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562話 莉子の授賞式・本番
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本番当日、出発2時間前にエリナさんが手配してくれた美容師さんが、2人もホテルの部屋まで来てくれた。
本当にありがたい。俺はヘヤーを整えて黒のタキシードを着るだけなんだけど、桃香が白いふわっとしたレースのワンピースを着るんだよね。
靴も白で、レースのフリフリが付いた白い靴下を履いている。
めちゃめちゃにかわいい!髪も美容師さんがセットしてくれた。
髪飾りもかわいい白い大きなリボンをつけてくれた。
「桃香、かわいすぎて目が釘付けになるよ」というと、「えへへへ・・」と照れまくっていた。
莉子はすごいよ。エリナさんが揃えてくれたのはブランドの白のイブニングドレスだった。
Aラインで、首回りは肩や胸まで見えるから、白のオーガーンジーで覆われている。後ろが少しVに空いていて、ポイントで背中から長い白いリボンがたれさがっているんだよ。ほう~優雅だね。
出掛ける時は、これに白いケープを羽織るんだ。
桃香もかわいいお揃いのケープがあった。
軽井沢は夜になると冷えるからとエリナさんが言っていた。気遣いがうれしいね。
ヘヤースタイルはゆるふわのまとめ髪で、髪飾りにきらきら光っている櫛が挿してあった。
エリナさんが言うには、授賞式のファッションは長くネットに残るし、どこのブランドか調べられて雑誌に出ちゃうんだって。
だから名前のあるとびっきり素敵なものにしないと駄目らしい。
靴も白のシルクだ。ピンヒールのフォーマルな雰囲気の靴だった。
バッグは小さなゴールドだ。でもマットなゴールドだからシックだ。
ええっと、俺はこれでいいのかなあ?
まあ、俺は引き立て役だからな。エリナさんが選んでくれたものなら間違いはない。
靴までタキシード用のエナメルだった。初めて見た。
こんなのがあるんだね。なんだか恥ずかしい気がする。
さて、いよいよ車で会場まで着くと、係の人がカギを預かって車を移動してくれた。すごいな。
ええ、なんでここで?と思ったんだけど、なるほど車を移動してくれるはずだよ。
降りたところからレッドカーペットが敷いてあったんだよ。
俺は関係ないだろうと思ったんだけど、案内の人がピタッとついてくれた。
カーペットが敷かれている階段を少し上ると、入口のガラスのドアがあった。
高いピンヒールを履いている莉子が、転ばないようにしないといけないから腕を組んで登った。
桃香は俺がもう片方の手で繋いでいた。
莉子は空いた手で裾を少し持ち上げなければいけないからね。
まあ、そこでぴかぴかとフラッシュをたかれて沢山撮影された。
見えない見えない・・・自分に言い聞かせながら、にっこりしておいた。
「お兄さん、いい加減慣れてくださいよ~」と言った夏の言葉が頭にこだましていた。
でもTVカメラもいっぱい来ていた。
なんてハードルが高いんだ!!
とりあえず席に着いた。それから、桃香をトイレに連れて行った。子供だからね。
桃香のポシェットに小さなペットボトルが入っているんだよ。それを少し飲ませた。
席に戻ると、ようやく舞台を見た。そうだ!
莉子が受賞するのは、「国際アニメ大賞グランプリ」だった。思い出した!
なんで俺はこれを忘れるかなあ? 笑える。
司会者が出てきて色々喋っていた。
上にも大きなモニターがあるんだよね。
そこで大写しになる。怖いなあ・・。変な顔は出来ないよね。
そこで、プレゼンターの女優さんが出てきて、何人かの受賞者が呼ばれて舞台に上がった。
最後に莉子の名前が司会者から呼ばれた。
莉子はピンヒールのまま客席から舞台に上らないといけなかった。
大丈夫か?転ばないかとヒヤヒヤした。でも舞台の階段そばでスタッフがいるようだ。
大丈夫かな。そう見守っていると、スタッフがやって来て耳打ちされた。
え??舞台で桃香と一緒に出て花束を渡して欲しいそうだ。花束も受け取った。
ちょっとそれは反則だよね。ええ~?でもここで嫌とは言えないよね。
(また夏の言葉が蘇ってきた。慣れないといけないのかな?)
