医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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307話 莉子の気持ち・2

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 昨日の夜さ、夏の実家に迎えに行ったら玄関で倒れたまま、クッションを枕にして毛布が掛けてあったんだよ。

本人が病院に行くのが嫌で、うちに行きたいってお母さんとお父さんに言ったんだって。

それで、高熱を出したまま玄関で倒れている夏を、ご両親が見てどう思ったのかなあって思ってさ。

多分、夏の気持ちを考えると、親として歯痒いというか、すごく胸が痛かったんじゃないかって思うんだ。

俺も今の形がベストだと思ったんだけど、夏はやってみたものの、今の医大が想像以上にハードルが高かったんだと思うんだ。

だから今のままだと、また同じことがあると思う。

やっぱり一人前になるには、夏の場合はそばで支える人が必要なんだよ。

先のことは分からないけど、もし莉子が賛成してくれるなら、夏のご両親に夏をくださいって挨拶に行こうかと思うんだよ。

これから医者として一人前になるには、あと10年もかかるんだよ。10年って大変な期間だよ。

向こうのご両親も不安だと思うんだよね。

自分の息子が高熱で倒れても、自分たちよりも俺を必要としている現実がさ、切ないと思うんだ。

一人前になったら、その時はまた夏が考えればいいことだよ。

でも当面、夏と一緒にいた方が良いと思うんだ。俺も夏を幸せにしてやりたい。

俺がいつ死ぬか分からない時に、莉子を大切に守ってくれたように、俺も今の夏を同じように大切に守りたいんだ。

じゃあ、莉子は夏と3人で暮らすことに賛成してくれるの?

「うん、夏が良いなら私はいいよ。今までだって同じように暮らしてきたんだもんね。夏をくださいってご両親にお願いするなら、私も一緒に行くよ」

ふふふ「本当に一緒に行ってくれるの?もし莉子もそう言ってくれたら、ご両親も夏もすごくうれしいと思うんだよね。いいのかなあ?」

「うん、いいよ。明日行く?夏が実家に帰るでしょう?早く聞かせてあげたいよね」

莉子ありがとう!!俺は力いっぱい莉子を抱きしめた。


夏にはまだ何も言っていないんだけど、どうしようか?サプライズにする?それとも本人に聞いてみる?

「う~ん、サプライズでいいんじゃない?事前に聞けば、また遠慮するもん。本当の気持ちは言わないと思うよ」

「うん、じゃあ、明日夏を実家に送るのに、一緒に来てくれる?俺はスーツを着ていくよ」

ふふふ「OK・私もきれいな格好で行くね」

「そうだ、もし夏をくれると言われたらなんだけど、嫁さん扱いにして、夏の学費は俺が出そうと思うよ。いいかな?」

「いいよ、だって春ちゃんが稼いだお金だもん。自由に使っていいんだよ」

ありがとうね、莉子。
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