医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

文字の大きさ
602 / 996

605話 莉子の特殊な才能

しおりを挟む
 莉子の話は驚いた「夏から何も聞いていないよ。いつの間に桃香のデザインの話が広がっているの?」  

「子供服のメーカーさんとプロダクションの社長が知り合いなんだって。それで次の新作発表会にファッションショーをやりたいから適任のモデルはいないか?って聞かれたらしいんだよね。それで桃香を推薦したらしいのよ。

でもこの前、春ちゃんにショーは最後にするって断られたから、夏のお父さんに可能性はないか?って聞いたんだって。ほらこの前協賛したメーカーだしさ、私たちの関係を知ってるからさ。遠回りに口説こうと思ったんじゃないの?
そしたら、お父さんは桃香のデザインが認可されたばかりで、そっちで売り出そうと思っているって言ったらしいんだよ。そしたらそのデザインを見せてもらえないかって言われて、試作品のTシャツを見せたんだって。そしたらそれも一緒に発表会に出すからタイアップしてほしいって言われたらしいよ。で、その話は夏に届いていると思うんだけど、春ちゃんに何も言わなかったってことは承諾しないということよね?」

「一体いつの間にそんな話になっているんだよ。夏はお父さんの会社に業務委託と業務提携をしているから、桃香のデザインが認可されたら売り出したいだろうよ。それは仕方がないことだよ。
でも名前と顔出しがなぜダメなのかという話は、莉子にも前に話したよね? この話は以上だ」

「わかったよ」 莉子は不満げな顔をしていた。

母親として子供を世に出して自慢したいんだよね。

夏はなんというんだろう? 昼休憩が終わった夏が上に上がって来た。

インカムで10分遅れると師長に連絡した。

「夏、桃香のデザインが子供服メーカーとタイアップするんだって?メーカーはファッションショーをしたいらしいじゃない?どうなっているの?」

「ああ~その話ですね。莉子から聞いた話はそれだけですか?」

「そうだよ」

「まだお兄さんにお話しする段階ではないんですけど、もちろんその話は断りますよ。別に日本のメーカーとタイアップしなくてもいいんですよ。父にもまだ知らせていないのですが、こっちは世界を相手に商売したいので、その戦略を練っている最中なんですよ」

「戦略って何?」

「ええ~と、莉子、まだゲームのことは話していないの?」

「まだだよ」

「実は今、莉子が新しいゲームを作っていて、キャラクターやストーリーの展開などの内容を話し合っているところなんですよ。お兄さんが桃香を名前と顔を出すのを禁止したから、莉子がプライバシーを出さなくても有名になる方法を探りたいというんですよ。それで、桃香がデザインしたキャラクターをメインにして、面白いゲームでも作って世界で支持されれば、そのキャラクターのグッズは作者の名前がなくても売れるじゃないですか?だから、ゲームを作るのが先だということで、今作っている最中なんですよ」

「ふ~ん‥‥‥。分かったよ。じゃあ、頑張ってね。俺は仕事に戻るよ」

なんだかよくわからない話だ。でも莉子ならきっと作るよ。確信がある。

莉子は一見のほほんとしているが、絵の中で生きる才能がすごいんだ。

そこはアーティストだからな。夏も世界を相手すると言ってたなあ。

今でも世界に売るルートはすでに出来上がっているんだから、ゲームが出来さえすればすぐ世界で売れるよ。

桃香はまだ小学校の低学年なのに、もう何十億円も稼ぐのか?

また岩城たちになぐさめられる日が来るんだろうなあ。憂鬱だ。

自分で稼いでも微々たるものだから、何の足しにもならないよなあ‥‥‥。

医者の仕事はお金に換算できるものではないけれど、それでも男として自信を無くす。

多分、自分を試されているんだろうなあ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに

家紋武範
恋愛
 となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。  ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...