医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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244話 莉子不調

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  3月の2週目になった。莉子は前よりまして寝ていることが多くなった。
莉子、大丈夫か?と聞くと、「うう~ん、なんだかしんどいよ。寝ているのも起きているのも、なんだかしんどいよ、早く楽になりたいよ」と珍しく弱音を吐くから、かわいそうになる。

おなかが重いもんね。早く出て来いよ~と言いながらおなかをさする。莉子はじっと目をつぶって辛さに耐えている。
そんなある日、体重が昨日より1キロ増えている。ん?1キロ?、赤ちゃんが大きくなった?まさか。でもこの段階ではまだ薬は飲ませられない。
次の日にまた体重を量ると、さらに1キロ増えている。ええ?二日に2キロ。やばい。

便秘か? 確かに莉子は9か月を過ぎてから便秘気味だ。その度に俺がお湯で浣腸をしている。しかしその程度でこんなに体重が増えたりはしない。

「莉子、おなかが苦しい?張っているの?」と聞くと全然苦しくないと言うんだよね。
最近は、水代わりに牛乳をいっぱい飲んでいる。飲み過ぎか?あと1日だけ様子を見よう。

で、翌日、体重を量ると測ったら、また更に1キロ増えている。完全にまずい。

3日で3キロ増えているのは完全に異常だ。この前に川瀬にもらった利尿剤を飲ませた。おかげでトイレ通いだ。

寝る暇がないくらいの尿意ですごくつらそうだ。トイレにいくのに、はあはあと息が切れている。

ああ、これは脱水だ。当然だな。薬を飲んでも1キロしか減っていない。

もう病院に連れて行こうと思った。。やっぱり腎臓に負担がかかっている。

もちろん入院用品のスーツケースも車に乗せた。事前に川瀬に連絡をしておいた。

外来で呼ばれて診察室に入った。莉子はもうフラフラだ。

川瀬が「莉子ちゃん、大丈夫?ちょっと辛いね。でもよくここまで頑張ったね。ちょっと今から診察するね」

それからエコーや内診や尿検査の結果で、「莉子ちゃんは妊娠中毒症になっているね。ちょっと小さいけど、もう10か月だから大丈夫でしょう。出産しましょう! すぐ入院してください」と言って、ニコっとした。

そして俺に「いよいよお前もオヤジだなあ」と言うから、二人でくすくすと笑った。

病棟に行くと部屋がもう取ってあって、前に切迫流産の時にいた個室だった。

莉子が着替えてベッドに横になると、すぐアナウンスで呼ばれた。

病棟の処置室のドアの前で待っているからねと言って、ベンチに座った。しばらくすると莉子が出て来た。

川瀬が出て来て、今、子宮口にラミナリアを入れたから、一晩かけてゆっくり子宮の入り口を広げましょうと莉子に言った。
「北原、莉子ちゃんのそばについていても良いぞ。あと、出産には立ち会うんだろ?白衣を着て来いよ」と川瀬がそう言うと、なんだかニヤニヤしていた。

川瀬は楽しそうだな、なんだよ。俺はこれからの不安でいっぱいなんだぜ。
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