とにかく、桃香の思い出になると思って、手を繋いで舞台に上がった。
グランプリのトロフィーを受け取った莉子。
そこにスタッフがどうぞと言うから、桃香と一緒に前に出て莉子に花束を渡した。
莉子もびっくりしたみたいで、急に俺に抱きついてきた。莉子、どうした?
俺は困惑したけど、しょうがないから、笑って軽く抱きしめてやった。
桃香も俺に抱きついているんだよね。
いや~いまだに冷や汗がたらーと流れてくる。目立ちすぎなんだよ。
あっちもこっちも反則だろ。
それにTVカメラが何台も迫ってきたんだよ。
普通に怖いだろう? もう俺ダメ~・・・勘弁してくれえ。
もうその後のことは忘れたよ。終わったら取材合戦だった。
それもようやく終わってスタッフに促されて行くと、ホテルの宴会場で華やかなレセプションパーティーがあった。
俺は関係ないんだからと思って指定された椅子に座っていた。
莉子も俺の隣に座っていた。
桃香もそろそろおなかを空かせている頃だしね。なにか食べさせてやりたかった。
シャンパンが入ったグラスをボーイさん達が配っていた。
俺達も受け取って、桃香にはジュースをくれた。桃香は喜んで飲んでいた。
そのうちに主催者側のお偉いさんが何人か挨拶して、莉子がまた呼ばれてしまった。
「莉子、行っておいで」「うん、行ってくる」
なんかインタビューされていた。
そこで莉子は、アニメが世に出る仕掛けを作ったのが、浅田夏輝だって言ったんだよ。
彼無しでは世に出ることはなかったと言ったんだ。
ああ‥夏に見せてやりたかったなあ~。
だって本当の仕掛け人は夏なんだからさ。それを知っているのは俺らだけだもんなあ。
本当にありがたい。俺はヘヤーを整えて黒のタキシードを着るだけなんだけど、桃香が白いふわっとしたレースのワンピースを着るんだよね。
靴も白で、レースのフリフリが付いた白い靴下を履いている。
めちゃめちゃにかわいい!髪も美容師さんがセットしてくれた。
髪飾りもかわいい白い大きなリボンをつけてくれた。
「桃香、かわいすぎて目が釘付けになるよ」というと、「えへへへ・・」と照れまくっていた。
莉子はすごいよ。エリナさんが揃えてくれたのはブランドの白のイブニングドレスだった。
Aラインで、首回りは肩や胸まで見えるから、白のオーガーンジーで覆われている。後ろが少しVに空いていて、ポイントで背中から長い白いリボンがたれさがっているんだよ。ほう~優雅だね。
出掛ける時は、これに白いケープを羽織るんだ。
桃香もかわいいお揃いのケープがあった。
軽井沢は夜になると冷えるからとエリナさんが言っていた。気遣いがうれしいね。
ヘヤースタイルはゆるふわのまとめ髪で、髪飾りにきらきら光っている櫛が挿してあった。
エリナさんが言うには、授賞式のファッションは長くネットに残るし、どこのブランドか調べられて雑誌に出ちゃうんだって。
だから名前のあるとびっきり素敵なものにしないと駄目らしい。
靴も白のシルクだ。ピンヒールのフォーマルな雰囲気の靴だった。
バッグは小さなゴールドだ。でもマットなゴールドだからシックだ。
ええっと、俺はこれでいいのかなあ?
