前にカフェに行った時に、中村の妹の洋子さんに指輪についてこっそりアドバイスをもらっていたんだ。
俺はどこかの有名なブランド店に行こうかな?とぼんやり考えていたんだけど、
莉子の身体が小さくて華奢だから、海外ブランドの指輪だと厚みがあって、作業がやりづらいんじゃないかな?と言われたんだ。
その点、百貨店だったらいろんなブランド店が入っているし、そこで指に合う好きなデザインのものを選んでもらったら喜んでくれるんじゃないか?ということだった。
全く!さすがだよ!!あの兄妹は本当にセンス抜群だな。最高だ!
莉子、ここにある店の中で好きなものを選んでいいからね。なるべく高いものを選べよ。
「ええ? もう、そこまでしなくてもいいのに......」
いいんだよ。ほら俺たちは婚約期間がなかったから婚約指輪もあげられなかったし、いきなり結婚指輪になっちゃっただろう?だから、莉子には好きなものを選んでほしいんだ。
なんだかどのお店の店員さんも、俺たちに笑顔いっぱいで接客してくれたし、
海外のブランド店や国産のブランド店もいろいろあったんだけど、
莉子も俺も慣れていなくて、うろうろしていた。いっぱいありすぎると迷うなあ。
結局、感じの良い店員さんに、ご希望のお品をご紹介致しましょうか?と言われて、
そこで見せてもらうことにした。
「結婚指輪が欲しいんですけど」
「まあ、おめでとうございます。素敵ですね!
では早速にいくつかご紹介致しますので、奥の椅子にお掛けになってお待ちくださいませ」
俺たちは奥まったところにある、リビングのような雰囲気の場所に案内された。
二人でソファに座ると、緊張している莉子の手を握った。
そのうちにコーヒーが運ばれてきた。
更に少し待つと、トレーに商品を乗せて持ってきてくれた。
「お待たせ致しました。華やかなデザインから、シンプルやモダンなタイプもございます。
この中で大体のお好みを教えていただければ、同じ種類のデザイン違いなどをご紹介致します」
俺は莉子を見ながら微笑んだ。莉子の好みで決めていいよ。
莉子はうれしそうにあれこれ見ていたが、「迷ってしまってなんだか分からないよ」と戸惑っていた。
店員さんが「人気があるのは、布やニットに引っかかりにくいシンプルなタイプや、
少しカーブが入ったモダンなデザインですね。あとダイヤが入ったお品も喜ばれています。
あとは色ですね。ゴールドやプラチナ、また両方が入った華やかなデザインもございます」
莉子、俺は仕事中の指輪は禁止なんだ。
だから、仕事以外の時につけることになるから、本当に莉子が気に入ったものにしていいよ。
店員さんがニコニコして見守っている。
「やっぱりシンプルなものが良いかなあ? 学校に行く時は目立たない方が良いかも」
ん? 指輪を付けて学校に行く気になってくれたの?と俺は笑いながら聞いた。
「あっ、まだわからないけど......」俺はくすくすと笑いが止まらない。
結局、莉子の華奢な指に合わせて、プラチナの少し流れるようなラインが入った細めのデザインで、裏側にブルーサファイアが1個付いているものだった。ブルーが永遠の愛を象徴しているそうだ。
そういうわけで、本当はダイヤがいっぱい並んだものにしてくれても良かったんだけど、莉子らしい控えめなデザインになった。
そしてイニシャルなどの裏の刻印もお願いして終わった。出来上がりまで2週間はかかるそうだ。
さて、ついでに莉子の服も買いたかったので、上の階へ行った。
シンプルで上質なワンピースと、お揃いの上着が付いたアンサンブルを買ってやりたかったんだ。
これからはフォーマルな席もあると思うからね。
これは案外すぐに決まった。
色はうすいサーモンピンクで上品なデザインだ。華奢で可憐な莉子に本当によく似合う。
ついでにフォーマルにも使えるバッグや靴も買った。
「春ちゃん、買い物しすぎ! そんなにいっぱい要らないよ」
ダメ!!これから要るの。いつもカジュアルだけじゃダメなの。
もう大人の女になったんでしょう?と言うと、顔を真っ赤にしてうつむいた。
俺はくすくす笑って止まらなくて、莉子の頭を撫でてしまう。
あと、もう一か所行くとこがあるんだよ。
でもその前にちょっと休憩しよう。スイーツを食べたいんじゃないか?
「うん、行きたい!!」 カフェに行こうよ。
莉子は疲れたらしく、自分から俺の腕に捕まっていた。
ここでちょっと休んだら、実はもう一か所行くところがあるんだ。
そこはパールで有名な老舗店だ。
「春ちゃん、ここで何を買う気なの??」
実はね、お父さんとお母さんから頼まれたんだよ。莉子への結婚のお祝いだそうだ。
「え?、そんなにしなくていいのに......申し訳ないよ」
特にお母さんのリクエストで、ここでパールのネックレスとイヤリングを買うように言われてきたんだ。
ここは事前にお願いしておいたので、名前を言うと奥の個室に案内された。
パールのネックレスとイヤリングはすぐに持ってきてくれた。
色々試して掛けてみる。 莉子はかわいいからなんでもよく似合うなあ。
ここでもすぐに決まり、実家への配送もお願いした。
やはりお祝いは、両親から直接莉子に渡してもらわないといけないしね。
一気に回ったね。莉子も疲れただろう?
「うん。もうへとへとかも……」 じゃあ、おんぶしてあげようか?
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