医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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72話 大学にて(莉子サイド)

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授業も今日までで明日からは冬休み。でも私はお先真っ暗だ。
あさってから入院する。左の卵巣を摘出することになっている。それがすごく怖い。
春ちゃんは大丈夫だって言ってくれているんだけど、今までの経験だと、手術はつらい思い出しかないんだもん。

そんなこんなで、冬休みは後期試験の準備があまり出来ないのよね。どうなんだろう?今回は留年しないで済んだんだけど、新たに後期試験という難関が出て来る。もうこれは先生頼みだな。それしかないもん。

1月に入ったら後期試験がどんどん入ってくるから、また先生に来てもらって勉強する毎日になる。
でもこれは大学生なら普通なんだろうけど、私は体力がないから本当にしんどいんだ。
おまけに、また春ちゃんの相手が出来なくて申し訳ないことになる。

授業が終わったら、詩音ちゃんと一緒に絵画部の部室に行った。
今日は最後の顔合わせで、絵画部のミーティングがあるんだ。

議題は今年の活動の総まとめと、大学祭の収支報告、忘年会の予定、来年度の活動予定についてだ。

あとは、新入生勧誘のために、作品を1枚書いてきて欲しいということだった。
絵画だけではなく、勧誘のチラシやポスターも用意するから担当も決めた。
私は、日にちが近くなったら、部室を飾る仕事をもらった。

冬休み中にやるような仕事は無理だと、事前に部長には事情を話しておいたから良かった。

実は絵画部の忘年会に部長から誘いがあって、本当に行きたかったんだけど、行けないからやっぱり事情を話した方が良いなと思って話をした。
結局、この前のイレウスの時にお見舞いに来てくれていたから、今度の冬休み中に卵巣を取る手術をすることも三人には伝えた。

みんなに思いっきり同情されちゃったよ。いいよ、いいよ、どんどん同情してやさしくしてね。ふふふ。

部長が、「それにしても莉子も大変だけど、莉子兄は本当に気持ちの面で大変なんだろうなあ」

詩音ちゃん「本当!もう聞くだけで私もお腹が痛くなりますって!だってすごく痛そうじゃないですか?もうかわいそうで私もつらい。つい最近だってイレウスになって長く入院していたばっかりなのに~次から次にホントひどすぎるわ」と目がうるうるしている。

裕司君「全くですよ。もう莉子兄以外の人は要らないですよね?だって役に立たないでしょう?」
部長 「お前もようやくわかったのか?偉いぞ!抱きしめてあげようか?」

裕司君「結構です。抱きしめてくれるなら莉子兄がいいです!」
部長「はあーーーっ?」

詩音ちゃん「賛成!! 莉子兄って本当にイケメンで素敵だもんね~あこがれるわ。抱きしめて欲しい!!莉子が本当にうらやましいわ」

部長「お前ら、裏切るなあ~」 

莉子はふふふと笑って聞いている。

部長「やっぱり卵巣を取るって、この前の生理痛のひどさも関係しているのかねえ?わかんねえなあ」

それはわからないんですけど、元の持病が関係しているらしいです。切除してから組織検査をしないとわからないって言われました。私は大丈夫ですよ。

この前のイレウスはつらかったけど、今度は卵巣がただ腫れて大きくなっているから取りましょうということになったんですよ。でも卵巣はまだもう一つ残っているから大丈夫なんです。

それに開腹じゃなくて、腹腔鏡手術だから、一週間くらいで退院できるそうです。そのあとは自宅で静養します。結局冬休みはそれで終わっちゃうんですけどね。

生理痛が酷いのは、子宮内膜症という別の病気が原因だそうです。今は大学病院でその治療をしてもらっています。病院へはお兄ちゃんも一緒に来てくれるから大丈夫です。

はあーーっ!と三人が揃って言った。
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