まあ、俺は引き立て役だからな。エリナさんが選んでくれたものなら間違いはない。
靴までタキシード用のエナメルだった。初めて見た。
こんなのがあるんだね。なんだか恥ずかしい気がする。
さて、いよいよ車で会場まで着くと、係の人がカギを預かって車を移動してくれた。すごいな。
ええ、なんでここで?と思ったんだけど、なるほど車を移動してくれるはずだよ。
降りたところからレッドカーペットが敷いてあったんだよ。
俺は関係ないだろうと思ったんだけど、案内の人がピタッとついてくれた。
カーペットが敷かれている階段を少し上ると、入口のガラスのドアがあった。
高いピンヒールを履いている莉子が、転ばないようにしないといけないから腕を組んで登った。
桃香は俺がもう片方の手で繋いでいた。
莉子は空いた手で裾を少し持ち上げなければいけないからね。
まあ、そこでぴかぴかとフラッシュをたかれて沢山撮影された。
見えない見えない・・・自分に言い聞かせながら、にっこりしておいた。
「お兄さん、いい加減慣れてくださいよ~」と言った夏の言葉が頭にこだましていた。
でもTVカメラもいっぱい来ていた。
なんてハードルが高いんだ!!
とりあえず席に着いた。それから、桃香をトイレに連れて行った。子供だからね。
桃香のポシェットに小さなペットボトルが入っているんだよ。それを少し飲ませた。
席に戻ると、ようやく舞台を見た。そうだ!
莉子が受賞するのは、「国際アニメ大賞グランプリ」だった。思い出した!
なんで俺はこれを忘れるかなあ? 笑える。
司会者が出てきて色々喋っていた。
上にも大きなモニターがあるんだよね。
そこで大写しになる。怖いなあ・・。変な顔は出来ないよね。
そこで、プレゼンターの女優さんが出てきて、何人かの受賞者が呼ばれて舞台に上がった。
最後に莉子の名前が司会者から呼ばれた。
莉子はピンヒールのまま客席から舞台に上らないといけなかった。
大丈夫か?転ばないかとヒヤヒヤした。でも舞台の階段そばでスタッフがいるようだ。
大丈夫かな。そう見守っていると、スタッフがやって来て耳打ちされた。
え??舞台で桃香と一緒に出て花束を渡して欲しいそうだ。花束も受け取った。
ちょっとそれは反則だよね。ええ~?でもここで嫌とは言えないよね。
(また夏の言葉が蘇ってきた。慣れないといけないのかな?)
とにかく、桃香の思い出になると思って、手を繋いで舞台に上がった。
グランプリのトロフィーを受け取った莉子。
そこにスタッフがどうぞと言うから、桃香と一緒に前に出て莉子に花束を渡した。
莉子もびっくりしたみたいで、急に俺に抱きついてきた。莉子、どうした?
俺は困惑したけど、しょうがないから、笑って軽く抱きしめてやった。
桃香も俺に抱きついているんだよね。
いや~いまだに冷や汗がたらーと流れてくる。目立ちすぎなんだよ。
あっちもこっちも反則だろ。
それにTVカメラが何台も迫ってきたんだよ。
普通に怖いだろう? もう俺ダメ~・・・勘弁してくれえ。
もうその後のことは忘れたよ。終わったら取材合戦だった。
それもようやく終わってスタッフに促されて行くと、ホテルの宴会場で華やかなレセプションパーティーがあった。
俺は関係ないんだからと思って指定された椅子に座っていた。
莉子も俺の隣に座っていた。
桃香もそろそろおなかを空かせている頃だしね。なにか食べさせてやりたかった。
シャンパンが入ったグラスをボーイさん達が配っていた。
俺達も受け取って、桃香にはジュースをくれた。桃香は喜んで飲んでいた。
そのうちに主催者側のお偉いさんが何人か挨拶して、莉子がまた呼ばれてしまった。
「莉子、行っておいで」「うん、行ってくる」
なんかインタビューされていた。
そこで莉子は、アニメが世に出る仕掛けを作ったのが、浅田夏輝だって言ったんだよ。
彼無しでは世に出ることはなかったと言ったんだ。
ああ‥夏に見せてやりたかったなあ~。
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